NO.249

字書き虫 2

「あれあれ? 葉っぱが4枚(まい)あるぞ。なんだろう。」
「これは,ひょっとしてクズの葉っぱですか。」
「そのとおりだね。クズは3枚1セットの葉っぱなんだけど,今日は,葉っぱを1枚ずつしっかりと見て,いろいろなことを発見してもらいたいんだ。」
「よーし,まかせとけ! えっーと,左上にあるのは,ふつうの葉っぱだね。でも,それ以外は,どうも変だぞ。」
「そうね。右上の葉っぱは,ふちがギザギザになっているわ。」
「これは,たぶん何かの虫が食べたあとなんだよ。同じような切れ方になっているもんな。」
「そうだね,よく気がついたね。これはね,コフキゾウムシという虫のしわざなんだ。生き物がそこにいなくても,そこで生きていたようすを想像(そうぞう)することはとっても楽しいね。」
「そうですね。人間が歩いた後にできる足あとみたいなものですね。」
「一枚の葉っぱでもいろいろなことが分かるんですね。」
「ところで,まだ,他にも虫が生きていたようすが分かるかな。見つけてごらん。」
「左下のクズの葉っぱには,☆みたいなマークがあるぞ。」
「そうね。右下にも☆みたいのがたくさんあるわ。」
「右下のは,いっぱいありすぎて,☆の集まり,つまり星団(せいだん)みたいだ。」
「へえー,オー君はおもしろいことを言うね。一枚の葉っぱの中にも宇宙(うちゅう)があるということかしら。」
「二人とも,とても楽しそうだね。いろいろと自分の持っている知識(ちしき)をはたらかせて,想像することはいいことだね。『一枚の葉っぱの中にも宇宙がある』とは名言だね。」
「ところで,このマーク。よーく見ると,まわりの緑色とちょっとちがうね。うーん。これによくにたものをどこかで見たような気がするな。」
「え! どこかで見た。どこで見たの。」
「うん。それを今,思い出そうとしているんだ・・・・・・。あ! あれだ。」
ということで,オー君はインターネットの『てくてく自然散歩』を思い出したとさ・・・・・・。
「ほらほら! No.43の字書き虫のお話さ。見てごらん。とてもくわしく分かりやすく,そして,とってもおもしろく書いてあるよ。」
「わたしも思い出したわ。そうそう! 字書き虫ね。ハナダイコンの葉っぱに白っぽい線。それと同じなのね。虫の種類はちがっていても葉っぱの中を食べるのは同じですね。」
「そのとおりだね。よく気がついたね。それに,インターネットの『てくてく自然散歩』を見てくれているなんて,モンタ博士はとってもうれしいね。もうとってもうれしくてなみだが出ちゃうね。」
「わたしもちゃんと見ています。わたしは,パソコンの『お気に入り』に入れて,いつも見ていますよ。」
「うれしいね。ところで,このクズの葉っぱの☆の形は,クズノチビタマムシという虫のしわざなんだね。ハモグリバエやハモグリガなどと同じ仲間(なかま)なんだね。」
「今日は,一枚の葉っぱから,いろいろなことが分かりましたね。」
「そうだね。植物を見て,名前が分かったとか,それで終わりにしてはつまんないね。植物と虫との関係(かんけい)を知ると,もっともっと自然観察(かんさつ)が楽しくなるね。」
「そのとおりだね。『変わった葉っぱと虫のふしぎな関係その1』はこれで,おしまいにしよう。」
「え! ということは,まだまだつづきがあるのですか。」
「うわあー,ヤッター! またあしたが楽しみだ。」

 


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