2.植物の世界
(5)裸子植物のなかま
(659)森の洋食屋さんとエビフライ(マツボックリ)
「あれあれ? おいしそうなエビフライですね。」
「そうだろう。どっちがおいしいと思う、花ちゃん。」
「そうね。どっちもおいしそうね。下のエビフライはちょっと小さめですね、それに色がこい感じだけど、あげすぎているようですね。そういうのもよく見たことあるわ。そうね、どっちもおいしそうね。」
「それでは、発表します。上は本物のエビフライで、ぼくのお母さんが作ってくれたものだけど、下は⋯⋯森が作ってくれたエビフライなんだ。」
「えっ! 森が作ってくれた? 森のエビフライ? かわいいネーミングですね。でも、どういうことですか。」
「それはね、森の洋食屋さんというのがあって、そこのシェフが作ったんだ。」
「森の洋食屋さん? シェフがいるんだ? だれなのかな。」
「それでは、登場してもらいましょう。森の洋食屋さんのシェフさん、どうぞ!」
「えっ! 森の洋食屋さん、森のシェフって、リスのことだったの。どういうこと?」
「それはね、写真にあったエビフライは、マツボックリをかじってできたものなんだ。マツボックリは、ぼくたちのとても大切な食べ物なんだ。」
「でも、マツボックリって固くないですか。」
「マツボックリをよく見ると、大きなかたまりに見えるけど、本当は1つ1つのりんぺんという、つめみたいなものがたくさん集まってできているんだよ。」
「なるほど、たくさんのりんぺんというものがあって、それでマツカサ、マツボックリができているということね。」
「そうだよ、そのりんぺんというものの間にね、やわらかい種があり、それを食べて、マツボックリのしんだけを残すと、エビフライみたいになるんだよ。」
「そうなんだ。リスがマツボックリをかじりながら種を食べているなんて、とってもかわいい感じがしますね。」
「そうだよ。SNSでは、その食べている動画もあるんだ。ぜひ見てごらん。あっ! モンタ博士が来るよ。また、何かお話が聞けると思うよ。あれ? よく見ると、なにやらニヤニヤしているよ。」
「何かうれしいことでもあったのかもね。モンタ博士! こんにちは。」
「いやー。いいものをまた見つけちゃったんだよ。」
「いいものって、何ですか。」
「それはね、マツボックリのエビフライだよ。」
「えっ! 本当ですか。ぼくたちも今、森の洋食屋さんが作ってくれた、マツのエビフライの話をしていたんです。」
「そうなんだ。それは偶然だね。それで、どんなマツのエビフライかな。」
「どんなマツのエビフライ? どういうことですか。マツはマツじゃないの。」
「モンタ博士のエビフライと、オー君のエビフライをくらべてみようよ。」
「うわあー。モンタ博士のエビフライはとても大きいですね。」
「オー君のエビフライは、アカマツというマツのものなんだよ。」
「モンタ博士のエビフライはどんなマツなんですか。」
「モンタ博士のは、『ゴヨウマツ』というマツなんだよ。」
「ゴヨウマツ? 聞いたことがありませんが⋯⋯。」
「そうだろうね。ふつうのアカマツやクロマツは、葉っぱが2本だろう。ところがどっこい、ゴヨウマツは5本の葉なんだよ。」
「葉っぱが5本なので、五葉松ですね。よく分かります。それにしても大きいエビフライですね。とてもおいしそうです。」
「モンタ博士はね、このゴヨウマツのエビフライが拾えたので、それで、うれしいんだよ。それで、思わずニヤニヤとしちゃったのさ。」
ダイオウショウ(ダイオウマツ)というマツについて
日本のマツの葉は2本が普通であり、五葉松などは5本であるが、ダイオウショウという北アメリカ原産のマツは、葉が3本であるのが特徴的で、葉の長さが40cmもあり、世界一で「大王松」と称されている。樹高は35mもあり、時には50mになるものも存在している。葉や樹高だけでなく、その球果も巨大であり、20cm以上にもなる。たぶん、その種子も大変な大きさであると予想されるが、モンタ博士は、いまだに見たことがなく、そのうちいつか拝見したいものである。