NO.48

花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ

□ひっつき虫で遊ぼう(センダングサ・オナモミなど)

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モンタ博士 「上のゴミのように見えるものは何だと思う。」
オー君 「何だか,本当にゴミのようですが。」
モンタ博士 「これは,マジックテープさ。そして,オナモミ(正しくはオオオナモミ)だよ。どちらも,とげとげの部分をはさみやカッターで切ったものなんだ。」
花ちゃん 「なーるほど。どちらもよくくっつくように,とげの先が少し曲がっているのがよく分かりますね。」
モンタ博士 「マジックテープというのは,今ではいろいろなものに使われているけど,このマジックテープの発明は,このオナモミの実のとげがヒントになったといわれているんだよ。」
オー君 「なーるほど。よく考えたものですね。感心してしまいますね。」
モンタ博士 「本当だね。オナモミの実で遊ぶのもいいけど,どうしてオナモミにはとげとげがあるのかを考えることも楽しいよ。」
オー君 「それでは,今からオナモミの秘密をさぐろう。」
  くず
オオオナモミ(キク科)

▼オオオナモミ(キク科)

オナモミというのは,日本に昔からあるもので,今ではあまりその姿を見ることができない。このオオオナモミは今から70年くらい前に帰化植物として報告されてから,一気に日本中に広まったといわれている。オオオナモミの方が実が大きくて遊ぶのにはいいかも。この仲間はキク科であるが,オオブタクサと同じく風媒花(ふうばいか)である。だから,あまりきれいな花はつけない。

  図
オー君 「オナモミの秘密を探るのも楽しいけど,やっぱりオナモミ飛ばしの方が楽しいよ。エイッ!」
花ちゃん 「やったわね,オー君。仕返しよ。エイッ! モンタ博士にもエイッ!」
モンタ博士 「今度はモンタ博士の逆襲(ぎゃくしゅう)だ。エイッ! モンタ博士特製のみんなまとめてオナモミだんごだ。いくぞ! エイッ!」
オー君 「モンタ博士は上手ですね。」
花ちゃん 「モンタ博士も小学生のころに,オナモミを女の子にぶつけて遊んだんでしょ。」
モンタ博士 「もちろんさ。心ひそかに思っている大好きな○○ちゃんっていうかわいい女の子がいたっけな。遠い遠い昔の話だね……。」
オー君 「ところで,モンタ博士。オナモミで遊んだらおなかがへったね。おやつタイムにしませんか。」
花ちゃん 「賛成,賛成。」
モンタ博士 「そうだね。それじゃ,お菓子(かし)を食べながら,オナモミの秘密を考えよう。ところで,花ちゃんは植物が好きで,オー君は動物,特に昆虫(こんちゅう)が好きだよね。モンタ博士は,植物も昆虫も星も鳥も好きだけど,オー君に質問するね。」
オー君 「モグモグ。何でも聞いてちょうだい。おいら昆虫博士だもんね。」
モンタ博士 「どうして,オー君は昆虫が好きなの。動物が好きなの。」
オー君 「そんなの決まってるよ。動くのがおもしろいんだ。カマキリでもクワガタでも,動いているのを見ているだけでおいらは楽しくなるんだ。」
モンタ博士 「そうか,動くからおもしろいのか。なるほど。」
花ちゃん 「そうね。植物はきれいだけど,動くことはしないわね。」
モンタ博士 「ふーん,そうか。植物は動かないか……。でも,本当かな。」
オー君 「え! それってどういう意味ですか。」
モンタ博士 「よく考えてみようよ。ある地点をA地点として,ある地点をB地点とする。A地点からB地点に移動することを動くというんだよね。」
オー君 「なんだか難しくなってきた感じだけど,動物はA地点からB地点に動いたりするんだ。だから動物。」
花ちゃん 「植物は動かない……。でも,植物は運ばれることはあるわ。足はないけど,何かによって動いたりすることはあるわ。」
モンタ博士 「ここで大切なことは,動物も植物も子孫を残すために,いろいろと苦労しているということも考えてほしいね。」
オー君 「それって,どういうことですか。」
モンタ博士 「つまりね。植物の根や茎や葉はてくてくは動かないけど,実はどうだろうとか,種はどうだろうとか,もう一度考え直すことも大切なんだよ。」
花ちゃん 「はい。モンタ博士,わかりました。ところで,この植物はあちこちによく見られるセンダングサですね。」
  くず
センダングサ
モンタ博士 「そうだね,よく知ってるね。さすがは,花ちゃんだね。ところで,絵の真ん中にある花火のように見えるのが実(種子でもある)の集まりだけど,ゆっくりと見てみよう。」
花ちゃん 「センダングサには,逆さまのとげみたいのがあるんですよね。あ! そういえば,この前のオナモミも同じだ。とげによって,何かにくっついて運ばれるんだ。」
モンタ博士 「そのとおりだね。とげによってくっつくんだね。とげでつく植物にはセンダングサやオナモミのほかに,イノコズチ,キンミズヒキ,ヌスビトハギなどがあるんだ。自分で図鑑で調べておくといいよ。それじゃ,ここで問題だ。とげ以外の方法で,何かにくっつくものはないかな。」
オー君 「くっつく? くっつくといえば,のりやセメダインみたいなものでつくのかな。」
花ちゃん 「でもね,のりやセメダインのある植物なんてないわよね。」
モンタ博士 「本当にないかな。」
オー君 「何かあるんですか。」
モンタ博士 「あるんだよ,だから自然の世界は不思議なんだね。のりやセメダインではないけどね,それによく似たものがあるんだよ。」
オー君 「そんな植物があるんだ。おどろきだな。それじゃまるで納豆(なっとう)みたいにべたべたとくっついちゃうの。」
モンタ博士 「なるほど,納豆草(なっとうぐさ)と呼んでもいいかもね。その植物というのはね,メナモミ(キク科),ノブキ(キク科),チヂミザサ(イネ科)などだよ。どんな植物か,自分で植物図鑑などを使って調べてごらん。」

▼センダングサ(キク科)

 正しくはコセンダングサという種である。センダングサ属には分類では,ほかにアメリカセンダングサ,シロノセンダングサなど6種がある。ここでは,花から実(種子)への変化に注目してほしい。Aはつぼみから開花まで,Bは実はできたが熟(じゅく)す前の状態,そして,Cは実が熟し散布される段階のものである。


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