2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(658)シロバナタンポポを育てよう・その2 花ちゃんの巻
「モンタ博士! この前のお話の続きですが、種のほかに、どうすればシロバナタンポポを育てられるのですか。」
「モンタ博士のおうちの庭にあった、シロバナタンポポの株を少しぬいたんだ。」
「ぬいてきちゃっても、だいじょうぶなんですか。」
「だいじょうぶだよ。タンポポは多年草といってね、葉や茎は枯れても根はずうっと生きているんだよ。さて、よーく見ているんだよ。この株の下の根の部分をちょっと切るんだ。」
「そんなことしても、だいじょうぶなんですか。」
「こんなふうにできるといいんだよ。」
「このあと、どうするのですか。」
「これをね、ティッシュペーパーや綿と水で、種と同じようにするんだよ。」
「こんな根っこの切れはしでも、だいじょうぶなんですか。」
「だいじょうぶだよ。モンタ博士も協力するから、コラボ実験だね。どうなるか、本当に楽しみだね。」
「ちょっと不安もありますが、モンタ博士も手伝ってください。オー君もね。」
「心配することないよ。たとえ失敗してもすべては、成功のためなんだ。」
「まかせとけ、これから楽しいビックリわくわくドキドキ実験の始まり始まりだよ。」
⋯⋯ということで、数日すると⋯⋯。
「モンタ博士! 大変です。大変化です。緑の芽のようなものが!」
「ほほー。それはよかったね。変化したようすをしっかりと絵と文で記録しておこうね。それから、何cmとか数字を入れておくといいよ。」
「花ちゃん。変化があってよかったね。」
「よかったわ。わたしうれしいわ。これからも観察を続けていきます。」
⋯⋯ということで、また数日たちましたとさ⋯⋯。
「モンタ博士! またまた伸びました。シロバナタンポポ元気です。」
「それは、またまたよかったね。忘れずに記録することだよ。前とちがったところとか、何cmになったとか、くわしくね。それからていねいにスケッチもしておくといいね。」
「それにしても、とっても不思議なのは、たった一つの根っこの切れ端でも、きちんと育つのですね。」
「ぼくも同感です。どうしてそのまま生きているんですか。」
「ここからちょいとむずかしいお話になるけど、がまんして聞いてね。そもそも生き物はちがう遺伝子をもった相手と結びついて、新しい命が生まれるんだ。でも、その生き物の体の一部から切りはなしても、命はずうっと続く場合もあるんだよ。この時には、遺伝子とか関係なくてね、クローンと呼ばれるんだよ。」
「クローンですか。聞いたことがあるような無いような感じです。」
「もう少し難しい言葉で言うと、無性生殖と言うんだよ。それに対して、親がいて、ちがう遺伝子が交わることを有性生殖と言うんだ。まあ、こんな言葉は小学生は覚えなくてもいいよ。」
「つまり、生き物の世界には、いろいろな増え方があるってことですね。とても勉強になりました。」
「ところで、シロバナタンポポはいつ咲くのですか。」
「そうだね。今年は無理だろうね。来年咲けば、ラッキーかな。楽しみにしていようね。」
クローンと植物
細胞の中に、元の生物と同じ遺伝子のセット(ゲノム)を元と同じ組数だけもった生物のことをクローンと言います。植物の世界では、簡単にクローンができない植物の方が珍しいくらいなのです。植物の枝を切り取って、土などに差しておくと、そこから芽や根が出て一人前の植物として育ちます。これを「さし木」と言います。動物の世界でも、最近はクローン牛やクローン羊などが話題になっていますが、特別な技術や様々な方法で研究がされています。物語の世界では、孫悟空が髪の毛を抜いて息を吹きかけると分身ができるというお話もあるくらいです。今後、バイオテクノロジーの世界というのは、どのように発展していくのでしょうか。興味津々というところです。
なお、上記の実験において全ての根の切れ端からは芽は出ませんでした。何かの原因があり、発芽しなかったと思われますが、それは不明であることも付記しておきます。