2.植物の世界
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(585)フタバガキ(ラワンの木の種子)
「花ちゃん,オー君。元気かな。上の写真は何だか分かるかな。」
「え! ? 何だろうなあー。」
「そうね。初めて見るものですね。人工で作ったものではないみたいね。」
「大きいものだね。だいたい20センチくらいあるよ。」
「本物を持ってきたから,よく見てごらん。さわったりしてごらん。」
「下についているのは,何か種のようですね。」
「上の翼のようなものは,とてもうすくて軽い感じですね。」
「これはね,フタバガキという植物の種だよ。ラワン材といった方が分かりやすいかな。そのラワンの木の種だね。」
「え! カキ? カキって,秋に色づいて食べるあまくておいしいカキ?」
「カキといえば,貝がらにもあるけど,そのなかまでもないし・・・。」
「フタバガキというのはね,熱帯などの温暖な場所に生える植物なんだよ。それで,二人とも見たことがないんだよ。」
「熱帯には,いろいろな植物があるんですね。」
「あ! 私,思い出したわ。アルソミトラ(ハネフクベ)とかよばれる熱帯に生える,空飛ぶグライダーのような種子がありましたね。」
「そうだったね。みんなで画用紙で切り抜いて,重りをつけて飛ばしたことがあるね。スーイ,スーイと飛んだね。」
「そうですね。重りのような種があって,羽のようなものもついていますね。」
「あ! そうだ。羽子板で遊ぶ羽根に似ているぞ。ということは,このフタバガキは,ひょっとして,空を飛ぶということですか。」
「飛ぶというよりも,クルクルと回るかもしれませんね。」
「そうだよ。クルクルと回るんだ。とても大きな種子なので,高い所からでないとうまく飛ばないけどね。そこでね。ただ飛ばすだけではおもしろくないだろう。だからね,このフタバガキの種をみんなで作ろうかと思うんだ。」
「それは,楽しそうですね。早く作りたいです。」
「私も,すぐに作りたいです。」
「どんなものがあるといいかな。写真をよく見て考えてみよう。」
「そうですね。羽根にするところは,画用紙がいいかな。」
「そうね。でも,A4ファイルの古くてよごれて使っていないものを,ハサミで切るのもいいですね。」
「重りはどうしようか。紙をたくさん巻くのもいいし,クリップなんかもいいかもね。」
「そうね。1円玉なんかもいいかもね。1円玉は1つで1グラムでしょ。どのくらいの重さがいいかも実験的に分かるから,楽しいかもね。」
「それからさ。いろいろな大きさのフタバガキ作りにチャレンジしてみるのもおもしろそうだね。どのくらいが一番いいかも調べられるしね。」
「ともかくいろいろとやってみることだね。自分で作って遊ぶのが一番だね。下の写真は,きれいな折り紙で作ったものだけど,(A)と(B)があるけど,どっちがよく飛ぶと思う。」
「大きさは同じくらいですね。」
「ちがいと言えば,2枚の紙が(A)はぴったりだけど,(B)はずれていますね。」
「さあ,どっちがよくくるくる回るかな。写真と同じようなものを作って,実験してみればいいね。何回かやってみるといいね。そして,そのわけはどうしてなのかを考えるのは,もっと楽しいかもね。」
「さあ! 花ちゃん,いっしょに作って実験だ。」
フタバガキについて
フタバガキ科とは,熱帯に自生し(日本にはない)常緑の高木で600種もある。木はラワン材として利用されるが,成長が遅く乱伐や乱開発で絶滅が危惧されている。フタバガキという和名はカキに似た果実に羽根つきの羽根のようなガクが2枚ついていることによる。熱帯地方は,植物の多様性が高く,美しいランの花や,先に紹介したハネフクベ(アルソミトラ)やフタバガキなど,面白い植物が繁茂している世界である。いつかは訪れてみたい地域である。大空をグライダーのように滑空するハネフクベや,クルクルと回りながら落ちてくるフタバガキを見るのが,モンタ博士の夢である。