NO.227

冬芽のふしぎ発見 1

「あーあ,つまんないな。冬は虫がいなくてつまんないなー。」
「冬はさく花も少ないし,とってもさみしいわ。早く春が来ないかな。」
「おいら,かえ歌作ったよ。こんなのどうかな。
  ♪春よ来い 早く来い
  花ちゃん オー君 ひまですよ
  なんだか とってもひまですよ
  早く来い来い 春よ来い♪
どうだ! けっさくだろう。」
「まあまあというところかな。ほんとうに早く春が来ないかな。」
「二人とも元気がないね。春はまだまだ先だよね。でもね,モンタ博士は,今ごろの季節も好(す)きなんだ。春が来るのを待つという気分が好きだね。」
「でも,モンタ博士。お花はさいてないし,遠くの山を見ても,葉っぱを落としてしまった木ばっかだもん。この前は,雪景色で楽しかったけど,雪もとけてしまったし,今は,かれ木ではだかの木みたいだし・・・・・・。」 
「そうか。木がかれているというのは,木が死んじゃっているというわけかな。」
「ちょっと,待っておくれよ。木はほんとうに死んじゃっているのかな。ところで,葉っぱを落とす木を何ていったかおぼえているかな。」
「たしか,落葉樹(らくようじゅ)というんでしょ。いつも緑色の葉をつけているのが常緑樹(じょうりょくじゅ)ですよね。」
「おいらも少し思い出してきたぞ。それにしても,あれだよね。常緑樹というのは,1年中葉っぱをつけているから,木の形がよく分からない。でもさ,落葉樹は葉っぱがないから,木の形がよく分かるな。」
「そのとおり。さすがはオー君。いいところに気がついたね。木の形のことを,むずかしい言葉で樹形(じゅけい)というんだけど,木の種類(しゅるい)によって,いろいろな形があるんだよ。それは,またゆっくり話すとして,1本の木でも,場所によってちがうんだよ。」
「ふーん,名前がちがうの?」
「真ん中の太いところを幹(みき)といってその他は,枝(えだ)というのさ。」
「でも,はだかの木を見てもおもしろくないな。何もないもん。」
「何もないかな。よく見てごらん。枝の先に,冬芽(ふゆめ)といって,春になったら,葉っぱになったり,花をさかせるものがついているんだよ。」
「うわー,寒そうだわ。冬芽って。」
「そのとおり。いいところに気がついたね。さすが花ちゃんだ。冬芽というのは,寒い冬の間,春の来るのをじっと待っているんだよ。」
「冬芽はさぞかし寒いだろうな。おいらが冬芽だったら,いっぱいあったかいものを着こんだりするな。まず,Tシャツの上に,シャツを着て,その上に,セーターを着て,さらにフリースを着て,最後はジャンパーをはおるな。そうだ。毛糸のぼうしがあれば最高だ。」
「冬芽も同じようにすればいいのにな。」
「そのとおり。それを冬芽はちゃんとやっているのさ。たとえば,サクラという木の冬芽は何枚(まい)も何枚も皮をかぶっているよ。タケノコの皮みたいだろう。」
「ほんとだ。皮みたいのがある。植物だって寒い冬をのりこえるために,くふうしているんだ。すごいな。おどろいたな。」
「冬芽のふしぎはまだまだたくさんあるよ。少しずつ見ようね。」
「なんだか楽しくなってきちゃった。冬芽のふしぎ発見に向けてGO!」

 


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