NO.194

オオムラサキは日本のチョウの王様?

「あれあれ? 1年生だ。みんなで何をやっているのかな。」
「オオムラサキの幼虫(ようちゅう)を観察(かんさつ)しているんだよ。」
「みんなのために、春から用意しておいたんだよ。よーく見てごらん。大きな幼虫(ようちゅう)だろう。チョウの羽の色がむらさきになるんだよ。」
「オオムラサキは、日本のチョウの王様なんだぞ。」
「ふしぎな形でしたね。それから、葉っぱをよく食べていましたよ。」
「とてもかわいいだろう。ほら、みんなでチョウの標本(ひょうほん)も見ているんだよ。」
「うわあー。いろいろなチョウがいるんですね。ぜんぶ本物なんでしょ。オオムラサキって、とても大きくて、とてもきれいなチョウなんですね。そのうち、とってみたいわ。」
「ねえ、花ちゃん。白い網(あみ)のようなものが見えるだろう。これ、何だか分かるかな。」
「写真の左ですね。さあ、何かしら。」
「あのさ。オオムラサキの敵(てき)って、何だと思う。」
「……分かった! それは、鳥でしょ。」
「ピンポーン。そのとおりさ。白い網でかこんでおけば、鳥が来ても食べられないというわけさ。」
「白い網の中で、下の写真のように幼虫が育つのね。」
「そうだよ。この幼虫は終齢(しゅうれい)幼虫といってね、もうすぐさなぎになるね。」
「さなぎって、どんな形なの。」
「下の写真のように、たれ下がるさなぎなんだね。アゲハやモンシロチョウとはちがうんだよ。」
「なーるほど、そうなんですか。そして、もうしばらくすると、大空を飛ぶような成虫(せいちゅう)になるんですね。」
「そうだよ。オオムラサキの成虫はとても大きくてりっぱで、そして、とてもきれいなチョウなんだ。」
「早く羽化(うか)しないかな……。」
「もうそろそろだよ。いよいよだよ。わくわくドキドキするね。さあ! オオムラサキの登場でーす。」
「うわあー、すばらしい! こんなに近くでオオムラサキを見たのは初めてです。」
「とてもすばらしいね。おどろきだね。感動だね。それじゃ、そのよろこびを作文に書くといいよ。学校の友達(ともだち)もみんな作文を書いているよ。」
※ということで、以下、作文の紹介(しょうかい)をします。どれも皆よく書いていました。
今日の2時間目にふく校長先生がオオムラサキの3頭のオスが入っている虫かごを持ってきてくれました。虫かごの上には、こん虫ゼリーと、さとう水をつけたティッシュペーパーがありました。オオムラサキは、一生けんめいにみつをすっていてすごいなと思いました。そして、ふく校長先生が、ライトを出して、虫かごの中に入れました。ぼくは、何に使うのかなとふしぎに思いました。そして、ライトをつけると、おどろいたことに、オオムラサキがだんだん羽を開いていきました。ぼくは、なぜ羽を開いたのかぎもんに思いました。ぼくはそれを初めて見たので、びっくりしました。とってもおもしろかったです。  (T・U)
今日は、ふく校長先生がオオムラサキと電とうを持ってきた。オオムラサキは三頭だった。しいくケースに入っていて、上にはこん虫ゼリーとさとう水につけたティッシュペーパーがのっていた。しいくケースのふたを開け、電とうを入れてつけた。すると、オオムラサキが羽を広げ、活発に動いた。ぼくは、初めて見たので、すごいと思った。多分、羽を広げるのは、日光よくをしていると思う。また、電とうを消すと、羽を閉じてあまり活発に動かなくなった。さいごにふく校長先生は、ちょうは変温動物といって、周りの温度によってえいきょうをうけると言っていた。ぼくは、ちょうは変温動物としり、すごくかん心した。  (O・U)

オオムラサキから一言、ごあいさつ!

 どうもおいらのことを誤解している人間が多いようで、おいらは困っている。おいらは、国蝶ということで、日本にしかいないと思っているだろう。そうじゃないんだな。中国、台湾、朝鮮半島にもいるんだ。おいらを国蝶ということで、採集してはいけないと思っている人間もいる。これもまちがいだ。  おいらはな、チョウの中でも、切手にまでなってしまって有名になっちゃったけど。案外多いんだぜ。どんどん採集して、おいらの美しい姿を見てくれよ。飛び方だって、モンシロチョウみたいに、ひらひらなんて飛ばないぜ、堂々とグライダーみたいに、かっこよく滑空するんだぞ。ぜひ見てくれよ。


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