イチョウと与謝野晶子(よさのあきこ)
「あ! この黄色い葉っぱは,イチョウですね。」 | |
「イチョウと言えば,国語の時間にお勉強した与謝野晶子(よさのあきこ)の 「金色の 小さき鳥の かたちして いちょう散るなり 夕日の丘に」 という和歌がありましたね。」 |
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「そうだね。名作だね。与謝野晶子は社会科の教科書にも出てくるね。」 | |
「モンタ博士,イチョウというのは,サクラと同じように,みんなによく知られていて,とてもなじみ深い植物ですね。でも,どうしてかな。」 | |
「それはたぶん,秋も深まって,すみ切った青空に,木々の中でもひときわあざやかな黄色に色づくからだろうね。」 | |
「モンタ博士,イチョウというのは昔から日本にあった木なんですか。」 | |
「日本にはなくてね,もともとは中国原産(げんさん)のものなんだよ。」 | |
「ふーん,そうなんですか。」 | |
「だから,日本の野山にはなくて,植えられたものさ。自然にはないんだね。それでも,日本の秋にはなくてはならない存在(そんざい)となっているね。」 | |
「イチョウの葉っぱって,サクラやモミジなど,ふつうの葉っぱとちがうね。」 | |
「二人ともいいところに気がついたね。イチョウという木はね,とても古い木でね。恐竜(きょうりゅう)の生きていたころから,ずうっと生き続けている木なんだよ。」 | |
「古いっていうけど,それは,大昔からあったということですね。」 | |
「そのとおりだよ。地球が誕生(たんじょう)してから,初めての植物が見られるようになったのが,6〜7億(おく)年前。イチョウは古生代(こせいだい)で,約3億年前くらいからあるんだよ。」 | |
「へえー? 植物にも新しいものと,古いものがあるなんて知らなかったわ。」 | |
「マツやスギなども古い植物なんだ。おぼえる必要(ひつよう)はないけど,むずかしい言葉で裸子植物(らししょくぶつ―種がむきだしになっている植物)と言ってね,中生代(ちゅうせいだい)のジュラ紀あたりには,地球上は裸子植物ばっかりだったんだ。裸子植物というのは,赤や黄色などあまりきれいな花はさかないのさ。」 | |
「それじゃ,きれいなお花がさくような植物はいつごろ出てくるの。」 | |
「中生代の白亜紀(はくあき)ごろ,つまり1億年前くらいから裸子植物だけでなくて,被子植物(ひししょくぶつ―種は果実の中にある植物)も出てきたのさ。」 | |
「虫キチのおいらには,あまり関係ないお話だな。」 | |
「そんなことないんだ。被子植物が出てきてから,きれいな花びらやみつや花粉(かふん)を持った植物が出てきたことは,昆虫(こんちゅう)がばくはつてきに種類(しゅるい)をふやすことに関係(かんけい)するんだよ。つまりね,植物も虫もいっしょに進化してきているというわけさ。」 |
イチョウのつぶやき
私たちイチョウは植物系統発生学的に言うと,とても古い植物でーす。葉脈が二股状に分枝していくのは,古い植物の特徴でもあるの。シダ植物の葉脈も二股状ですよ。私たちはオスの木とメスの木があって,メスにはあの強烈なにおいのするギンナンをならせます。ギンナンを手で触るとかぶれるけど,それは,ギンナンのなかにあるギンコール酸とビロボールを含んでいるからなのよ。でも,味は最高でしょ。