NO.166

イヌタデ

「あれ! これ,見たことあるぞ。」
「あれ! これは,イヌタデですね。」
「そうそう,イヌタデだ。学校の『自然ふれあい広場』の『わたしはだーれ?』コーナーにもおいてあったね。」
「そうね。このイヌタデは,おままごとによく使われるものですね。」
「そのとおりだね。モンタ博士が小さいころは,『アカマンマ』と言っていたよ。」
「アカマンマ? 何だ,そりゃ?」
「あのね,お赤飯(せきはん)ってみんなよく食べるでしょ。それによくにているし,赤いおまんまだから,アカマンマというのよ。そうですよね,モンタ博士。」
「そうだね。小さいころは,このイヌタデを使っておままごとをしたよ。」
「ところで,モンタ博士。このイヌタデというのは,いつまでもよくさいているお花ですね。ずうーっと,赤い花がさいたままですね。」
「うん。まあ,そうだね。」
「え! でも,ちょっとおかしくないかい。さいた花はいつかはしぼんでしまうだろ。いつまでもさいているというのは,ちょっと変(へん)だよ。」
「なるほど,オー君の言うとおりだね。それじゃ,イヌタデがどうやってさいているか,よーく見てごらん。」
「よく見ると,小さな花がたくさん集まっているんですね。白く見えるものと赤いものが見えますね。」
「そうだろう。ところどころ白く見える部分がさいている花で,ピンク色しているのは,つぼみやさき終わった花なんだよ。」
「え! 花が終わっても花がある? どういうことですか。」
「イヌタデというのはね,花びらに見えるけど,花びらがなくて,本当は「がく」というものなのさ。ふつう花は終われば,花の色があせたり,散(ち)ってしまうだろう。でも,がくだから,いつまでもピンクの色をしているんだよ。」
「なーるほど。それで,いつまでも花がさいているように見えるんですね。そして,虫たちにさいている花が分かるように,花を白く変化(へんか)させるのですね。」

蓼(たで)食う虫も好き好き・・・とは

 人の好みは,人それぞれ違いがあるという意味のことわざです。この場合の蓼(タデ)とはヤナギタデのことで,かむとぴりっと辛みがあります。この辛みが人間の食習慣で好まれて,芽タデを刺身のつまにしたり,葉をたで酢の材料にしたりします。一方,イヌタデには辛みが全くありません。それで,役に立たないとか,偽物いうことで,イヌという接頭語がついてしまったようです。よく植物名にイヌの名前がつくものがありますが,それらは,すべて同じような意味です。イヌムギ・イヌビエ・イヌホウズキ・イヌビユなどなど。なお,イヌという接頭語がついた植物名は,牧野植物図鑑では草本・木本・シダ植物などすべて含めて74種もあり,クマは22種。ネコが8種,キツネとタヌキが6種です。


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