3.動物の世界
(2)動物の体のつくりとはたらき
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(673)アメンボの不思議・その3
「さあ、池に着いたぞ。今からみんなでアメンボウオッチングをしよう。」
「いっぱいいますね。あっちにもこっちにも、たくさんいます。」
「こんなにアメンボをしっかりと見たことないなあ。今日は、アメンボの日だ。」
「そうだね。アメンボの日だ。ほら、見てごらん。アメンボの下に丸く黒いものがあるだろう。あれは何だろうね。」
「ひょっとして、黒いのは、アメンボの影ですか。とてもかわいい感じですね。わたし、アメンボ影ウオッチング好きです。でも、どうしてできるのですか。」
「影ができるには、よいお天気でお日様が出ている時でないと、ダメだよね。ところで、影はいくつあるかな。数えてごらん。」
「1・2・3・4・5・6⋯⋯、6こありますね。」
「6こあるけど、2つずつ同じなんですね。それで、3組あるのですね。」
「つまり、足の数と同じで、それぞれ前足、中足、後足となっているのですね。」
「よく見ると、3組ごとに少しずつ形がちがうみたいだよ。」
「そうだね。ということは、同じ足でも大きさや形もちがうということだから、つまり、そうか! 足の役目や働きもちがうということかな。」
「そうね。きっとそうだわ。アメンボ! ますます好きになってきたわ。」
「花ちゃんもオー君も二人だけで、どんどんお話が盛り上がってすばらしいね。お願いだから、モンタ博士も仲間に入れてよ。」
「あっ! そうでしたね。ところで、モンタ博士、アメンボの足には、どんな働きがあるのですか、それから、どんな役目があるのですか。」
「ほい、きた! 待ってました。まず、アメンボの3組、いや、3対の前足、中足、後足とあるね。それぞれが水面で生活するようになっているんだよ。」
「初めに、前足はどうなっているのですか。水面をすべるには短く役立っていないようですが⋯⋯。」
「前足はね、スイスイとすべるよりも、えものをつかまえたり、つかまえた虫を口に運んだりするんだよ。」
「なるほど、そういうことですか。では、中足はどんな役目があるのですか。」
「それはね、みんながボートに乗ったときのことを考えればいいよ。」
「あっ! そうか。オールでボートを動かすように、中足はいきおいよく前に進むためにあるのですね。」
「では、後足は、どんな働きをするのですか。」
「後足はね、かじの役目があるんだよ。右に行くか、左に行くか、後ろ足で調節するんだよ。水面でのアメンボの進み方は下の絵のようになるんだよ。アメンボが右から左へと動いているようすが分かるかな。」
「なるほど、そういうことなんですね。アメンボの動きがすごいですね。」
「ところで、アメンボの影についてだけど、足だけでどうして影ができるんだろうね。これはちょっとむずかしいけど、考えてみよう。分からなくてもいいんだ。いろいろと想像することがおもしろいんだよ。」
「ふーむ。むずかしいと言われると⋯⋯、一生懸命に考えちゃいます。」
「アメンボは、足先が毛やろうにおおわれているんですよね。水面を下におし下げるということですね⋯⋯。うーむ。何かありそうだな。」
「アメンボが水の底に影を作るのは水面をおし下げて『くぼみ』になるだろう。それが、ズバリ! 凹レンズの役目をして影を作っているんだよ。」
「なるほど、そういうことですか。アメンボってすごいですね。またまた、アメンボ大好きになりました。」
「それはよかったね。ところで、影ができるしくみは分かったところで、それをある実験で自分でも確かめられるし、目の前で見ることができるんだよ。楽しいからやってみようか。」
「えっ! 本当ですか。おもしろそうですね。やってみたいです。」
「割りばしでも、マッチ棒でもいいけど、先にろうをぬって水面をおし下げてごらん。必ず丸い影ができるはずだよ。」
「あっ! できました、できました。丸い影。」
「また1つ、おどろき。発見ができたね。よかったね。オー君!」
「今日はここまでとしよう。次回までにまた何をやりたいか、考えてみてね。」
日本のアメンボいろいろ(身近にいるアメンボ)
アメンボ:もっとも
普通の
種であり、
池・
沼・
川・
水田などに
住む。
全国のどこにでもいるアメンボである。
体は
全身黒である。
オオアメンボ:日本最大で、
木々に
囲まれた
森の
中のやや
暗く
静かな
池などにいる。
北海道以外に
生息している。
体は
黒だが、
赤かっ
色の
線がはっきりと
見られるのが
特徴である。
ヒメアメンボ:他のアメンボにくらべて
小型であり、
池・
沼・
水田などに
住む。
体に
比べて
羽が
短いのが
特徴である。
シマアメンボ:山地の
谷川に
住む
種である。
体の
背中の
色は
淡い
黄色と
黒い
縞模様であるが、
腹面は
乳白色をしているのが
特徴である。また、
普通は
羽がない。
右写真参照。
ウミアメンボ:海に
生息しているのでウミアメンボ。
岩に
囲まれ、
水のきれいな
所で、
波の
静かな
海岸近くにいる。
世界で20
種が
知られている。