NO.85

ハリガネムシって,へんなやつ!

「ギョ! これはなんだ。」
「何かの糸? それとも? ひもみたいですね。」
「二人とも,初めて見るものだと思うけどね。これは虫なんだよ。おとといの水泳指導の時に,プールで見つけたものなんだそうだ。」
「これが虫! それじゃ,動くの?」
「そうだよ,動くよ。しばらく見ていてごらん。」
「うわあー! 動いた。キャー! 気持ちわるい。」
「そうだね。あまり気持ちいいものではないかもね。しかし,じっくりと見ていてごらん。少しはかわいく見えるかもしれないよ……。でも,……やっぱり,きもい生き物かもね……。」
「モンタ博士,この虫はいったいなんという虫ですか。」
「よく聞いてくれたね。この虫は,一本のはり金みたいだろう。それで,この虫はハリガネムシというんだよ。虫といっても,昆虫(こんちゅう)の仲間ではないんだ。」
「モンタ博士,なんだか,やせたミミズみたいですね。」
「やせたミミズとはぴったりだね。でも,さわってみるとちょっとちがうよ。花ちゃん,さわってごらん。」
「いえ! 私は,えんりょしておきます。」
「それじゃ,おいらがさわるよ……。あれ,かたいよ。」
「そうだろう。ミミズのように前に進んだりしないだろう。ただ,ウネウネと動くだけだね。」
「ところで,この変な虫,どこにいるんですか。」
「カマキリのおなかの中にいて,ずうっと,寄生(きせい)しているのさ。」
「カマキリのおなかの中? 寄生ってなんですか?」
「寄生とはね,生き物がほかの生き物から栄養分をもらって生きていることさ。カマキリのおなかの中にいて,秋になると,出てくるんだよ。」
「おなかから出てきてからどうすんですか。」
「冬は水の中ですごして,春になるとたまごを産むのさ。」
「そのあと,どうなるんですか。」
「たまごからかえった幼虫は,水の中にいる昆虫に食べられて。そのおなかの中で生き続ける。そして,その水の中の昆虫を,今度はカマキリが食べて,ハリガネムシはカマキリのおなかの中でずうっと,生き続けるというわけなんだよ。」
「ふーん。生き物って,命(いのち)を次から次へと伝えてるんですね。」
「そのとおりだね。このハリガネムシ,どうなるんだろう。飼(か)ってみようか。」

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