2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(657)シロバナタンポポを育てよう! その1 オー君の巻
「あれっ? これはタンポポみたいだけど、黄色じゃないなあ。何かな?」
「あっ! これは、シロバナタンポポと言うのよ。」
「えっ! 本当? タンポポって、どれもこれも黄色だと思っていたけど⋯⋯。」
「シロバナタンポポというのはね、関東地方より西の地域に多く見られるタンポポなんですよね。モンタ博士!」
「そうだね。西日本にはふつうにあるみたいでね、四国や九州では、シロバナタンポポだけという所もあってね、タンポポは白い花だと思っている人もいるそうだよ。」
「へえー。そうなんですか。それじゃ、この辺ではとてもめずらしいタンポポということですね。」
「そうだよ。ところで、オー君! 日本にはどのくらいの種類のタンポポがあると思う。」
「クイズですね。うーむ。そうだな、5こくらいかな、いや10こくらいかな。」
「日本で出版されている図鑑関係で、モンタ博士おすすめの本で、『日本維管束植物目録』(北隆館)によると、タンポポの名前がつく植物は以下のとおりなんだよ。カントウタンポポ、カンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、ミヤマタンポポ、ヤマザトタンポポ、ケンサキタンポポ、クモマタンポポ、カラフトタンポポ、オクウスギタンポポ、セイタカタンポポ、キビシロタンポポ、ツクシタンポポ、クザカイタンポポ、アカミタンポポ、オキタンポポ、オオヒラタンポポ、クシバタンポポ、シナノタンポポ、トガクシタンポポ、キツネタンポポ、エゾタンポポ、ヤツガタケタンポポ、オオタカネタンポポ、タカネタンポポ、シロバナタンポポの25種類だよ。」
「へえー。そんなにたくさんあるんですか。おどろきですね。」
「モンタ博士も全部は見たこともないし、覚える必要もないと思うけど、いろいろあるんだね。」
「ところで、シロバナタンポポというのは、関東地方ではめずらしいのですね。ぼくのおうちにもほしいな。でも、たった一つしかないし、持っていってはいけないし、どうしようかな。」
「そうね。それじゃ、オー君。種をもらって育てたらどうかな。」
「そうか、それならいいですよね。モンタ博士。」
「そうだね。そうすれば、継続観察もできるし、毎日少しずつ変化するようすも見られるね。小さな種を育てて、少し大きくなったら鉢に植えて、育てることはとても楽しいと思うよ。本当はね、モンタ博士もやったことがないんだ。いっしょに観察してみよう。オー君!」
「うわあー、楽しみです。うれしいです。最高です。モンタ博士と共同研究ということですね。ぼくはりきっちゃいます。」
「何度も見ているタンポポの綿毛だろう。その1つ1つはとっても小さいね。でも、その種には花を咲かせるパワーや生命力がいっぱいなんだろうね。モンタ博士もとても楽しみだよ。」
」
「でも、どうやって育てればいいのかな。まだ、お花ですよ。」
「今はお花だけど、そのうち綿毛になるでしょうね。あっ! そうだ。花がいつ咲いて、綿毛にいつなったか、今から観察しながら育てたらいいわよ。」
「そうだね。今日は、4月5日だね。では、綿毛になるまで待っていようね。」
⋯⋯それから、シロバナタンポポは、綿毛になったとさ⋯⋯。
「モンタ博士、花ちゃん! 綿毛になったよ。さあ! 種をまこう。でも、どうすればいいかな。」
「それを考えるのが大切なことだよ。どうしようか。」
「アサガオやヒマワリと同じように、土にまくのはどうかな。」
「そうだよね。そうしてみよう。花ちゃんも手伝ってね。」
「でも、それだけでいいかな。ふつうの土だと、雑草の種なんかもあるし、培養土などを使うといいよ。モンタ博士はいっぱいもっているから、オー君にあげるよ。でも、土にうめたら、成長していくようす、変化していくようすがよく分からないね。どうしようか。」
「そうだ。ティッシュペーパーに水をふくませて、その上に置けばいいかな。」
「いいね。でも、それだけでいいかな。」
「ティッシュペーパーもいいけど、綿に水をふくませてもやってみたら。」
「そうだね。これはまたまた楽しみがふえたぞ。がんばるぞー。」
「よーし! モンタ博士もいっしょにやるよ。がんばろう。」
「あのう。モンタ博士もオー君も、二人で盛り上がっているのは、いいんですが、正直に言うと、わたし、ちょっとさみしいです。わたしも何か継続観察とかやってみたいです。」
「そうだね。そうか。どうしようかな。あっ! あの手があった。あれをやってみよう。シロバナタンポポ、ふやそうプロジェクト大作戦だ。」
「えっ! どうするんですか。楽しみです。教えてください。」
「そうだね。それは、また次号でくわしく説明しよう。」
⋯⋯ということで、数日後、シロバナタンポポの種をまいたティッシュペーパーの上で⋯⋯。
水栽培の注意点
培養土などに植えて育てることの利点は水分の補給などが簡単であり、ある程度安心はできるものの、実際に種がどのように変化するかを見ることが不可能で、種の生命力や成長の営みの姿などが確認できず、今いち驚きや感動が薄くなってしまう傾向があります。そこで、水栽培を行えば、種が目の前で変化し成長していく姿が身近に見られ、植物に対する興味・関心も高まることでしょう。しかし、ここで、注意しなくてはならないことがあります。それは、水の管理です。途中まで水やりをしていても、いつしか忘れてしまうこともあるものです。ティッシュペーパーでは、水の渇きが早いことが予想されるので、綿でやることも必要でしょう。また、常に新鮮な水の補給が大事であることを忘れずに!