1.身近な自然の観察
(3)季節と生物
2.植物の世界
(11)おいしい植物の世界
(661)春の山菜採り、てくてく・その4 ギボウシ
「あっ! モンタ博士。また山菜を見つけたのですか。何ですか。」
「(1)の小鉢の山菜も、とてもおいしそうに見えますが、何という植物なんですか。」
「この前のコゴミという山菜のときにも、ちょっと紹介してあるけど、(3)のパックに入った植物なんだ。ギボウシというものなんだ。」
「でも、(3)には『うるい』と書いてありますが。」
「山菜としての呼び名は、『うるい』だけど、植物名は『ギボウシ』と言うんだよ。」
「ギボウシ? あまり聞かない名前ですが⋯⋯。」
「ギボウシというのは、もともとは、橋やお寺や神社の手すりの上などに置かれているタマネギの形をしたかざりなんだ。」
「でも、どうしてタマネギ形のかざりが、植物の名前になったのですか。」
「それはね、ギボウシという植物の花のつぼみの形がね、この橋の上にあるギボウシに似ているからなんだよ。」
「そういうことなんですか。今度、橋の上をよく見てみますね。ところで、(3)は、(2)の写真のギボウシとちがって、何だか植物にしては緑色がうすい感じですね。」
「それはね、このギボウシ(うるい)はね、東北地方のビニールハウスで作られたものなんだ。だから、もやしみたいな色なんだよ。」
「つまり、色あいよりも食感を楽しむということですか。」
「そのとおり、よいところに気がついたね。東北の農家では2月から育てるそうだよ。ふだん、ぼくたちが山などで見るものは、4月~5月ごろに葉っぱが広がっているものなんだよ。」
「ギボウシというのは、どんなふうに生えているのですか。」
「下の写真のような感じだよ。おいしそうだろう。」
「どんな所にあるのですか。」
「そうだね。コバギボウシというのは、写真でも分かるように、少ししめったような場所なんだ。それから、オオバギボウシは、里山の丘陵地でよく見かけるものなんだ。」
「ギボウシって、いろいろとあるんですね。」
「しめった所はコバギボウシ、ややかわいた場所はオオバギボウシ、岩場などには、イワギボウシというのもあるんだよ。」
「どれもみんな食べられるのですか。」
「もちろん食べられるよ。『うるい』というのは、オオバギボウシのことだけど、モンタ博士のおうちの近くには、コバギボウシが多くてね、たくさん生えていてね、採りやすいからね。いつもコバギボウシを採っているんだ。味はどちらも同じようだよ。」
「たくさん採った後はどうするのですか。」
「まずね、下の写真のように近くの小川であらうんだ。」
「でも、モンタ博士、ちょっと採りすぎじゃないですか。」
「そうですよ。山菜は食べられる分だけ採って、あとは残す方がいいのでは?」
「まあ、そうだけどね。ギボウシの場合も多年草なので、根っこを取らない限り来年も芽を出すから、だいじょうぶだよ。それに、冷凍保存も便利でいいよ。」
「冷凍保存? どういうことですか。」
「大きなナベで、いっぺんにたくさんのおひたしを作り、それをラップで一口サイズに小分けしておけば、いつでもどんな時でも食べられて、バッチリOKなんだ。」
山菜のマメ知識を身につけよう! 10か条の大切なポイント
① まずは、安心して食べられるものから食べよう。セリ、コゴミ、タラ、ミツバ、ヤブカンゾウなど。
② 口に入れるものなので、慎重に、慎重に! 専門知識のある人といっしょに歩くことが初めの一歩。
③ おいしいと言われる山菜でも個人差があるので、まずは、自分で実験的に食べてみることがお薦め。
④ 山菜マイ図鑑を作成しよう。毎年どこで何をどのくらい採ったかの情報をまとめることが肝要。
⑤ どこに何が生えるか、いつ頃が採集最適時期か、経験を積むことが大切で、山菜採りに王道無し。
⑥ 自分で採集した山菜は、自分で調理すること。後片付けもお料理の基本であることを忘れずに。
⑦ 毒草について、正しい理解をすること。よく似た種については、確実に分類同定できるように。
⑧ おひたしの時間短縮のために、電子レンジの利用もお薦めであるが、物により向き不向きあり。
⑨ 農薬てんこ盛りの野菜はきれいであるが、その分身体への影響がやや心配。山菜なら安心安価。
⑩ 山の恵みをいただけることに常に感謝の思いを忘れずに。身近な自然に興味・関心、好奇心を!