3.動物の世界
(4)鳥のなかま
(630)鳥講座2(鳥の消化)
「おじさん! こんにちは、また遊びに来てしまいました。」
「そうなんですよ。オー君は、この前、おじさんに鳥のお話を聞いてから、すっかりハマってしまったようなんです。おじゃまして申しわけありません。」
「やあ! オー君も花ちゃんも元気そうで何よりだね。」
「この前は、鳥の羽について教えてくれてありがとうございました。それで、もっとお話を聞きたいなと思って、またおじゃましたんです。」
「みんなとお話しすると、おじさんも楽しいんだよ。何でも聞いていいよ。」
「それでは、ずいぶん前から気になっていたことがあるんですが、どうして鳥には歯がないんですか。」
「そうだね。いい質問だね。まず、鳥は何を食べると思うかな。」
「虫とか植物の種とかを食べると思います。」
「川の近くの鳥は、魚を食べます。それから、猛禽類は、他の動物の肉とか食べるんですね。」
「そうだね。身近な鳥たちは、いろいろなものを食べているんだよ。食べると言っても、もぐもぐと歯でかむのではなく、ほとんど飲み込んでしまうんだ。」
「ごはんを食べる時は、よくかむように言われますが、かまずに飲み込むなんて、消化によくないようですが⋯⋯。」
「鳥は消化にかける時間を短くして、体の外に早く出すようにしているんだよ。」
「つまり、すばやく消化・吸収して、体を軽くし飛びやすくしているということですか。」
「そのとおり、そのとおりだよ。」
「では、鳥はどのように食べたものを消化しているのですか。」
「鳥は『腺胃』と『筋胃』という2つの胃があるんだよ。」
「2つも胃があるんですか。」
「そうだよ。『腺胃』というのは、人間と同じような役目があってね、強い酸性の消化液で食べ物を化学的に分解するんだ。」
「2つ目の胃は何をするんですか。」
「2つ目の『筋胃』は、『砂肝』とも言うけど、人の歯と同じような役目があり、強力な筋肉でできた胃の運動とある物? によって、食べ物をすりつぶすんだよ。」
「ある物って、いったい何なんですか?」
「それはね、石なんだよ。」
「へえー。石って、あの石ころですか。」
「鳥の種類によっては石を持たないものもいるけど、大昔にいた鳥の祖先と考えられている恐竜も、石を持っていたことが分かっているんだ。」
「へえー。そうなんですか。鳥について、今日もいろいろと勉強ができました。分かるって、おもしろいですね。それに、見方や考え方がより深くなるんですね。また遊びに来てもいいですか。」
「いつでもおいで、待っているよ。あっ! そうだ。今度いっしょに野鳥の観察に行こうよ。観察することにより、鳥についてより分かって楽しいよ。」
「本当ですか。うれしいです。」
「ヤッター! 楽しみにしています。」
鶏肉専門店のご協力を得て!
鳥の胃の写真を見て、とてもリアルというか、本物そのもので、よくここまで詳しく撮影できたか、不思議に思う人もいることでしょう。実は、砂肝とかは焼き鳥屋さんでよく注文はするものの、その実態はあまり知りませんでした。というよりもそのような機会は全くなく、より分かりやすい説明をするためにどうしようかといろいろと考えた結果、実際に鳥肉屋さんに行って、お肉をさばいている人に直接お話を聞きたいと考えました。しかし、モンタ博士の知り合いや親戚には鳥肉屋さんはいないし、またまた、どうしようかと思い悩み、勇気を出して全く知らない鶏肉屋さんに電話して交渉してみました。もちろん、東京書籍株式会社の『てくてく自然散歩』という教育的なネットに情報として載せることをお伝えしたところ、とても喜んで引き受けてくださいました。お店の名前は八王子の鳥肉店「末よし」というところです。そこのご主人の中沢さんが、特別に解体していないニワトリを一羽仕入れてくれて、目の前で30分ほど実演をしてくださいました。正直、初めての経験であり、感動・驚きの連発で、ニワトリに対するイメージがすっかり変わってしまいました。懇切丁寧な説明をしてくれた中沢さんには、心より感謝の気持ちでいっぱいであります。この紙面をお借りし御礼感謝申し上げます。お忙しい中、本当にありがとうございました。
なお、鳥の解剖として全てを知らせようかとも考えたのですが、小学生には少しリアル過ぎて衝撃的な画像もあり、一部のみの掲載となりましたことをご了解ください。