NO.245

ヤブガラシの花の不思議不思議

「あれあれ? この草,どこかで見たことがあるぞ。」
「モンタ博士,これは,ヤブガラシという植物ですね。」
「そのとおり。ヤブガラシはどこにでもよく出てきて,やぶをからしてしまうから,ヤブガラシという名前がついたんだ。雑草(ざっそう)としてあちこちに出てくるからこまった草なんだ。」
「でも,おいら,この草にハチやチョウが来ているのを見たことがあるよ。」
「そうだね。この草には蜜(みつ)がいっぱいだからね。写真を見てごらん。オレンジやピンクが見えるだろう。それが花なんだ。」
「とっても小さい花ですね。オレンジやピンクでないものは,これからさくんですね。100こくらいの花があるんですね。」
「そうだね。一つ一つの花は小さいけど,順番(じゅんばん)にさくことによって,ハチやチョウ,ハナアブなどに来てもらうんだね。」
「おいら,アリが来ているのを見たことあるよ。」
「アリも,蜜をなめに来ているのかしら。」
「そうだろうね。このヤブガラシはね,蜜がよく出るから,いろいろな昆虫(こんちゅう)がやってくるんだよ。ほらほら,ハチがやってきたみたいだよ。」
「ふーん,そうなんだ。蜜があったら,きっと,あまいんでしょうね。」
「よし! ハチみたいになめてみよう。」
「え! ほんとうになめるの?」
「うわあー。あまい,あまいぞ。」
「すごい! オー君,大発見ですね。」
「そうだね。あまいのは蜜のせいだけど,どうしてピンク色やオレンジ色をしているんだろうね。ふしぎだね。」
「そう言えばそうですね。花の形もちがうのかな。」
「あ! そうだ。ねえねえ,花ちゃん。みんなで今から継続観察(けいぞくかんさつ)してみようよ。」
「賛成(さんせい)。何だか,ヤブガラシのひみつが分かるかもしれないわね。」
「そうだね。モンタ博士も仲間(なかま)に入れておくれ。」
「そうだ。モンタ博士には,デジカメで写真をとってもらいましょう。」
「それじゃ,ある一つの花がつぼみからさき始めたら,観察(かんさつ)しましょう。」
「写真をとる時刻(じこく)を決めようよ。1時間30分ごとにとれば変化(へんか)していくようすがよく分かるかもしれないね。こりゃ,楽しい観察になるぞ!」
「No.1は観察する花を決めたんですね。真ん中がその花ですね。」
「No.2は,観察しやすいように,まわりの花をとってしまったのね。」
「No.3の花びらがまだついているのが分かるかな。ブドウの仲間の花は,すぐに花びらが落ちてしまうことが多いんだね。4本の角のようなものは分かる?」
「おしべですね。No.3ではちゃんとあったのに,No.4では,おしべも落ちてしまったということですね。」
「そうだね。No.3と4をよく見てごらん。何か気がつかないかな。」
「両方とも水のようなものがうき上がっていますね。あ! これが蜜ですか。」
「ピンポーン。そのとおりだね。この時にいろいろな虫があちこちから,蜜をなめに来るんだね。」
「モンタ博士,おしべが落ちてしまったのは分かるけど,めしべはどこに?」
「よーく見てごらん。真ん中に何かないかな。」
「分かった。真ん中の角のようなものがめしべですね。少しずつ時間がたつとめしべがのびてくるんですね。」
「そうだね。おしべが熟(じゅく)す時と,めしべが熟す時がちがうようになっているんだ。これはね,同じ花どうしで受粉(じゅふん−おしべの花粉がめしべの頭につくこと)しないようするためなんだ。ちょっとむずかしかったかな。ところで,それから,他に気がつくことはないかな。」
「あれ! めしべの立っているところの色がどんどん変わっていくね。」
「そうだね。これには,モンタ博士もおどろいてしまったね。ある本にオレンジ色からピンク色に変(か)わっていくと書いてあったけど,ほんとうは,オレンジがピンクになって,またオレンジになってピンクになるんだね。これは大発見だったね。本に書いてあることがすべて正しいということではないんだね。自分の目でたしかめたことが大切なことなんだ。」
「めしべの台だけでなく,とんがった角のようなめしべそのものも,はじめは黄色っぽかったのに,だんだんと白くなるんですね。」
「継続観察って,とっても楽しいね。これからもいろいろとチャレンジしよう。」

 


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