ある日,オー君がひとり言をいいながらてくてくと歩いていたとさ…… |
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冬になって寒くなっても,いろいろな花がさくんだな。知らなかったな。サザンカだろ,オチャだろ,それから,もうないかな。ジロ!ジロ!あれ?なんだ。花みたいだけど……こりゃ,大発見だ。」 |
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その後,花ちゃん,モンタ博士を連れてきて,三人で観察したとさ…… |
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あれ,これは,たしかビワの花じゃないかしら。」 |
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そのとおりだね。ビワの花は寒い季節にさいて,夏の初めに実ができるんだ。」 |
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この寒いのによくがんばってさいているね。感心しちゃうよ。」 |
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ビワの花をこんなにゆっくりと見たことなかったけど,花びらの周りには,茶色の毛みたいのがいっぱいついているわ。どうしてかしら。」 |
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たぶん毛むくじゃらの方があったかいんじゃないかな。ぼくだって冬にはセーター着るもんな。」 |
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そのとおりだね。いいところに気がついたね。いま花ちゃんがゆっくりと見たと言っただろう。それが大切なことさ。何気なく見ているものでも,ゆっくりとしっかりとおちついて見ると,いろいろな発見があるということだね。」 |
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ねえ,よく見ると,花は横を向いているけど,つぼみはだいたい下をむいているよ。どうしてかな。」 |
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これまたいいところに気がついたね。つぼみが下を向くということは,どうしてかなと考えてみようよ。ビワの花のさく季節は冬だね。それがヒントだ。」 |
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そうだ。分かったわ。ビワは冬でもさくでしょう。冬には雪がふるでしょう。もしつぼみが上を向いていたら,雪がつぼみの上につもって,つぼみがこおってしまうかもしれないわ。寒さから花を守るために,ビワの花のつぼみは下を向いているというわけですね。」 |
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そういうことなんだ。植物だっていろいろと工夫しているというわけさ。」 |
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植物って,けっこうえらいんだな。またまた感心しちゃったな。」 |
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植物は寒さという環境をのりこえるために,環境に合ったように植物の体を形づくっているというわけなんだ。このことを難しい言葉で『適応』というのさ。」 |
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なんか少し分かったような感じですね。それにしても,植物の秘密をさぐるっておもしろいですね。」 |
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植物だけじゃないよ。虫だって,鳥だって,そういうことはあるのさ。」 |
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虫か・・・。虫にまた会いたくなってきたな。虫がこのごろいなくなって,残念だな。どこかに虫がいないかな。ショボン……」 |
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それじゃ,あの木のところに行ってみようか。必ず何かいるぞ。」 |
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ほんと,どこ,どこ。どの木にいるの。ぼくの愛する虫ちゃんは……。」 |
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それは,ついてからのお楽しみだよ。さあ,てくてく行ってみよう。」 |
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