3.動物の世界
(2)動物の体のつくりとはたらき
(7)ハチ・チョウ・ガ以外の昆虫のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(672)アメンボの不思議・その2
「この前は、アメンボがどうして水の上でも、スイスイと歩けるかということを勉強したね。」
「アメンボがとても体が軽くて、足の先がたくさんの毛やろうにおおわれていたり、アメンボってすごいなと思いました。」
「それから、表面張力についても、ていねいに説明してもらって、よく分かりうれしかったです。」
「アメンボについて、その他にも、いろいろと不思議に思ったり、分からないなと考えたりすることがあるかな。」
「そういえば、そもそも、アメンボという名前だけど、ちょっとかわいい感じがするよね。アメンボというのだから、なめるとあまい『飴』に関係あるのかな。」
「そうね。アメンボは、坊がつくから、『アメン坊』という意味なのかなと、考えれば考えるほど、おもしろいですね。」
「そうだね。名前は大事なものだね。名は体を表すとかいうからね。」
「いつごろからアメンボウ、と言われるようになったのかなあ。」
「それは、モンタ博士にも分からないけど、飴のようなにおいがするからなんだよ。それから、ボウというのは坊ではなくてね、棒のように細長いからなんだよ。」
「えっ! あめのようなにおいって、お菓子のアメですか。」
「そうだよ、下の写真にもあるように、においの出る穴があるんだよ。アメンボの体の中には、におい液が入っているふくろがあるということだよ。」
![写真1](newpic/672-1.jpg)
【アメンボの腹の裏側の拡大写真】
「そのにおいって、どうしてあるのかな。敵から身を守るためかな。」
「そうだね。それもあるし、仲間との連絡にも使われるらしいよ。」
「いろいろと不思議なことが、アメンボにはあるんですね。」
「名前については、オー君から質問があったけど、花ちゃんは何かないかな。」
「わたしは、アメンボって、何の仲間なのかも知りませんし、何を食べて生きているのかも、ちんぷんかんぷんなんです。」
「それでいいんだよ。分からないから調べる、学ぶ、教えてもらう、そして、いろいろと分かっていけば楽しいし、おもしろい。それでいいんだよ。」
「そう言ってもらえると安心します。」
「花ちゃんの質問はとても意味あるものだね。何の仲間か、これは重要だね。植物でも、昆虫でも、その他いろいろな動物でも、いくつかのまとまりで覚えることが大切だ。ところで、オー君ならアメンボは何の仲間か分かるかな。」
「ぼくは何かの本で読んだくらいですが、確か、カメムシの仲間だと思います。」
「そうだね。カメムシ目とか、半翅目ともいうけど、セミやカメムシなどの仲間だね。」
「わたしでもセミやカメムシなら何となく分かるような気がします。セミもカメムシも針のような口をしていて、植物のしるを吸ったりする仲間ですね。」
「すばらしい。そのとおり。昆虫はとても種類が多いね。1つ1つの種を分かるよりも、何の仲間なのかを知ることの方が、大切なんだね。」
「モンタ博士、アメンボも植物のしるを吸うのですか。」
「ふつう、カメムシの仲間は、植物のしるを吸うのが多いけど、昆虫などの体液を吸うのもいるんだ。アメンボは体液を吸う方だね。つまり、肉食ということさ。昔、水辺に住んでいたカメムシのある種が、長い年月をかけて、水面でも生活できるように進化したそうだよ。」
「そうだったのですね。昔のアメンボって、どんなだったのかな。」
「2㎜くらいのケシカタビロアメンボという原始的なアメンボがいるそうなんだ。遠い昔、そう言うアメンボばかりだったのが、現在のアメンボに進化したんだろうね。」
![写真3](newpic/672-3.jpg)
【ケシカタビロアメンボの1種】
「今日は、いろいろと分かって楽しかったね、花ちゃん! でも、まだまだアメンボには、たくさんの不思議がいっぱいあるみたいだね。」
「そうね。アメンボ研究がとても楽しくなってきたわ。」
「今日はここまでとして、今度は、池に行って、本物のアメンボを自分の目で探したり、観察したりしよう。」
「わーい、わーい。楽しいな。」
「わーい、わーい。うれしいな。」
アメンボ軍団の誕生は、春の訪れを知らせる使者
「冬は必ず春となる」という言葉がありますが、季節循環は生き物にとってはとても大切な意味があります。落ち葉の下や、石の下などで冬越ししたアメンボ軍団が、確かな春の訪れとともに、姿を見せ始め、あちこちの池や沼で水面に水の輪を見せてくれます。厳しい冬を乗り越え、水の温かみを伝える使者のように、元気に動いて飛び回るアメンボたちが、久々の対面を喜んでいるのでしょう。