1.身近な自然の観察
(4)生物と日本人のかかわり
2.植物の世界
(4)被子植物(単子葉類)のなかま
(581)竹取物語 その1(竹という植物)
「あれ! これは竹やぶの写真ですね。モンタ博士!」
「そうだよ。モンタ博士のおうちの近くの竹やぶだよ。」
「
竹といえば,
以前,てくてく
自然散歩にありましたね。えーっと! 『モンタ
博士』と
入力して
検索して,『てくてく自然散歩シリーズ』の『
索引』で
探してみると・・・あった!
No.125にあります。」
「すぐに調べられて便利ですね。えーっと! 『竹の子の不思議』という題名になっています。」
「そうだったね。タケノコがどのくらい大きくなるかを調べたんだね。」
「そうでした。1日に40センチも伸びるってすごいですね。」
「ところで,今日はタケノコのお話ではなくて,竹のお話なのですね。」
「そうだね。『竹取物語 その1』,とでも呼ぼうかね。まず,竹というと,みんなはどんなイメージがあるかな。」
「モンタ博士に教えてもらっただじゃれだけど,『高ー』から『タケ』なんですね。とても高くなる植物ですね。」
「それから,竹って,たくさんの節があります。」
「竹って,1本だけ生えている所はあまりないですね。みんな集まっています。」
「それから,竹って,竹細工というけど,いろいろなおもちゃや日用品など,いろいろな物を作ったりしますね。」
「そうだね。それでは,ここで問題だよ。竹は,木なのかな,草なのかな。」
「竹は,幹(正しくは稈という)や節などもあるし,10年以上も生きるし,なので,草ではないみたいだわ。」
「そうかな? 竹は毎年成長しているわけではないし,中が空洞なので,木ではないみたいですね。」
「そうだね。むずかしいね。正しくは,竹は節があるので,『有節植物』と言うんだ。植物なのに大きくならないで不思議に思うけど,竹は地面の下にある地下茎というものを伸ばしながら,少しずつ増えているということなんだよ。」
「そういうことなんですね。ところで,竹ってどんな所に生えているのですか。」
「いい質問だね。それにとても大切な質問だ。さすが花ちゃんだね。植物が成長するのに大事なことが2つあるんだけど,覚えているかな。」
「温度の高さ低さと,水,つまり降水量の多い少ないですね。」
「そのとおり。さすがオー君! よく覚えていたね。感心だね。竹はね,北緯40度~南緯42度付近まで生育し,年間降水量1000mm以上を必要とするんだよ。」
「ということは,北海道には竹はないのですか。」
「そうだね。例外をのぞけば別だけど,基本的に北海道では育たないね。」
「それでは,北海道の人は,タケノコ取りには行かないのですか。」
「北海道の人たちは,タケノコといえばネマガリダケを取るそうだよ。このネマガリダケというのは,ササのなかまなんだけどね。」
「え! ササ・・・? 『♪ササの葉さらさら♪』っていう歌のササ?」
「ササと竹とは,また別のものなのですか。」
「日本では,竹類を竹とササに大きく分けているんだ。大きいのが竹で,小さいのがササというのはまちがいさ。植物学では,成長が終わると皮が落ちるのが竹,しばらく落ちないのがササとされているんだよ。」
「なるほど,そういうことですか。よく分かりました。」
「いろいろとお話ししたけど,『竹取物語 その1』は終わりとして,最後にいいことを教えてあげよう。七夕の時に竹に短冊やかざりなどをつけるでしょ。その時,せっかくきれいにかざったのに,竹をそのままにしておくと,水が吸えずにすぐに葉っぱがしおれてしまうだろう。そんなときにどうすればいいかというとね。下の絵のように節の間に小さな穴を開けて,水を入れておくと竹が水を吸って,長持ちするんだよ。」
竹は木か草か・・・の論争について
竹は茎が太くならないし,木化もしない。しかし,茎は硬くなり,大きく成長して竹林となる。この特徴は草というよりもむしろ木に近い。そのために竹を木とするか草とするかは,専門家でも意見が大きく分かれるのである。つまり,木も草も植物の世界に明確な区別があるわけではなく,人間が勝手に都合良く考え出した区別に過ぎないのである。もともと,自然界には,明確な区別というものはない。しかし,それでは人間が理解できないので,人間はいろいろな区別点を考え分類し,理解しているのである。