東書キッズ

１．身近（みぢか）な自然（しぜん）の観察（かんさつ）
　（6）天文現象（てんもんげんしょう）・自然現象（しぜんげんしょう）・暦（こよみ）
２．植物（しょくぶつ）の世界（せかい）
　（4）被子植物（ひししょくぶつ）（単子葉類（たんしようるい））のなかま
　（9）わあ、楽（たの）しい！草花（くさばな）あそびの世界（せかい）

（649）凧（たこ）は、なぜあがる？

「花（はな）ちゃん！きのうの凧（たこ）あげは楽（たの）しかったね。」

「本当（ほんとう）ね。それにしても、モンタ博士（はかせ）特製（とくせい）の凧（たこ）はよくあがったね。」

「二人（ふたり）とも喜（よろこ）んでくれてうれしいよ。それでは、今日（きょう）はなぜ凧（たこ）が空（そら）高（たか）くあがるかをいっしょに考（かんが）えていこう。少（すこ）しむずかしいお話（はなし）になるかもしれないけど、がんばって聞（き）いてね。」

「この前（まえ）、鳥（とり）や飛行機（ひこうき）が空（そら）高（たか）く飛（と）ぶ理由（りゆう）を教（おし）えてもらいましたが、『揚力（ようりょく）』というものであがるんですよね。」

「よく覚（おぼ）えていたね。感（かん）心（しん）だよ。」

「凧（たこ）は鳥（とり）や飛行機（ひこうき）と同（おな）じなのですか。でも、つばさや羽（はね）はありませんが。」

「そうだね。凧（たこ）があがる仕（し）組（く）みは、かんたんに言（い）うと、『空気（くうき）とがぶつかって、ななめ上（うえ）におしあげられる』ということだよ。」

「ヨットが風（かぜ）を受（う）けながら進（すす）むというのと同（おな）じということですか。」

「ぴったり正解（せいかい）というわけではないけど、それに近（ちか）いね。ちょっとむずかしいけど、空気（くうき）というものはね、サラッとしているようだけど、本（ほん）当（とう）は、ねばりけというのもあってね、空気がウラ側（がわ）にまきこむようになるんだ。」

「なんだか複（ふく）雑（ざつ）なお話（はなし）になってきましたね。」

「そうだよ。凧（たこ）の場合（ばあい）には、揚力（ようりょく）だけでなく複雑（ふくざつ）な風（かぜ）が加（くわ）わるんだよ。それから、凧（たこ）の形（かたち）や骨組（ほねぐ）みなどでも、風の受（う）け方（かた）が強（つよ）くなったり、弱（よわ）くなったりするんだ。」

「凧（たこ）の形（かたち）や骨組（ほねぐ）みですか。どういうことですか。」

「まず、下（した）の絵（え）を見（み）てごらん。ダイヤ凧（だこ）というと、（1）を考（かんが）えるよね。でも、みんなといっしょに作（つく）ったのは、（2）でしょ。このちがいは分（わ）かるかな。」

「（1）は横線（よこせん）がまっすぐで、（2）は曲（ま）がっていますね。それくらいかな。」

「そうか、それでは、次（つぎ）の（3）と（4）の絵（え）を見（み）てごらん。少（すこ）しオーバーにしたんだけど、基本的（きほんてき）には同（おな）じ形（かたち）なんだよ。何（なに）かちがいが分（わ）かるかな。

「（3）は（1）ににていますね。そして、（4）は（2）ににています。」

「そうだね。それでは、面（めん）積（せき）つまり広（ひろ）さという点（てん）で見（み）るとどうかな。」

「あっ！分（わ）かった！（3）と（1）は、横線（よこせん）の下（した）がせまいけど、（4）と（2）は横線の下が、とても広（ひろ）くなっている感（かん）じがします。」

「そうだね。広（ひろ）いということは、風（かぜ）がふいてきた時（とき）にどうなんだろう。」

「あっ！分（わ）かった！たくさんの風（かぜ）を受（う）けることができるということですね。」

「そのとおり。つまり、上（うえ）の点線（てんせん）

の部分（ぶぶん）を『たるみ』と言（い）うけど、このたるみが広（ひろ）い方（ほう）が風（かぜ）をうまく受（う）けて、全（ぜん）体（たい）をつつみこむようになり、凧（たこ）がよくあがるということなんだよ。」

「分（わ）かりました。これが、この前（まえ）、お話（はなし）のあったポイント１ですね。」

「それでは、ポイント２の、たての竹（たけ）ひごにつける２つの糸（いと）についてですが、どう考（かんが）えればいいのですか。」

「凧（たこ）につけた数本（すうほん）の糸（いと）のことを糸目（いとめ）というけど、これも凧（たこ）がよくあがるために、バランスをとっているんだよ。」

「どのようにバランスをとっているのですか。」

「まん中（なか）に二本（にほん）の糸（いと）をつけることにより、左右（さゆう）に風（かぜ）が流（なが）れ、力（ちから）が分散（ぶんさん）されるようになっているんだよ。下（した）にやじろべえの絵（え）があるけど、左右同（おな）じようになっているんだよ。」

「なるほど。よく分（わ）かりました。とても勉強（べんきょう）になりました。」

「そうですね。こういうことが分（わ）かってからだと、また凧（たこ）あげが楽（たの）しくなりますね。ありがとうございました。」

「以上（いじょう）のお話（はなし）は、モンタ博士（はかせ）なりに、いろいろと調（しら）べたことを基（もと）にお話（はな）ししたけど、ひょっとしたらまちがっているかもしれないんだ。専門家（せんもんか）の人（ひと）や航空（こうくう）力学（りきがく）について、くわしくお勉（べん）強（きょう）をしている人からの、ご意（い）見（けん）やご感（かん）想（そう）もお待（ま）ちしています。どうかよろしくお願（ねが）いします。」

お子様と共に凧（たこ）の揚がる原理を知る大切さ！

　大空に高く高く悠々と舞いあがる凧（たこ）。でも、どうして凧は空に揚がるのでしょうか。どうして落ちてしまうこともあるんだろう。とうして風の無い時には揚がらないのか。どうしてなんだろう？大人は、常識にとらわれ過ぎなのか、素朴な素直な感情が失せてしまったのか。大人が疑問に思わないことでも、子供にとっては、とても魔訶（まか）不思議（ふしぎ）で面白く興味・関心の対象であり、驚きわくわくドキドキの世界に満ち溢（あふ）れているものです。みずみずしい感性の持ち主である子供と共に、好奇心をもって一緒に行動してみませんか。凧のその不思議な原理を知ってから凧を揚げれば、お子さまの知的探求心に火が付き、様々な学びの世界はより広がっていくことでしょう。子供と一緒に凧揚げをして、楽しみながら学びに触れさせて欲しいと思います。