NO.99

霜柱のお話

「霜柱(しもばしら)には、霜(しも)という字があるから、同じようにしてできたんだろうな。たぶん、霜柱は、霜の大きなやつじゃないのかな。」
「オー君もそう思うでしょ。ところがね、霜柱と霜とは、まったくちがうの。」
「ふーん。霜は空気中の水蒸気(すいじょうき)がこおってできたものだよね。でも、霜柱はちがうのか。どうちがうの、花ちゃん。」
「あのね、霜柱は、土の中の水分がこおってできたものなのよ。」
「土の中の水分がこおった???」
「霜柱は、土の中の温度が0度以上(いじょう)で、気温が0度以下(いか)の時にできるのよ。」
「ほほー。土の中の方があったかい時にできるというわけだね。」
「そうよ。土の中の水分が、地表面でこおると、土の中の水分は次々に表面に上がってくるの。上がってきた水分は、こおった氷をおし上げるの。そして、ひやされ次々とこおっていくのね。このことが次々におこるため、霜柱はどんどんのびるのよ。」
「よく知ってるね。感心(かんしん)。感心。特に、霜柱は関東(かんとう)地方では、よくできやすいそうなんだよね。」
「そうよ。関東地方の関東ローム層(そう)の赤土(あかつち)には霜柱がよく見られるわ。」
「日本中、どこでも見られるものじゃないの。」
「沖縄(おきなわ)などのあたたかい所は、霜も霜柱もないわ。それに、北海道のようにめちゃくちゃ寒い地方では、土の中の温度も0度以下になるので、霜柱は見られないそうよ。」
「こんなお話も聞いたことがあるよ。寒い地方では、土地がこおって地面の中に霜柱の層(そう)ができ、線路や家が持ち上がってしまうこともあるそうだよ。」
「へえー。そんなこともあるの。不思議だな。それにしても、霜柱もきれいだよね。今度じっくりと観察してみるね。」

『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)より その2

「多くの親は、熱心で繊細な子どもの好奇心にふれるたびに、さまざまな生きものたちが住む複雑な自然界について自分がなにも知らないことに気がつき、しばしば、どうしてよいかわからなくなります。そして、「自分の子どもに自然のことを教えるなんて、どうしたらできるというのでしょう。わたしは、そこにいる鳥の名前すら知らないのに!」と嘆きの声をあげるのです。わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭を悩ませている親にとっても「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。子どもたちがであう事実の一つひとつが、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、さまざまな情緒や豊かな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです。美しいものを美しいと感じる感覚、新しいものや未知なものにふれたときの感激、思いやり、憐れみ、賛嘆や愛情などのさまざまな形の感情がひとたびよびさまされると、次はその対象となるものについてもっとよく知りたいと思うようになります。そのようにして見つけだした知識は、しっかりと身につきます。消化する能力がまだそなわ・


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