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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (4)生物せいぶつ日本人にほんじんのかかわり
2.植物しょくぶつ世界せかい
(3)被子植物ひししょくぶつ双子葉類そうしようるい)のなかま
(640)和紙わし材料ざいりょう(ミツマタ・ガンピ)
写真1
「やあ! はなちゃん・オーくん元気げんきかな。」
モンタ博士

オーくん
「はい、もちろん元気げんきです。このごろ、あたたかくなってうれしいなあ。」

花ちゃん
「わたしもげんです。おそとでてくてくさんするのもたのしい季節きせつになりますね。」

「そうだね。このまえね、てくてくしていたら、こんなおはながさいていたんだ。」
モンタ博士

オーくん
いろいおはなですね。3つさいているね。花ちゃん! たことある?」

花ちゃん
「わたしもはじめてのおはなです。よくると、ちいさないろいお花がたくさんあつまっているように見えますね。」

「そうだね。それでは、しゃしんしろまるせんでかこってあるところをよくてごらん。どうなっているかな。なにがつかないかな。」
モンタ博士

オーくん
えだみぎしたからのびていて、枝がしろい〇のなかで、かれていますね。」

「いくつにかれているかな。よくてごらん。」
モンタ博士

オーくん
「えーっと、1つ、2つ、3つ⋯⋯3つにかれています。」

「そうだね。3つにかれているね。ところで、2つに分かれることを、『ふたまた』とかいうよね。それでは、3つに分かれていたら?」
モンタ博士

オーくん
「『ふたまた』ではなくて、『みつまた』ですね。」

花ちゃん
「あっ! おもしたわ。この植物しょくぶつはミツマタですね。」

「そのとおり。これはミツマタという植物しょくぶつだよ。」
モンタ博士

オーくん
「へえー。そうなんだ。おもしろくおぼえやすい植物しょくぶつですね。ところで、どんなところえているのですか。」

「もともとは、ちゅうごくでね。おにわなどにえてあるよ。」
モンタ博士

オーくん
「それで、どうしてミツマタのおはなしなのですか。」

「このまえさ、のおはなしをしたよね。おくのこっているかな。」
モンタ博士

花ちゃん
おもしました。和紙わし原料げんりょうは、コウゾのほかにミツマタやガンピ、という植物しょくぶつ使つかうのですね。」

「そうだよ。そしてね、このミツマタという植物しょくぶつ樹皮じゅひからは、日本にほんのおかね紙幣しへいつくるんだよ。」
モンタ博士

オーくん
紙幣しへいって、あの1000えんさつ、5000円札、10000円札ですか。ぼくのさいふのなかは、いつもジャラジャラのコインしかはいっていませんが⋯⋯。」

「モンタ博士はかせのさいふのなかは、おさつしかはいっていないよ、というのはゆめのまた夢だけど、どうしてミツマタはお札に使つかうのかな。おっと、そのまえに。お札って、どんな特徴とくちょうがあるかな。」
モンタ博士

オーくん
「みんなが使つかうものですね。ずうっと自分じぶんのさいふのなかにあってほしいけど、ものをすると、くなっちゃうね。」

花ちゃん
「そうね、くなっちゃうとうよりも、つぎから次へといろいろなひとつのがおさつですね。」

「つまりね、たくさんのひとにわたるということは、しっかりがんじょうでないとダメということですね。」
モンタ博士

写真234
花ちゃん
かりました。そこで、ミツマタが登場とうじょうということですね。」

「そのとおり。おさつはミツマタのかわ使つかうということだよ。」
モンタ博士

オーくん
「それだけミツマタというのは、じょうぶで長持ながもちするんですね。」

「そうだよ。ミツマタでおさつつくれば、こすってもげてもだいじょうぶなんだ。もともと日本にほんになかっただけど、おにわなどにえられているよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「おさつつく材料ざいりょうとして、ミツマタを使つかうのはかりましたが、どこかで栽培さいばいしているのですか。」

「2016ねん時点じてんでは、島根県しまねけん岡山県おかやまけん徳島県とくしまけんなどでつくられて、国立こくりつ印刷局いんさつきょくというところおさめているということだよ。」
モンタ博士

オーくん
「なるほど、それらのけんたいせつなおさつのもとをつくっているんですね。」

「どころがね、最近さいきん過疎化かそか農家のうか高齢化こうれいか、さらに後継者こうけいしゃ不足ぶそくなどで、日本にほんだけではわなくて、ネパールや中国ちゅうごくなどからもミツマタをたくさん輸入ゆにゅうしているそうなんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「そうなんですか。いろいろと問題もんだいもあるんですね。」

ミツマタとガンピという樹木について
 日本にミツマタが入ってきたのは、室町時代の終わり頃と言われています。現在ではお札の材料として無くてはならないものですが、明治の始めころは、ガンピ(雁皮)という木の皮から和紙を作ったそうです。 しかし、ガンピというのは、栽培が困難であるために、栽培が容易であるミツマタを原料として研究を重ねて現在に至っています。また、日本銀行券(お札)の他に、株券など重要な文書にもミツマタを使用する場合があるそうです。
 なお、ガンピ類の樹木は、ほとんどが西日本に多く繁茂するものであり、あまり目にすることがない植物です。ガンピの分布は東限が静岡伊豆地方辺りで、キガンビは近畿以西で、青ガンピという種は、南西諸島など沖縄などに自然状態で繁茂しています。
 沖縄西表島いりおもてじまの子供たちは、卒業証書を自分の手でいた紙を、自分の卒業証書にするという記事を読んだことがあります。野生のガンピを採って蒸して柔らかくし、皮をはぎ水につけ砕きどろどろにし、それを簀桁すけたという用具ですくいあげるそうです。この活動は、西表島でガンピ栽培を研究している人がサポートしながら教えると記事にありました。古くから珍重されてきた沖縄ガンピ紙は、こうして子供たちによってよみがえりつつあるとのことです。形のないものから、あるものが生まれてくる瞬間の驚きや感動から、子供たちは多くのことを学ぶのだと思います。  
 
   てくてく自然散歩シリーズ
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