トウショキッズ 東書KIDS

  • HOME
  • みなさまへ
  • 保護者の方へ
  • 先生へ
花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (15)植物と学名がくめい
(612)恐竜きょうりゅう・植物と学名について
写真1
オーくん
「うわー! 恐竜きょうりゅうだ! ヤッター! ぼく、恐竜きょうりゅう大好だいすきなんだ。」

「それはよかったね。名前なまえっているかな。」
モンタ博士

オーくん
「もちろんです。ひだりから、ティラノサウルス・ステゴサウルス・トリケラトプスです。」

「すごいね。これらはみんなラテンなんだ。イラストのしたにアルファベットでかれているだろう。つまり、これを学名がくめいというんだよ。」
モンタ博士

オーくん
学名がくめいって、なに意味いみあるんですか。」

「それは、うえ恐竜きょうりゅうのそれぞれの特徴とくちょうあらわしているんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「へえー! そうなんですか。どんな意味いみなんですか。」

「ティラノサウルスは(こわい+トカゲ)、ステゴサウルスは(屋根やね+トカゲ)トリケラトプスは(3つ+つの+かお)という意味いみなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「ぴったし、そのまんまですね。学名がくめいって、おもしろそうだな。」

花ちゃん
「モンタ博士はかせ学名がくめいって、そもそもなんのためにあるんですか?」

「いい質問しつもんだね。でも、そのまえ今回こんかい恐竜きょうりゅう前号ぜんごうでおはなしした、コスモスやチューリップって、なに共通点きょうつうてんがないかな。」
モンタ博士

オーくん
共通点きょうつうてんおなじところ? なにかな。恐竜きょうりゅう動物どうぶつで、コスモスなどは植物しょくぶつだけど。」

花ちゃん
「あっ! かった。どっちももの、つまりせいぶつということですね。」

「ピンポーン。そのとおり、学名がくめいというのはね、ものけんきゅうおおきくかかわっているんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「かかわるって、どういうことかな。」

「ここで話題わだいをちょっとえるけど、したなんだかおぼえているかな。」
モンタ博士

写真2
オーくん
「あ! これは、ホタルブクロというおはなですね。花のなかにホタルをれてあそぶんだ。ぼくだいきな花だ。」

「よくおぼえていたね。すごいね。」
モンタ博士

花ちゃん
「わたしもこのホタルブクロは大好だいすきです。はなおおきくて、ベルみたいね。かわいいです。」

「ホタルブクロという名前なまえは、和名わめいうんだ。学名がくめいはカンパニユラ(Campanula)といい、カネ、つまり、ベルを意味いみしているんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「モンタ博士はかせ、どうして学名がくめいがあるのですか?」

「ものの名前なまえというのはね、くに地域ちいきによっていろいろな名前でばれているんだよ。ホタルブクロもね、フランスでカンパヌール、えい語でベルフラワー、ドイツ語でグロッケンブルーメ、みんなおなじものなんだ。ヨーロッパには種類しゅるいおおくて、どこにっても薄紫色うすむらさきいろはなかぜにゆれているんだよ。そこでね、あちこちで名前がいろいろとあるとこまるので、生物せいぶつ学問がくもん世界せかいでは世界共通きょうつうの名前をめておいたほうがいいだろう、ということになってできたのが、学名がくめいというものなんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「そうなんですか。それで、学名がくめいっているとなにかいいことがあるのですか?」

外国がいこく図鑑ずかんはもちろん、世界中せかいじゅうどこの博物館はくぶつかんでも研究所けんきゅうじょでも、学名がくめいというのは世界用語ようごなので、通用つうようするんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「その学名がくめいは、だれが提案ていあんしたのですか?」

「それはね、スウェーデンのリンネという博物はくぶつ植物しょくぶつ学者がくしゃなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
はじめてくおまえですが⋯⋯。」

「まあ、そんなにむずかしくかんがえなくていいよ。みんなのちかくにある植物しょくぶつでもラテン学名がくめい使つかわれているものが、まだまだたくさんあるんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「どんなものがあるのですか。」

「ヒヤシンス、クロッカス、ピラカンサ、シクラメン、アマナ、ミモザ、シンビジウム、カトレア、オンシジウム、ガーベラ、シトラスとか、植物しょくぶつ名前なまえには、ラテンからのものがおおいんだよ。」
モンタ博士

オーくん
昆虫こんちゅうなんかにも学名がくめいがついているんですか?」

「もちろんだよ。アゲハチョウは、『パピリオ クストウス リンネウス』(Papilio Xuthus Linnaeus)、カブトムシは『アロミリナ ディコトマ リンネウス』(Allomyrina dichotoma Linnaeus)
モンタ博士

オーくん
「『パピリオ クストウス リンネウス』『アロミリナ ディコトマ リンネウス』だな。よーし! 学名がくめいおぼえちゃうぞ!」

学名のお話のつづき!
 15世紀から18世紀ころにヨーロッパの人たちは、アフリカ・アジア・南北アメリカ大陸への大規模な航海を行い、航路開拓と共に植民地化や膨大な富や文物を獲得していった。そして、世界各地に進出した人々は、新しい土地で次々と見たことのない物を見ては驚きの連続であったことだろう。それは、動植物についても同じであり、彼らは競争のようにして新しい物を収集していった。そして、新種として登録し、博物学が発展するのである。
 しかし、次から次へと新しい種が集まり出して困ったことは、何が新しい種であるかというよりも、どこが違っているかが問題視され、少しでも違えば次々と名前を付けていった。非常に長すぎる名前ばかりになるなど、いろいろな混乱があったので、スウェーデンの博物・植物学者のリンネは、「二名法にめいほう」という方法を考え出した。しゅというものを「ぞく」と「しゅ」の2つによって表すようにしたのだ。例えば、アゲハは、Papilio Xuthus Linnaeusとなり、Papilio はチョウ、Xuthusはギリシャ神話に出てくるヘレナの息子、つまり、パピリオ属のクストウス種ということになるのである。また、最後の Linnaeusとは、命名者のことであり、この種に名前をつけた人のことである。このようにして、学名というものは、科学の世界で正式に用いられるようになったのである。
   てくてく自然散歩シリーズ
このページの先頭へ