NO.81

ゴーヤのひみつ

「あ! ゴーヤが、ば・く・は・つ・してる!」
「本当だ。ゴーヤが黄色くなっているわ。」
「真っ赤な種みたいのがあるよ。ぼく、初めて見るよ。」
「きっと、ものすごくにがいんでしょうね。」
「あれあれ! ゴーヤだね。これはうまそうだ。みんな食べてみるかい。」
「え! 食べるの? いやだよ。ゴーヤって、にがいんでしょ。ぼく、やだな。」
「わたしも、にがいのは苦手(にがて)だわ。」
「そうか……。にがいから、ニガウリという名前になったんだよね。こまったね。だれか、食べたい人、いないかな。」
「それでは、ぼくが食べてみまーす。もぐもぐ……もぐもぐもぐ……。あまーい。ちょうあまーい。すごーく、あまーい。」
「そうだよね。あまいよね。花ちゃんもオー君もなめてごらん。」
「あまーい。あまーい。」
「ところで、モンタ博士。どうして、こんなにあまいんですか。」
「いい質問ですね。なぜ、あまいかというとね。それは、実がしっかりと成長して、熟(じゅく)したということなんだよ。つまりね、ふだんぼくたちが食べているゴーヤは、まだ熟す前ということなんだ。」
「どうして、熟す前だとにがいのですか。」
「またまた、いい質問だね。野菜だって生き物だ。人間が食べるために育てているけど、本当は仲間をふやしたいのさ。そこで、虫や鳥に食べられないように、自分の体をにがくしているのさ。ピーマンも、へんな味がするけど、パプリカという熟した黄色や赤のピーマンの仲間はあまいだろう。カキだって、しぶいときは青く、熟すと赤くなるよね。」

どうして、このごろゴーヤがブレイクしているの?

illust昔といっても20年か30年ほど前の話であるが、ゴーヤはそれほど一般的に食べられていなかった。今ほどブレイクしていなかったのである。沖縄料理には欠かせないゴーヤが、最近はあちこちのスーパーなどでもよく売られ、普通の家庭でもよく食べられるようになった。それはなぜかというと、以下のようなわけである。 沖縄にはウリ科植物につくウリミバエという大害虫がいた。このハエが日本全国に広がっては困るということで、沖縄が日本に返還されてからも野菜の輸出は禁止されていたのである。そこで、このウリミバエの根絶のために、ある大作戦が考えられた。それは、放射線を当てて受精能力を失わせたオスのウリミバエを大量に飼育し、野外に放つという作戦である。すると、どうなるだろうか。大量に放たれた雄のウリミバエと受精した雌は、正常な卵を産むことができなくなってしまうというわけである。これを繰り返すことにより、ウリミバエを減らしていったのである。20年間に約530億ひきもの、受精能力のないウリミバエの蛹がヘリコプターによってまかれたというから、何とも壮大な大作戦であったわけである。


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