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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
3.動物どうぶつ世界せかい
 (5)ハチのなかま
(253)ハチのひみつの世界 3「寄生きせいバチ」
「ねえ,みんな。モンシロチョウやアゲハチョウを(そだ)てたことあるでしょ。その(とき)(なに)かこまったことはなかったかな。」
モンタ博士

花ちゃん
「そういえば,モンシロチョウを(そだ)てていて,どんどん(おお)きな(よう)(ちゅう)になって,(たの)しみにしていたのに,たくさんのウジが()てきて,まゆを(つく)っていたわ。」

オーくん
「それから,アゲハチョウのさなぎに(とつ)(ぜん)(あな)があいて,アゲハではなくて,かなり(おお)きなハチが羽化(うか)したことがあるよ。」

「そうだろう。それは,どうしてか()っているかな。」
モンタ博士

オーくん
「それは,寄生(きせい)バチが寄生したためなんでしょ。」

「そのとおりだね。コバチ,ヒメバチ,コマユバチなどのハチは,寄生(きせい)バチというんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
寄生(きせい)するなんて,(なん)だか()()(わる)いですね。」

オーくん
「そんなことを()うもんじゃないよ。それがきびしい自然(しぜん)世界(せかい)というものさ。」

人間(にんげん)世界(せかい)だって,寄生(きせい)はあるんだよ。寄生(きせい)(ちゅう)という言葉(ことば)()いたことがあるかな。人間の場合(ばあい)には,寄生虫が人間を()(ころ)すことはないけど,これらの幼虫(ようちゅう)成熟(せいじゅく)するまでに()(しゅ)をかならず食い殺してしまうんだ。これも本物(ほんもの)自然(しぜん)の世界というものだね。」
モンタ博士

オーくん
「モンタ博士(はかせ)。この寄生(きせい)バチというのは,(ほか)にどんなとくちょうがあるんですか。」

寄生(きせい)バチというのは,とても(ちい)さいものが(おお)いんだ。種類(しゅるい)がめちゃくちゃ(おお)くて,まだ,名前(なまえ)のついていないハチもかなりいるそうなんだ。」
モンタ博士

オーくん
「それじゃ,新種(しんしゅ)もこれから()つかるということですね。」

「そうだね。きのうお(はな)ししたキバチやハバチなどは,植物(しょくぶつ)にたまごを()むだけだったけど,()(せい)バチは,(うご)(むし)にたまごを産むから,たいへんなんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
(なに)がたいへんなんですか。」

オーくん
(むし)(うご)くから,寄生(きせい)バチがたまごを()みつけようとする(とき)がたいへんなんだ。」

「そうなんだ。だから,この寄生(きせい)バチは,キバチなどよりも進化(しんか)した(からだ)のつくりになったんだけど,どういうことか分かるかな。」
モンタ博士

花ちゃん
「ふーむ。むずかしいですね。」

オーくん
「ふーむ,むずかしいなあ・・・。『進化(しんか)した(からだ)のつくり』か・・・。よし,くらべてみることしよう。」

 ということで,この(まえ)のキバチやハバチの(かたち)とくらべてみたとさ・・・。
写真
オーくん
「あ! 発見(はっけん)! 発見! (だい)(はっ)(けん)だ! ()かった。()(せい)バチは,おなかのあたりが(すこ)(ほそ)くなっているぞ。」

「そのとおりだ。よく()がついたね。でも,それでおしまいにしてはダメだよ。どうして,そうなっているかを(かんが)えることがおもしろいし,それが科学(かがく)というものさ。」
モンタ博士

オーくん
「ふーむ,どういうことだろう?」

花ちゃん
「ねえ,さっき寄生(きせい)バチは,(うご)いている(むし)にたまごを()むと()ったでしょ。だから。」

オーくん
「だから,つまり,(なに)()いたいわけだい。」

花ちゃん
「つまり,おなかが(すこ)しくびれていれば,おなかが()(ゆう)(うご)きやすいということでしょ。つまり,たまごを()みつけやすいというわけですか。モンタ博士(はかせ)。」

「ピンポーン,そのとおりなんだ。その(あと)のハチはほとんどがおなかが(ほそ)い,つまり(こし)()(ぶん)だね。そこがせまくなっているんだ。そして,それらのハチを(さい)(よう)亜目(あもく)というんだ。」
モンタ博士

オーくん
「つまり,ハチの(からだ)(かたち)は,その生活(せいかつ)がしやすいように,(なが)(ねん)(げつ)をかけて(へん)()してきたというわけですね。」

写真
(せい)(たい)(ぼう)(ぎょ)(はん)(のう)はどうなるの?
 生物(せいぶつ)(からだ)には,その体内(たいない)侵入(しんにゅう)した異物(いぶつ)感知(かんち)して,これを攻撃(こうげき)して(がい)のないものにし,その体を(まも)(はたら)きがあり,これを(せい)(たい)(ぼう)(ぎょ)(はん)(のう)といいます。()(せい)バチに攻撃される昆虫(こんちゅう)にとって,体中(からだじゅう)()みつけられた寄生バチの(たまご)は異物となるので,ふつうならば,生体防御反応が()こるはずです。寄生バチが体内で(そだ)つために,この生体防御反応を()()する(なん)らかの(ほう)(ほう)(ひつ)(よう)であり,それがなければ寄生バチは()きていけません。この(てん)について(けん)(きゅう)(すす)めている(ひと)(ほう)(こく)によると,寄生バチの卵の表面(ひょうめん)物質(ぶっしつ)や,産卵(さんらん)()に卵の表面につく(どく)のような物質,さらに,卵に(ふく)まれる(きょう)(せい)ウイルスなどの要因(よういん)関係(かんけい)し,()(しゅ)が寄生バチの卵を異物として感知できなくなることが()かってきています。(ちい)さな寄生バチの世界(せかい)にも,人間(にんげん)想像(そうぞう)()えた()(がく)のドラマが(かく)されているようです。
   てくてく自然散歩シリーズ
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