1.身近な自然の観察
(4)生物と日本人のかかわり
2.植物の世界
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
(639)和紙とは
「わあー。いろいろなテープがあるね。みんなきれいだね。」
「いいでしょ。かわいいでしょ。おしゃれでしょ。これはね、マスキングテープと言ってね、今、人気のある文房具よ。すてきでしょ。ラベリングやデコレーションにもいいのよ。」
「そんなに高くもなさそうだし、100キンにも売っていそうだし、おこづかいで買えそうだね。」
「そうよ。いろいろなマスキングテープを集めるのが、趣味なのね。」
「ほほー。いろいろあるね。モンタ博士も少しだけど持っているよ。始めは海外で工業用に開発されたものだけど、日本で改良され、マスキングテープという名前で売っているんだね。ところで、このマスキングテープを外国では何と呼んでいるか知っているかな。」
「外国にもあるんですか。」
「Washi tape 和紙テープ。つまり、和紙のテープということなんだ。」
「へえー。そうなんですか。どうして、和紙で作られているのですか。」
「和紙を使っているので、うすくてじょうぶで強いんだ。それから、紙だからちぎったりできるから、テープとしてもいいんだよ。」
「へえー。すごいんですね。和紙というのはどのくらい強いのですか。」
「ある実験では、洋紙とくらべると、10倍くらいの強さがあるらしいよ。」
「えっ! 10倍。ところで、洋紙って何ですか。」
「そうだね。洋紙というのはね、明治時代に外国から伝わった方法で作った紙で、それに対して、日本の伝統的な紙を和紙というんだ。」
「それぞれどんな特徴があるのですか。」
「まず、紙というのは植物から取り出した繊維を、シート状にしたものなんだ。洋紙は繊維が短く厚さが同じで、表面はつるつるで大量生産しやすく、紙と言えば、ほとんどが洋紙といっていいかな。」
「ということは、和紙はあまり人気がないのですか。」
「ところがね、特に日本の手すき和紙は、美しく心地よい手ざわりで、日本の代表的な伝統工芸となっていてね、2014年にユネスコ無形文化遺産に登録されているんだよ。」
「へえー。和紙ってすごいんですね。感心しちゃうな。」
「特別な紙として、表彰状や卒業証書などに使われるそうですね。」
「そうだね。和紙は洋紙にくらべると、右の写真にもあるように、その繊維がとても長いのが特徴で、現代社会でもその特性を生かして、改良を重ね、いろいろな物を作っているんだ。障子やふすま、提灯はもちろん、日本の伝統を支えてきたもので、独特な存在感を発揮しているね。インテリアやランプシェード、その他の照明器具などにもいろいろと工夫され、使用されているんだよ。」
「和紙って、本当にすごいんですね。世界にほこる日本の和紙ですね。」
「マスキングテープから、和紙のお話まで今日もいろいろなお勉強ができてよかったね。ぼくも今からマスキングテープを買いに、100キンに行って来まーす。
世界一薄い手すき和紙
日本人は昔から、木や草などの植物と仲良くしてきて、それらの特長を生かして伝統的な工芸品の作成はもちろん、様々な文化として発展させてきたと言える。手すき和紙もその一つであり、カゲロウの羽と呼ばれる土佐和紙などは、厚さが0.02mmと言われている。これは、ティッシュペーパー1枚の約半分の厚さと言われているから驚きである。
和紙の原料としては、コウゾを一般的に用いているが、これは野生種のカジノキとヒメコウゾを掛け合わせて作った種であり、和紙作成のために大量に栽培されている。和紙には、他にミツマタやガンピというものも利用されており、お札や株券などの材料にもなっている。