2.植物の世界
(11)おいしい植物の世界
(699)豆腐と納豆
「あっ! モンタ博士。これは何かの豆ですね。どこかで見たことがあるな。何だったかな。あっ! 思い出した。これは、ダイズだ。」
「ピンポーン。これはダイズ(大豆)だね。モンタ博士は毎朝、食べているんだよ。」
「えっ! 毎日、食べている? どうやって食べているんですか。生は固いですよ。」
「ダイズを一晩水につけて、その後、15分ほどゆでて、塩をふりかけてできあがりなのさ。健康生活のためなんだよ。」
「そうですね。パンやご飯など、炭水化物のとりすぎはよくないですね。」
「そうだろう。ダイズは畑の肉と言われるくらいに、タンパク質がたくさんあって、体にとてもいいんだよ。お豆腐や納豆などもダイズ製品だから、よく食べているんだよ。」
「それから、ミソやしょう油もダイズから作られるんですね。」
「そうだよ。ダイズはね、日本の食文化には欠かせないものなんだ。」
「でも、ぼくもお豆腐や納豆は大好きですけど、どうして、ただの豆がそういうものになるのか知らないんです。これって、日本人として少しはずかしいような気もするんですが⋯⋯。」
「そうね。わたしもお豆腐と納豆の原料はダイズとは知っていますが、作り方とかは、まったく知りません。」
「モンタ博士! 子供たちにも、かんたんに分かるように、ぜひ教えてください。」
(お豆腐)
「それでは今から説明してあげよう。まず、お豆腐はね、水にひたしたダイズを細かくする機械に入れて、水を加えながらドロドロにするんだよ。」
「ドロドロにしてからどうするのですか。」
「ドロドロの物を『呉』といい、熱を加えてからこすんだよ。こされて出てきた液が『豆乳』、残ったからが『おから』だね。」
「ぼくは、豆乳もおからも大好きです。それからどうするのですか。」
「その後は、豆乳に凝固剤である『にがり』(海水から食塩を結晶させた残りの液)を入れて、かきまぜるんだ。」
「かきまぜた後は、どうするのですか。」
「それからしばらくして、固まりかけたら、穴のあいた木のわくに『もめん布』をしき、こして水を除き、上から重しを載せて、固まったのが『木綿豆腐』なんだよ。」
「それじゃ、絹ごし豆腐というのは、もめんの代わりに、絹の布を使うの。」
「そう思うけど、そうではなくて、『絹ごし豆腐』というのは、こいめの豆乳ににがりを加え、木箱に入れてそのまま固めたものなんだよ。」
「なるほど、そういうことなんですね。よく分かりました。」
「次に、納豆はどうやって作るのですか。」
(納豆)
「納豆はね、ダイズを10時間ほど水にひたしてから、釜に入れて圧力をかけて6時間ほど蒸すんだよ。」
「お豆腐と同じように熱を加えるのですね。それからどうするのですか。」
「蒸した後に、ダイズに納豆菌をかけてから、かき混ぜ合わせ容器に入れて、40度くらいに加熱した発酵室に入れるんだ。」
「納豆菌というのが活躍するのですね。」
「そうだよ。16時間ほどたってから取り出して、急速に冷やして、納豆菌の繁殖を止めるんだ。そうすると、表面に白い粉(納豆菌)におおわれた納豆のでき上がりというわけなんだ。」
豆腐と納豆はなぜ体によいのか?
豆腐には、食物繊維を含む植物性タンパク質が多量に含まれています。そのために腸内細菌を整える働きをしてくれます。また、血圧上昇を防いだり、コレステロールを下げたり、動脈硬化に効果があります。さらに身体づくりをサポートするタンパク質はもちろん、骨の健康づくりに欠かせないカルシウム、貧血予防のための鉄分など、様々な栄養素がたくさん含まれた優れた健康食品です。
また、納豆も心臓の健康を改善することができる、様々な栄養素を含んでいます。納豆は動脈硬化による心筋梗塞とされる、コレステロール値を下げることができます。さらに、免疫力を高める効果があります。納豆はビタミンB群が豊富に含まれていて、皮膚や粘膜は体の中に病原体を入れないようにする役割を果たし、これが正常に保たれることで、免疫力向上につながるわけです。なお、納豆菌というのは、腸内の悪玉菌を減らし善玉菌を増やします。善玉菌は食物繊維をエサとして活動的になるので、納豆は腸内環境を整えるのに、とても効果的なのです。つまり、お通じ改善などにもメリットがあります。このほかにも、様々な効果がある豆腐と納豆です。