ドングリのいろいろなお話(食べたり,観察したり・・・)
「あ! モンタ博士,何をやってるんですか。」 | |
「モンタ博士のお料理(りょうり)教室ですか。」 | |
「そのとおり。モンタ博士のお料理教室だよ。いつもは,お皿あらいなどの片づけしかやらせてもらえないけど,今日は特別(とくべつ)さ。」 | |
「ところで,何を作っているんですか。」 | |
「あ! ドングリだ。ドングリって食べられるの。」 | |
「ドングリってね,日本には20種類以上あるんだよ。その中で,シイの実は食べられるんだよ。シイの実は正しくは,スダジイというブナ科植物の木の実なのさ。」 | |
「どんな味がするのかな。早く食べたーい。」 | |
「おっと,その前に,少し観察してみようよ。気がついたことを言ってごらん。」 | |
「色は茶色だ。それにちょう細かい毛みたいなのがあるぞ。」 | |
「形もちょっとちがうみたいだね。いつも見るドングリとくらべると,とんがっている感じがするよ。」 | |
「なるほど,なるほど。いままで自分が見たドングリとくらべてみるというのはとてもいいことだ。くらべることが科学のはじめの一歩さ。」 | |
「それに,モンタ博士。ふつう,ドングリって,おわんみたいのがあるでしょ。でも,このドングリには,そんなものがないよ。」 | |
「なんだか,着物を着ているみたい。」 | |
「コートを着ているみたいだ。」 | |
「そうだね。いろいろなことに気がついたね。それじゃ,いよいよ食べるか。」 | |
「その前に,このドングリって,虫が食っていないのかな。」 | |
「うーん。そうだな。一つ一つ調べたのかな。」 | |
「おっと,いいこと言うね。さあ,ここで問題だ。どうやって,虫食いのドングリを見つけたでしょうか。さあ,考えてごらん。」 | |
「一つ一つ,ふってみて,かるかったら,虫に食われているんだ。」 | |
「それとも,おもさをはかったのかな。」 | |
「いろいろ考えてごらん。まちがってもいいよ。あれこれと想像(そうぞう)することが,科学のはじめの一歩なのさ。」 | |
「モンタ博士,何かヒントをください。」 | |
「虫に食われたドングリは,中が食べられて,空っぽになるよ。そうすると……。」 | |
「そうか。水にうかべればいいんだ。虫に食われていないドングリはしずむんだ。でも,虫に食われたドングリは,かるくなってうきあがるんだ。」 | |
「ピンポーン。そのとおり。よくできました。それじゃ,みんなで食べよう。」 | |
「その前に,どうやってお料理するのかしら。教えて,モンタ博士。」 | |
「まず,虫食いドングリをさがすため,水の中に入れる。ういてきたドングリは虫食いだからすてようね。それから,ガスコンロに火をつけ,フライパンを熱くします。そして,油も入れずにドングリを入れて,少しいるだけ。」 | |
「なんだ,それだけ。かんたんだ。」 | |
「とびはねるドングリもあるから,フタもしようね。そして,割れ目が見えたらできあがり。熱いから気をつけてね。それから,おいしくするためにビタミンI(あい-愛)も,ドボっと入れてあげよう。さあ,みんな,めしあがれ。」 | |
「これはおいしいわ。」 | |
「うまい,うまい,まいうー!だ。」 | |
「とってもおいしいので,ここで一曲。♪ドングリ ころころ ドングリこ お池にはまって さあたいへん ドジョウが出てきて こんにちは オー君 いっしょに遊びましょう♪」 | |
「あれ? ちょっとちがうよ。まあ,いいか。ところで,このシイの実,スダジイのドングリはうまいね。おいらは,お池じゃなくて,スダジイにはまった感じだな。」 | |
「ところで,ドングリって,小さい時にドングリごまを作って遊んだりしたわ。それから,やじろべえも作ったわ。でも,どうしてドングリっていうのかな……? オー君,知ってる。」 | |
「もちろ……。そんなの,知らないよ。」 | |
「ドングリというのはね,漢字で『団栗』と書くんだ。団(だん)は丸いという意味なんだよ。 | |
「丸いものがドングリなら,リンゴだって,ミカンだって丸いけどな。」 | |
「あ! ごめん。ごめん。大切なことを言いわすれたけど,ドングリというのは,カシやシイ,ナラなどのブナ科という木の実のことを言うんだよ。」 | |
「あ! 分かった。あまぐりやくりご飯にする,『クリ』もドングリの仲間なんだ。」 | |
「そのとおりだね。一番食べられているドングリは栗(クリ)ということだね。ドングリというのは,日本に22種類もあるんだよ。ドングリのせいくらべという言葉があるけど,どういうことか分かるかな。」 | |
「それは,どれも形や大きさが同じようなもののたとえに使いますね。」 | |
「さすがだね。花ちゃん。あのね,どのドングリでもみんな食べられるのかというと,そうではないんだよ。学校の近くの野山や雑木林にあるコナラやクヌギ,カシなどには,タンニンというしぶみがあって,食べられないんだよ。」 | |
「人間にはしぶくても,リスやネズミなどの動物にはごちそうなのかな。」 | |
「さあ,どうだろうね。それじゃ,とてもおいしいドングリの指名手配だ。さあ,みんなでさがしに行こう。」 |
いろいろなドングリ
ほかにもいろいろありますが,スダジイ・マテバシイ・イチイガシは食べられます。注……イチイガシは関東南部以西にあります。