NO.168

イチョウとギンナン

「みんな、これを見てごらん。何だか分かるかな。」
「な、な、なんですか。丸い感じですね。」
「??? 分かりません……、あ! うめぼし?」
「ブー……。これはね、イチョウのね……、あれだよ。」
「分かった! ギンナンだ。」
「あ! そうか。ギンナンね。漢字で銀杏(ギンナン)と書くのね。食べると、おいしいんでしょ。でも、わたし……、においが……。」
「においなんて、気にすることないよ。ぼくなんか、ゆでたり焼(や)いたりしてから、ペンチみたいなもので割(わ)るんだ。それから塩(しお)をかけたりして食べるんだよ。とってもうまいんだよね。」
「でも、わたし……、においが……。」
「何言ってるんだよ。ギンナンというのは、茶碗蒸し(ちゃわんむし)などにも入っているし、中華風焼きそばにも入れたりするんだよ。」
「よく知っているね。やっぱりオー君は『植物』よりも『食物(しょくもつ)』の方がくわしいみたいだね。」
「それから、ギンナンにはとっても栄養(えいよう)があるんでしょ。薬として利用されているんだよ。ある本によると、せきをしずめたり、おねしょにもききめがあるらしいよ。」
「でも、モンタ博士、ギンナンというのは、さわるとかぶれるそうですね。」
「そうだよ。だからギンナンの汁(しる)にふれたら水でよくあらうんだ。」
「それから、ギンナンを食べ過ぎると中毒(ちゅうどく)をおこすということも聞いたことがあるんですが。」
「昔、5合(0.9リットル)(食べすぎ!)食べてなくなった人もいるそうなんだ。でも、花ちゃん。においがイヤ、かぶれるからイヤ、中毒おこすからイヤとばかり言わないで、この際(さい)、イチョウについて、ギンナンについて、徹底的(てっていてき)に研究してみようよ。いろいろなことが分かることは楽しいことだよ。」
「ギンナン研究か。こりゃ、おもしろそうですね。」
「何だか、イチョウやギンナンが少しずつすきになっていくみたいです。」

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