NO.205

シジュウカラのネクタイ

「あれあれ……、今日は鳥の写真ですね。」
「あれあれ……、これはひょっとしてシジュウカラですか。」
「そうでーす。シジュウカラです。モンタ博士のおさいふと同じです。」
「え! それって、どういうことですか。」
「わたし、ぜんぜん分かりません。」
「つまりだね、モンタ博士のおさいふと同じというのはね、しじゅう空(から)。いつもいつもおさいふの中にはお金がない。からっぽというわけさ。」
「なーるほど。そういうことですか。」
「なーるほど。おいらもシジュウカラだよーん。ところで、モンタ博士、このごろ、鳥の写真が上手(じょうず)になったみたいですね。」
「うれしいね、うれしいね。実は新しいデジカメを買ったんだ。それで、シジュウカラになっちゃったんだよね。でも、ほめられてうれしいね。」
「モンタ博士、鳥の写真って、けっこうむずかしいのでしょ。」
「鳥は目がいいし、近くによろうとしても、すぐに逃げてしまうからね。本当は一眼(いちがん)レフに望遠(ぼうえん)レンズをつけてとりたいけど……。いい望遠レンズなどは百万円もするらしいからね。まあ、モンタ博士には、このくらいでいいんだよ。ところで、二人ともシジュウカラという鳥について、知っていることを言ってごらん。」
「まず、その前に、鳥を観察(かんさつ)するときには、フィールドマーク(鳥の識別(しきべつ)に役立つ、目立つ特徴(とくちょう)のこと。)というものがあって、その特徴を知ることが、野鳥観察のはじめの一歩なんでしょ。」
「ふむふむ。それで、それで……。」
「まず、シジュウカラという鳥は、ほっぺたが白いのよ。それから、写真ではちょっと見えないけど、胸(むね)のところにネクタイのようなおびがあるのよね。」
「そんで、そのおびは黒くて、オスのほうが幅(はば)が広くて、メスはおびが細いんだ。それで、オスとメスの区別はかんたんなのさ。」
「ふむふむ。それで、それで……。」
「それから、大きさはスズメくらいで、全国の山や野原、丘(おか)、明るい林にもいるのよ。街(まち)の中でもよく見られる鳥なんです。」
「ふむふむ。それで、それで……。」
「それから、シジュウカラは留鳥(りゅうちょう)といって、一年じゅう、いつでも見られる鳥なんでしょ。」
「ふむふむ。それで、それで……。」
「それから、いろいろな所に巣(す)を作るそうよ。」
「そうそう。郵便(ゆうびん)受けやブロックべいのあな、ふせた植木ばちなどもなんだって。」
「ふむふむ。それで、それで……。」
「それから、メジロやほかのカラ類(ヒガラ・コガラ・エナガなど)などといっしょにいることが多いそうよ。」
「そういうのを混群(こんぐん)というんだよね。」
「二人ともとてもよくお勉強しているね。すごい! 拍手(はくしゅ)パチパチパチ。」

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