2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(538)タンポポのひみつ
「上の写真はタンポポですね。」
「そうね。左は,日本に昔からあったタンポポですね。右は,外国から入ってきたタンポポですね。」
「カントウタンポポと,セイヨウタンポポですね。花のつけ根が反り返っているかどうかで見分けるんだよね。」
「ほほー,オー君も知っているのか。すごいね。では,それぞれどんな所に咲き,いつごろ見られるのだろうね。花ちゃん! 知っているかな。」
「はい。カントウタンポポなどの在来種は,自然の豊かな里山などに見られ,花は春にいっせいに咲くんですね。それに対して,セイヨウタンポポなどの外来種は,都会や造成地などに見られ,春はもちろん一年中,花を咲かせます。」
「そうだね。在来種は,およそ10000年以上前からあったといわれているんだ。一方,外来種は北海道の農場などで,牛のお乳の出がよくなるといわれ,明治時代に海外から持ちこまれたものなんだよ。それから100年あまりで生息地域を全国に広げたんだよ。」
「それでは,セイヨウタンポポは,在来のタンポポを追いやった悪い植物なのですか。」
「そうではないんだね。セイヨウタンポポは,日本に来たころはきびしい状況にあったんだ。植物にとって一番すみたい里山など,自然の豊かな場所は,もともといろんな植物が生えていたので,そこでは生活していけなかったわけさ。」
「在来種のタンポポもかんたんには,セイヨウタンポポに場所をゆずらなかったということですね。」
「そうだね。そこで,セイヨウタンポポが選んだ場所は,都会や荒れた土地など,他の植物がふつうならあまり行きたくない場所,そこをすみかとして選んだということだよ。写真からも分かるように,石垣のほんの小さなすき間に根を下ろしたりして生活しているんだね。」
「そういうことですか。セイヨウタンポポ,すごいですね。」
「ところで,タンポポって,みんながよく知っている植物だけど,それはどうしてだろうね。考えたことあるかな。」
「そうですね。タンポポって,花も黄色くてかわいくて,どこにでもあるし,採集してもだれも怒らないし,それで,タンポポって人気者になったんでしょうか。」
「そのとおりだね。どれも正解だけど,タンポポって,名前がとてもいいね。」
「名前がとてもいい? どういうことですか。」
「とくに,タンポポのポポがいいね。はじけた感じがするね。みんなは,『半濁音』という言葉を知っているかな。」
「『濁音』というのは,ガギグゲゴとか,点々がつく言葉ですね。」
「そして,『半濁音』というのは,パピプペポなどで,小さな〇がつきます。」
「そのとおり。『濁音』は,ガ行,ザ行,ダ行,バ行などで,言葉の感じが強く,こわい,近寄りがたい雰囲気をもっているね。それに対して,『半濁音』のパ行は,破裂音ともいってね,五感に楽しく,親しみやすい雰囲気があるんだよ。例えば・・・考えてごらん。」
「ゴジラ,ゴキブリ,ダースベイダー・・・とかは,濁音で,ちょっとこわいいやな感じがしますね。」
「その反対に,スピッツ,プリン,ポップコーン・・・とかは,かわいいというか,楽しい感じがします。」
「そうなんだよ。ちなみにマーケティング業界では,『半濁音ヒットの法則』というものがあってね,ネーミングに半濁音が入っていると,ヒットするといわれているんだよ。」
「あ! そうか。そうだったのか。それで,大ヒットしたんだ!」
「え! 何? どういうこと。」
「あのおじさんが世界中に大ヒットさせた,あの歌も半濁音がいっぱいだ。」
「え! だれ? 何の歌?」
「ちょっと
古いけど,『ペンパイナッポーアッポーペン』だよ。」
「たしかに,ペパポポペで半濁音がいっぱいです。」
「なるほど,おもしろいことに気がついたね。今日は,タンポポについて,いろいろなことが分かって楽しかったね。では,次は,タンポポを使ってあれこれと手に取ったり,笛をふいたり,いろいろと遊んでみよう。」
2019年 レコード大賞は「パプリカ」
2019年12月30日(日)にTBS系で放送された「第61回輝く! 日本レコード大賞」で,優秀作品賞にノミネートされた10組の中から,Foorinの「パプリカ」が大賞に選ばれました。楽しい歌詞と軽快なリズムとダンスで大ブレークしました。これも『半濁音』のヒット法則に則ったものかもしれませんね。