3.動物の世界
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6.その他
(4)実験・観察・調査から
(679)カラスの頭が良いのはなぜか?
「モンタ博士! カラスがゴミをちらかしています。困った鳥ですね。」
「そうだね。真っ黒な体でちょっとこわそうだしね。でも⋯⋯。」
「カラスは身近な鳥だけど、害鳥としてきらわれていますね。」
「そうだね。人間や農作物などにも害を与える鳥だね。でも⋯⋯。」
「でも⋯⋯。でも⋯⋯ってどうしたんですか。モンタ博士!」
「カラスって、あまりイメージの良くない鳥だけど、それでいいのかな。きらいだ。気持ち悪いだけで、何も知らないのも問題だとは思わないかい。」
「そう言えば、カラスってどんな鳥なのかな。カラスについて、知らないことばかりだわ。少しは観察や勉強をしてみるのもいいかもしれませんね。」
「そうだね。カラスに興味・関心をもって見れば、ちょっとはかわいいところやその他、いろいろなようすを知ることは良いことだね。」
「そうだ。今日はみんなで『カラス』について調べてみよう。ところで、カラスというのは、どんな種類がいるか知っているかい。」
「ハシブトガラスとハシボソガラスというのは聞いたことがありますが⋯⋯。」
「下にそれぞれのカラスの写真があるので、気がついたことがあれば言ってごらん。」
「どちらもよく似ているけど、口ばしがちょっとちがうみたいだね。」
「そうね。写真(1)のハシブトガラスは口ばしが太く、顔がすこしおでこのようね。」
「写真(2)のハシボソガラスは、細くてまっすぐな感じだね。」
「二人ともよく分かったね。『ハシ』とは口ばしのことなんだよ。」
「モンタ博士! カラスは、どんな所に住んでいるのですか。」
「ある本によると、駅前や街中で見かけるのは、ほとんどがハシブトガラスで、農村部や川や公園などではハシボソガラスが多いと言われているそうだけどね、一番のちがいは泣き声なんだ。ハシブトガラスは大きな声で『カアカア』と鳴くそうだけど、ハシボソガラスは、『ガアガア』と鳴くんだそうだ。」
「ふーん。なるほどそうなんですか。それから、カラスって頭がいいって言いますが、本当なんですか。」
「カラスは、クルミや貝のような固いカラにつつまれた物を、空中から落として割って食べると聞いたことがありますが、本当なんですか。」
「本当らしいよ。それに、道路にクルミの実を置いて、車にひかれて割れるのを待って、クルミを食べるカラスもいるそうだよ。」
「へえー。それはすごいですね。でも、どうしてそんなに頭がいいのですか。」
「それは、カラスの脳は他の鳥とくらべてとても大きいからなんだ。」
「大きいって、どのくらいあるのですか。」
「みんながよく知っている鳥では、ニワトリがいるよね。ふつうニワトリは脳の重さが3gくらいだそうだ。それに対してカラスは10gもあるというからおどろきだね。」
「へえー! すごい。3倍以上もあるんだ。」
「特に大脳が大きいのが特長なんだ。大脳というのは、記憶や視覚(見る力)、聴覚(聞く力)などにかかわる部分でね、それで、記憶力が優れていると言われているんだ。」
「カラス! すごいですね。」
「人間の顔も見分けられるそうでね、人の顔写真を貼った入れ物を用意して実験したそうだ。つまりね、例えばの話だけど、モンタ博士・花ちゃん・オー君の3人の顔写真をフタに貼った入れ物を用意して、モンタ博士の顔写真の入れ物だけに食べ物を入れて、何回かくり返したら、花ちゃんやオー君の顔写真の物は目をくれずに、モンタ博士の顔写真の箱だけをつついていたということなんだ。」
「なかなか面白そうな実験ですね。夏休みの自由研究でもやってみたいですね。」
「そうだね。ぜひやってごらん。それからね、カラスが餌を食べる工夫や、餌かくしのお話などもあってね、カラスの学習能力や記憶力の高さがすごいということなんだよ。」
「カラスってすごいんですね。ゴミをあさったり、ちらかしたりするカラスには困ったものですが、カラスも自然の一部ですよね。きらい! いや! と言ってばかりではなく、これからも少しカラスについて観察などを通して学んでいきますね。」
カラス対策として、どうすればいいのか。
ゴミ置き場を荒らすカラスの集団に困っている人はたくさんいます。ゴミを捨てないのが一番よい方法ですが、現実的にはそうもいきません。これまでいろいろと言われてきたカラス対策について、以下記しましたので、ぜひ参考にしてください。
① まずはゴミの捨て方に注意することです。ごみバケツに入れて外におくのが良い方法ですが、カラスがフタを開けてしまうこともあるので、頑丈で簡単にフタの開かない物を使いましょう。
② ゴミを出してから収集されるまでの時間を短くするために、収集時間直前に出すのがよいでしょう。
③ カラス除けのネットをかぶせるのも良い方法ですが、目が粗いと隙間からくちばしを突っ込んでしまうし、ネットが軽いと引っ張ってしまうこともあります。目の細かいネットで固定することです。
④ 昔から畑に案山子を置いたりします。また、ホームセンターなどでは、カラス除けグッズもいっぱいあります。これらは、一時的に効果がありますが、学習能力の高いカラスには効果が薄れてしまうこともあるようです。そこで、案山子の位置を変えたり、グッズをこまめに数日おきに変えたりする方法が必要になります。
⑤ ある本によると、人間は赤・青・緑の光の三原色の組み合わせで認知していますが、鳥は目で餌を探す場合が多く、カラスはそれに加えて黄色も組み合わせ、四原色で物を見ているそうです。そこで、カラスは黄色に対する認識力が高く、黄色いものがあると他の物が見えにくくなり、保護色として過剰反応を起こすようです。そして、いくつかの自治体では半透明の薄い黄色のゴミ袋の販売を進めており、全国の自治体でも実験的に同様なカラス対策を行っているそうです。
⑥ しかし、短絡的にカラスは黄色が嫌いというわけではない、という説もあり、まだ研究途上でもあるようです。今現在すぐにできること、つまり、上記の①②③などをしっかりと守りながら生活していくことが大切だと思います。