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春の七草(せり・なずな・ごぎょう・はこべら・・・)

「モンタ博士、これは七草(ななくさ)ですね。」
「そうだよ。モンタ博士のお友達が作って、持ってきてくれたんだよ。」
「七草って、七種類(しゅるい)の葉っぱでしょ。おととい、七草のおかゆを食べたよ。」
「スーパーでも売っていたわ。「春の七草」といって、『せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ』の7種類ですよね。」
「ちょっと、ちょっとちょっと。待って、今、『春』と言ったよね。でも、まだまだ冬だよ。」
「でも、年賀状(ねんがじょう)には、初春(しょしゅん)とか、賀春(がしゅん)とか、『春』という字を使うわ。」
「あれ、今は、『春』なの? 『冬』なの?」
「それはね、今と昔では、暦(こよみ)がちがうのさ。昔の暦、つまり、旧暦(きゅうれき)というけどね、お正月のころが春だったんだよ。新聞やカレンダーには、旧暦ではいつなのかもちゃんと書いてあるよ。」
「3月3日のももの節句(せっく)の季節(きせつ)には、ももの花がさかないのも、旧暦だからですね。」
「それから、7月7日といっても、梅雨(つゆ)で、七夕の星が見えないのも旧暦だからだ。」
「そうなんだよ。ところで、どうして、七草を食べるんだろうね。」
「それは、一年間病気もしないで、健康(けんこう)でいられるようにということらしいわ。」
「ふーん。そうなんだ。でも、おいら、野菜(やさい)はいつもよく食べているよ。」
「今でこそ、温室栽培(さいばい)や冷凍保存(れいとうほぞん)などで、いろいろな野菜を季節と関係なく、いつでも食べられるようになったけど、昔はそうではなかったと思うよ。」
「そうか、長く寒い冬も終わって、春めいてくると、野山に出かけ、新鮮(しんせん)な野菜をつんだのね。」
「きっと、昔は、みんなで遠足気分で、よろこんでお外に行ったんだよ。」
「たぶん、そうだろうね。ピクニックみたいな気分で、あちこちてくてくしながら、食べられる葉っぱをさがし歩いたんだろうね。」
「でも、何で七種類なんだ。」
「それは、昔からおめでたい数とされていた『七』にちなんだんだよ。」
「春の七草というのは、水辺(みずべ)の草あり、道ばたの草あり、お庭や野の草あり、それに、田んぼのあぜに生えるものもあるわ。」
「畑で栽培されるものもあるよ。」
「そうだね。食べられるということでは、どれもみんな同じだね。」

古きよき風習は先人の優れた知恵

セリ、ナズナ、ゴギョウ(オギョウ、ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ(コオニタビラコ)、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)の七種。七草粥を食べることは現代まで続いているが、もともとは日本にある七種の食材を入れた粥を食べて健康長寿を願う意味と、正月に若い菜を摘むことが、中国から伝わった「人日(じんじつ)」の風習と混ざり合って、人々の間に根づいたもの。春の光を待ちわびて芽吹く野山や田畑の野菜、道々の草のカロチンとビタミンの栄養といろいろな薬効を取り入れた先人の知恵。


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