トウショキッズ 東書KIDS

  • HOME
  • みなさまへ
  • 保護者の方へ
  • 先生へ
花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (15)植物と学名がくめい
(611)カスタネットと学名がくめい
写真1・2
花ちゃん
「あっ! かわいいクリですね。あれ? でもへんだわ。本物ほんもののクリではないわ。」

オーくん
「そうだね。よくると、クリのかたちをしただよ。」

花ちゃん
「そうか! かったわ。クリのかたちにくりぬいたり、けずったりしたのね。」

オーくん
なんだか、どこかでたことのあるようなものだね。あっ! カスタネットだ。」

「ピンポーン。そうだよ。カスタネットだね。これはねモンタ博士はかせまごがね、3さいになったおいわいのおたんじょうプレゼントなんだよ。」
モンタ博士

写真3
花ちゃん
「どんなおとがするのかな。いてみたいわ。」

オーくん
「ぼくもきたいです。モンタ博士はかせ! どんなおとがするんですか。」

「とってもいいおとだよ。のあたたかみがかんじられる音で、それはそれはいい音なんだよ。そのうちりてきてあげるよ。」
モンタ博士

オーくん
「それにしてもカスタネットとクリって、なに関係かんけいがあるのですか。」

「いい質問しつもんだね。うれしいね。今日きょうはクリのかたちをしたカスタネットについて、説明せつめいするね。」
モンタ博士

花ちゃん
「モンタ博士はかせ! クリとカスタネットとどんな関係かんけいがあるのですか?」

「クリのことを英語えいごなんというかっているかな。」
モンタ博士

オーくん
「あっ! かった。マロンだ! いや、モンブランかな。」

残念ざんねんでした。マロンはフランスだね。それにモンブランというのは、ヨーロッパのやま名前なまえでね、くりのクリームをやまのようにしたケーキだね。東京とうきょうゆうおかようてんかいはじめてつくったケーキなんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「それでは、クリとカスタネットとは関係かんけいないですね。」

いま英語えいごをはじめヨーロッパの各地かくち使つかわれている言葉ことばは、それよりももっとふる言葉ことばであるラテン語やギリシャ語からできたそうなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
なんだか、むずかしいおはなしになってきたなあ。」

「まあまあ、そんなことをわないで、おねがいだからおはなしいてね。」
モンタ博士

花ちゃん
「そのラテンとかギリシャ語とかいうのと、カスタネットとどうむすびつくのですか。」

「モンタ博士はかせっている『植物しょくぶつ学名がくめい辞典じてん』というほんにね、『Castaneaカスタニア』という言葉ことばがあってね、それは『クリの』を意味いみするとかれているんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「えっ! いま、なんったの。学名がくめいって、なにかな? またまた、むずかしくなってきたぞ。」

「まあまあ、ごめんね。しんぼうしていてね。クリのことを日本語にほんごでは、くりうけど、現在げんざいのイタリア語では『Castagna』、スペイン語では『Castana』、ドイツ語では『Kastanie』、英語えいごでは『Chestnut』、フランス語では『Chataigne』というんだけどね、つまりね、いろいろな言葉ことばがあるけど、それらは、ラテン語の『Castanea』(カスタネア)がもとになっているということなんだ。」
モンタ博士

オーくん
「ふーん、よこ文字もじまでたくさんてきて、ちんぷんかんぷんMAXマックスだな。」

花ちゃん
「つまりですね。モンタ博士はかせ。カスタネットという名前なまえ由来ゆらいは、ふるいラテンからきているということですね。」

「そうなんだよ。みんながっているもの、ふだん使つかっているものでも、ラテンやギリシャ語がそのまま現在げんざいも使われているものが、いっぱいあるということさ。」
モンタ博士

花ちゃん
「えっ! ほかにもいろいろとあるんですか。」

「そうだよ。おはなの『コスモス』『チューリップ』『フリージア』とか、野菜やさいの『アスパラガス』とか、アイスクリームの『バニラ』とか、シュワーとするものの『コーラ』とか、えんぴつの『モノ』とか『ユニ』とか、みんながよく使つかうノートの『ジャポニカ学習帳がくしゅうちょう』とか、みんなラテンやギリシャ語なんだよ。」
モンタ博士

  
写真4
花ちゃん
「へえー! そんなにあるんですか。ところで、そのラテンとかと学名がくめいって、どんな関係かんけいなんですか?」

「その関係かんけい説明せつめいするまえに、恐竜きょうりゅうの『ティラノサウルス』(Tyrannosaurus)とか、『ステゴサウルス』Stegosaurus)とか、『トリケラトプス』(Triceratops)とかも、もともとはラテンなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「えっ! 恐竜きょうりゅうがどうしたの。」

花ちゃん
「えっ! 恐竜きょうりゅうとラテンと、それから、学名がくめいとかなんだかあたまがこんがらがっちゃいました。」

「そうだね。ラテン学名がくめいについては、また、おはなししようね。」
モンタ博士

クリの木の思い出あれこれ⋯⋯
 クリの学名については上記で詳しいので、クリの木との思い出話などを少し記します。それは、昭和の始めの頃、私の父のお話です。私の父は貧農であり、高等小学校までしか行けなかったそうです。それでも、勉強はよくでき、級長を務めていて信望もかなりあったとのこと。そんな父は自分の勉強机が欲しくて山に行ってはたくさんのクリを集め、売った代金で机を買ったそうです。もちろん、その机は今はありませんが、私が小学生になる頃までおさがりで使っていたことを覚えています。 
 私が小学生の頃、兄たちとよく栗拾くりひろいに行ったことが楽しい思い出としてあります。古くなったぼろいシーツを次兄と一緒に四隅を持ち、長兄が栗の木に登り、大きく揺すると栗の実がたくさん落ちてきました。それらの栗はシバグリ(山栗やまぐり)というもので、小粒でしたがとても甘かった記憶があります。それに対して、当時は屋敷クリと言っていましたが、栽培品種の栗は、その大きさは比較できないくらいに見事でした。 
 そんなこんな栗との出会いがありましたが、植物に興味を持ち始めてから、栗についていろいろと知識を増やしました。栗の材はとても固く腐りにくく、耐水性があり、雨にも大丈夫で、全国の鉄道の枕木にしていたそうです。現在はコンクリートになってしまいました。その後、廃材となりましたが、今ではガーデニングのしきとしてとても人気があり、ネットなどでは1本1万円もするそうです。
 なお、クリは、暖帯(カシ帯)と温帯(ブナ帯)の中間地点に生育する木であり、クリ帯と呼ぶ学者もいるそうです。樹齢が200年ほどの大木になると、きょう高直径こうちょっけいが1m近くあり、大変立派で風格があります。それらは、東京近郊では三頭山みとうさんという山に行くと、クリの巨木がたくさん見られます。
   てくてく自然散歩シリーズ
このページの先頭へ