NO.191

アリの目、ガリバーの目−科学の目

「ねえねえ、オー君。この前の五感(ごかん)のお話だけど、とてもお勉強になったわね。」
「つまりさ、おいらは考えたんだけど、たとえば、カレーライスを目で見て、うまそうだなと思って、鼻でクンクンにおいをかいでみて、口に入れてみたら、もっとうまかったということじゃないのかな。」
「なるほど。オー君のたとえはとても上手(じょうず)だね。ところでさ、目で見るというのは、ただ見るということかな? どういうことだろう。」
「あれはサクラで、これはタンポポだと見ることじゃないのかな。」
「私も、目ではよく見ているつもりだけど……。」
「ところがそうじゃないんだよ。見るということだっていろいろな見方があるんだよ。アリさんになって見たり、ガリバーになって見たりといろいろあるんだよ。」
「アリさんになって見る……? どういうことかな?」
「アリさんになって見る……、つまりさ、自分がアリさんのように小さくなれば、まわりのものが大きく見えるということだよ。」
「アリさんになって見るということは、つまり、虫メガネを使って見るようなものという意味ですね。」
「そのとおりさ。虫メガネは、科学の目なんだよ。」
「科学の目! なんですか、そりゃ?」
「ふつうの目では見えないものを見る時に、虫メガネ、けんびきょう、双眼鏡(そうがんきょう)というものもあるんだよ。虫メガネやけんびきょうを使って見ると、今まで見えなかったものも見えてくるし、双眼鏡を使えば、遠くのものだって、近くに見ることができるぞ。それは、それは、とっても楽しいよ。ちょっと科学者になった気分がするよ。」
「なーるほど。そういうことですか。ところで、ガリバーになって見るとは、どういうことなんですか。」
「つまり、こういうことかもしれないわ。あのね、ガリバーのようになって見るということは、ガリバーのように大きな人になって見ること。つまり、広く見たり、全体を大きく見ることですね。」
「なーるほど。アリになって見たり、ガリバーになって見たりということは、とても必要なことなんですね。」

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