2.植物の世界
(4)被子植物(単子葉類)のなかま
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(650)弓矢作りにチャレンジ!
「あれあれ? モンタ博士が、写真を撮っているよ。」
「何だろうね。近くに行って見せてもらおうよ。」
「モンタ博士! 何をやっているんですか。」
「よくぞ聞いてくれたね。モンタ博士は、今、旧石器時代の人間に変身して、弓矢を作ったのさ。」
「旧石器時代? って、いつのことですか。」
「とても昔のことですね。でも、いつごろだろう。」
「そうだね。縄文時代のお話はしたと思うけど、そのもっともっと、ずうっと昔さ。そうだね。数万年から数十万年くらい前かな。」
「そんなに昔なんですか。その旧石器時代というのは、どんな時代なんですか。」
「そうだね。まだ土器とかなくて、石の打ち欠きによって作った石器、これを打製石器と言うけど、そんな物を使って生活していた時代さ。」
「へえー。そんな昔なんですか。そのころ、人間はどんな生活をしていたのですか。もう少しくわしく教えてください。」
「石器のほかに、動物の骨や角などで作られた骨角器を使い、狩りや採集をしていた時代なんだ。ところで、ここで二人に質問だけど、どうやって骨や角を使っていたと思う。」
「そうですね。多分だけど、骨や角を棒に付けて、それを獲物に向かって投げていたんじゃないかな。」
「つまり、ヤリのような物だと思います。」
「そうだね。5~10m、20mくらいまでなら、何とか人間が投げれば届いただろうね。でも、もっと遠くの獲物をねらう場合には届かないで困っちゃうね。」
「そうか。人間の力では遠くまで飛ばないので、弓矢にしたんですね。」
「そうだね。そうすれば、遠くまで飛ぶね。弓には竹のようにしなるけど丈夫な物を使ったんだろうね。それから、矢には、軽くてもしっかりしていて、まっすぐに飛ぶような物を使うようにしたんだろうね。」
「弓の糸の部分には、じょうぶで切れない物にしたんでしょうね。」
「そうだね、そうやって、あれこれと探したんだろうね。どんな物がいいか、いろいろ考え工夫したんだろう。そうやって、1つ1つの道具を作り、より良いもの、より強力な物にしていったんだね。」
「人間の歴史って、すごいんですね。」
「人間はそうやって、道具を作り生活を豊かにしてきたんだ。でも、人が集まり集団ができると、集団同士で戦争も起こるね。その時の戦う道具として弓矢は、武器としても使われてきたことも事実だね。」
「武器としての弓矢はきらいです。弓矢は平和のために利用してほしいです。」
「そのとおりだね。でも今は、弓矢は競技スポーツとしてあるし、弓道として心身鍛錬のためにもあるんだよ。」
「ところで、モンタ博士! どうして今、弓矢なんですか。」
「それはね、旧石器時代の人間って、どんなことを考えていたのか。弓矢などの道具をどうやって作っていたかを知りたくてね。それから、それから、花ちゃんやオー君でも、かんたんに作れる弓矢はないかなと思ってね。」
「えっ! それって、弓矢作りを教えてくれるということですか。」
「もちろん、そうだよ。」
「わたしたち、何も持っていません。材料とか何を使えばいいか分かりません。」
「だいじょうぶだよ。それでは、今から、現代版『弓矢作り教室』の始まり始まりだよ。まず、弓から作ろう。下の写真を見てごらん。」
「まず、(1)は、竹を切ってから、しばらく乾燥させた竹だ。(2)は、それをナタでさいた物だよ。(3)は、竹を弓の太さにさいたものだよ。そして、(4)が竹の角がとがっているので危ないので、少し角を落としたものさ。」
「角がきれいになっています。これからどうするのですか。」
「紙やすりで角をもう少しすべすべにした方が、さらに危なくないね。」
「こうやると、竹のかんしょくというか、手ざわりがとてもいい感じですね。」
「次に弓に糸をはるよ。たこ糸でいいけど、1本でいいかな。」
「1本だと少し弱い感じですね。でも、どうすればいいかな。強い糸にしたいです。どうしよう。」
「そうだね。2本より3本がいいね。そこで、考えたんだけど、三つ編みにするといいんだよ。」
「三つ編みって、何だろう。」
「三つ編みって、髪の毛をたばねる時にやるのよ。わたしは、くわしいからまかせて。」
「まず、3本のたこ糸を弓のハシにまいてから、三つ編みにしていこう。その時に、写真(5)にあるようにみぞをほっておいたから、そこにまくようにしようね。」
「みぞがあるから、まきやすいし、取れにくいですね。」
「弓になる竹をある程度しならせたら、もう一方のみぞにまきつけて結ぼう。次に矢だけでも、これにも紙やすりできれいにするといいね。注意するのは、矢の先だよ。そのままだと危ないから、発泡スチロールや布のかたまりを必ず付けるようにしよう。それで、できあがり。」
弓矢の歴史
弓矢の歴史は古く旧石器時代にまで遡り、飛び道具として投槍の次に発明されたものである。現代でも未開の国では狩猟具として使われている地域もあり、また古代から武具・武器としても尊重されて使われている。現存する最も古い弓矢は、南アフリカのシブドゥ洞窟で発見され、約64000年前のものだと言われている。アジアでは、スリランカの熱帯雨林の洞窟「ファ・ヒエン・レナ」から発見された弓矢の矢尻が約48000年前の物で最古である。大昔からその威力が人々からあがめられて崇拝の対象にもなっており、また宗教的儀式にも用いられている。日本では平安時代から神事で取り扱われ、弓術や弓道は武士のたしなみであり、日本の伝統文化としても根付いている。近代以降は競技スポーツの道具としても使われ、レクリエーション目的でも用いられる道具である。なお、弓はハープ(竪琴)の起源でもあり、世界各地にある弦楽器の発祥とも関連がある場合が多いと考えられている。また、一部の火起し器の起源でもある。文明が発達し人口も増えて、国や領土という社会構造ができることにより、世界中で大規模な戦争が起きてきた。そこで戦いを有利に進めるために、これまでの1対1の戦いから集団戦、遠距離の戦術などにより、弓矢は戦場において重要な役割を持つようになった。弓矢隊や弓兵・弓歩兵を生み出し、戦術も多様になり、馬も利用し、馬上から弓を使う弓騎兵なども生まれ、短い弓がさらに改良されていったと考えられる。