3.動物の世界
(2)動物の体のつくりとはたらき
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(675)アメンボの不思議・その5
「ねえねえ、オー君! アメンボについていろいろと研究してきたね。」
「そうだね。ぼくらは、もうアメンボ博士だね。」
「そうね。わたし、アメンボが大好きでかわいくなってしまったけど、アメンボにとって、いやなこと、きらいなこと、こまること、こわいことなどはないのかなと考えたわ。」
「さあ、どうなのかな。いつも水面をスイスイのんきそうにと、走り回っているだけなのかな。モンタ博士に聞いてみようか。」
「そうね、そうしましょう。あっ! モンタ博士。アメンボには、にがてなこととか、大変なこととかあるのですか。」
「そうだね。二人とも、よいことに気がついたね。答えはね。まず、風と波が考えられるね。」
「風と波ですか⋯⋯。あっ! そうか。風がふくと、水面が波となります。」
「波になったら、アメンボは足で浮くことがむずかしくなる。ということですね。」
「波がすごくなったら、アメンボは、どこにいくのだろ⋯⋯。あっ! そうか、どこかに逃げるしかないんですね。」
「どこに逃げればいいんだろう。まずは、水面からはなれて、陸に上がればいいのかな。他にはないかな。」
「そうだね。どうしようかねえ。どんどんいろいろと考えていこう。まちがってもいいんだよ。自分の考えを大切にしよう。」
「池の真ん中にいたら、何か近くにつかまるものがあればいいんだね。あっ! そうだ。木の枝とか草の茎につかまれば、だいじょうぶだね。」
「そうね。それから、池にはいろいろなものが浮いているでしょ。それをうきぶくろみたいにすればいいかもしれないわ。」
「いろいろな意見が出てきて楽しいね。ところで、風や波の他にはないかな。他の生き物との関係を考えてごらんよ。池の中にいるんだよ。」
「そうですね。池の中には、魚もいれば、カエルなどにも気をつけないといけないですね。」
「それから、鳥は、とても目がいいでしょ。高い空の上から池のアメンボをねらっている時もあるんじゃないかな。」
「他にもまだまだ、たくさんの敵がいるかもしれないんですね。」
「そうだね。スイスイとのんびり走り回っているアメンボでも、いろいろと生きるために苦労し、努力しているということなんだね。」
「そのとおりだね。生き物はみんな必死で生きているんだね。それから、『天敵』という言葉を聞いたことがあるかな。」
「聞いたことがあるような無いような、にがてな相手ということかな。」
「まあ、もう少しだけど、つまり、天敵とは、ちょっとむずかしく言うけど、『ある生物にとっての死亡要因となる生物種のこと』なんだよ。」
「ネズミにとってのネコとか、昆虫にとっての鳥とか、カエルにとってのヘビとかですね。」
「そういうことだね。でもね、アメンボの最大の敵はね、ハチなんだよ。」
「ハチって、スズメバチとかアシナガバチですか。」
「はい。今度必ず見ます。」
「これまでアメンボについて、いろいろと分かってきたね。オー君。」
「生き物の世界って、知れば知るほどおもしろくて、興味深いね。ねえ、花ちゃん! これからも、いろいろな生き物の観察をしていこう。」
アメンボの交尾
生物の特徴として、大きく成長した雄と雌には、大きな仕事があります。それは、子孫を残すことです。アメンボは初夏のある日、雄のアメンボが自分の体をゆすって波を起こします。この波は雌へのラブコールなのです。縁があれば、お互いに近づいて触角を触れ合わせます。その愛が本物ならば、雄は雌の背中に乗って、前足でガッチリと邪魔者が来ないように、また、捕まえた雌がどこかに行かないようにしっかりと押さえます。そのうち、雄は交尾器を下に向けて交尾を始めます。交尾が終わった後も、雄は雌を離しません。それはなぜかというと、しつこい性格だからではなく、また、乗っている方が呼吸が楽だからではなく、さらに単なる気まぐれではなく、他の雄のアメンボと交尾しないように守っているからです。