【事例10】 中学生のネットゲームでの不正アクセス

■不正アクセスとは?

 インターネットを通じて他のユーザーといっしょに遊べるネットゲームにはいろいろなものがあり,無料や,おこづかい程度で参加できる料金のものもあります。節度(せつど)を守って楽しんでいれば何の問題もありませんが,なかにはゲーム内のお金やアイテム(道具)を横取りしたり,(だれ)かに売り飛ばしたりするために,他人のアカウントを勝手(かって)に使おうとする人がいます。そういったことはネットゲームのルールで禁止されていますが,それだけでなく「不正アクセス行為(こうい)」というれっきとした犯罪(はんざい)なのです。お金や物をぬすむのではないから許されるということはありません。これまでにも,中学生などの子どもが何人も犯罪者としてつかまっています。

■問題事例

 A君はネットゲームが好きで,毎日時間を決めて遊んでいました。ところが,今日ログインしてみると,昨日手に入れたばかりのアイテムがなくなっていることに気がつきました。今までも,ときどきこんなことがあったのですが,今回は苦労して手に入れたものだったのでがっかりです。あんなに楽しかったゲームが,急につまらないものに思えてきてしまいました。

■問題への対応

 おそらく誰かにアカウントを勝手に使われてしまったのでしょう。このままでは何度も同じことがおきますから,すぐにでもパスワードを新しいものに変えてください。そのとき,他の人が思いつかないようないいパスワードを考える必要があります。名前や誕生日ではすぐにばれてしまいますし,自分じゃなくて好きなサッカー選手やペットの名前を使ってもそれを知っている友達には丸わかりです。だからといって,キーボードのひらがなで言葉を作ったり,はしから決まった順番で押したりするのもだめです。パスワードをぬすもうとする人は,そういうありふれた言葉や方法を()(さき)に試すからです。簡単に思いつくものは簡単にばれてしまいます。
 よく使われる方法に,好きな歌のフレーズや小説の文章を何文字かずつ飛ばして使うというのがあります。これならそのタイトルと飛ばす文字数を秘密(ひみつ)にして覚えておけば安心ですし,歌詞(かし)カードや本だなの本を見ればすぐに入力(にゅうりょく)できます。新しいパスワードにしたければ別の歌や本を使えばいいだけです。あるいは絶対覚えられないような複雑(ふくざつ)なパスワードを紙に書いておいて引き出しにしっかりしまいこんでおくのも一つの方法です(誰かが遊びに来ても絶対見られないようにしましょう。友達を(うたが)いたくはありませんから)。
 たまに「あなたのアカウントが他人に使われた可能性があります。次のサイトでパスワード変更(へんこう)の手続きをしてください。アドレスは……」というようなメールが送られてくることがあります。そんなとき,あわててメールに書いてあるサイトを開いてパスワードを入力するのは危険(きけん)です。ひょっとしたら,そのサイトやメールはパスワードをぬすむためのニセモノかもしれないのです。メールの差出人(さしだしにん)にゲーム会社の名前が書いてあっても安心してはいけません(郵便と同じように,ウソの差出人名でもメールは送れるのです)。パスワードを変更するのならメールに書いてあるサイトではなく,本来(ほんらい)のゲームのサイトで変更しましょう。
 また,このようなことがあったら必ず家の人に相談してください。勝手に使われた間の利用料金がたいへんな金額になってしまっていることもあります。そのお金をないしょで何とかしようとして,自分が別の犯罪をしてしまうことになっては,楽しいはずのゲームが台無(だいな)しです。

■明日への対策

  • 人にばれないようなパスワードを考えて,ときどき新しいものに変更しましょう。
  • 誰かのパスワードを知ってしまっても,それを使ってはいけません。すぐにパスワードを変えることをすすめてあげてください。
  • ゲームのことでも不正アクセスは犯罪です。おかしいことに気づいたら家の人に相談しましょう。
<参考になるサイト>
MMO総合研究所「MMO事件簿(じけんぼ)
http://www.mmoinfo.net/news/ziken/index.php
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