トウショキッズ 東書KIDS

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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (5)裸子植物らししょくぶつのなかま
 (10)あら、不思議ふしぎ植物しょくぶつマジックの世界せかい
(627)マツボックリのマジック
写真1
オーくん
「あれあれ? ボトルのなかなにはいっているね。はなちゃん!」

花ちゃん
なんだろうな? あっ! かった。マツボックリだ。」

オーくん
「ボトルのなかはいったままだね。」

「さあ! これからクイズだよ。マツボックリをそとしてごらん。」
モンタ博士

オーくん
「そんなのかんたんさ。エイ! エイ! こりゃだめですね。マツボックリのほうがおおきくて、ボトルのくちからません。」

         
写真2
「そうか、残念ざんねん! では、ここで魔法まほうみずれるよ。そして、じっとがまんで5~10ぷんつんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「えっ! 3ぷんはカップラーメンだけど、そんなにつのですか⋯⋯ながいな⋯⋯。」

写真3
 ⋯⋯そして、5~10分後ぷんごると⋯⋯。
オーくん
「あれ? マツボックリがちいさくなっているよ。」

花ちゃん
「これなら、ボトルからすことができるわ。」

オーくん
「でも、ふとっちょだったマツボックリが、やせたというとまちがいだけど、なんかちいさくなったというか、しぼんだような⋯⋯。そんなかんじですが、どうしてかな。」

写真4
「それでは正解せいかいうとね、魔法まほうみずというのはただの水さ。つまり、水をれてフタをすると、なか湿度しつどたかくなり『りんぺん』という部分ぶぶんじるということなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「どうしてじたのかな。こりゃ、とっても不思議ふしぎだな。」

じるだけじゃないよ。このあと、マツボックリを乾燥かんそうさせると、『りんぺん』はもとのようにひらくんだ。」
モンタ博士

オーくん
なんでそんなことするのかな。ふーむ⋯⋯。なぜだろう。こりゃ、なぞだ。」

花ちゃん
かった。これは、種子しゅし散布さんぷ関係かんけいがあるんですね。つまり、あめにはじてたねばさないけれど、れて乾燥かんそうすると、『りんぺん』がひらいてなかの種子がそとに飛びすということですね。」

オーくん
「ふーん。なるほど、そういうことか。でも、どうして、その『りんぺん』というものが、ひらいたりじたりするんだろう。」

花ちゃん
「どういう仕組しくみになっているかは、わたしにもからないわ。」

「そうだね。ここからは小学生しょうがくせいにはちょっとむずかしいから、モンタ博士はかせ説明せつめいするね。まずね、このマツボックリの『りんぺん』とは、ちょっとかたくてくろっぽい『つめ』みたいなものだよ。」
モンタ博士

オーくん
「なるほど、『つめ』のようにもえます。それがいっぱいありますね。」

「その様子ようすかるように、マツボックリをたてにった写真しゃしんしたにあるから、てごらん。」
モンタ博士

写真5
オーくん
みぎひだりのちがいがよくかりますね。」

「そうだね。マツボックリの『りんぺん』のつくりは、内側うちがわ外側そとがわではちがう繊維せんいったらむずかしいか。つまり、ちがうものからできているんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「ちがうものって、どういうことかしら。」

「つまり、あめがふると『りんぺん』がじて種子しゅしまもるね、そのときは、内側うちがわ部分ぶぶんちぢむんだ。そして、れると『りんぺん』がひらき種子をばすけど、その時は、外側そとがわの部分が縮むということだね。」
モンタ博士

花ちゃん
「なるほど、そういうメカニズムなのですね。」

オーくん
「メカニズム、なんだ、それ?」

みとか、しかけとか、そうとか、そんなだね。」
モンタ博士

オーくん
「なーるほど。そういうことですか。それにしてもただのマツボックリだけど、その仕組しくみというかメカニズムには感心かんしんしちゃいますね。」

「でもね、まだまだおどろくことがあるんだよ。このマツボックリの開閉かいへい仕組しくみを参考さんこうにしてつくったものがあるんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「どういうものですか。」

「あのね、みんなあついと『あせ』をかくでしょ、そのとき、ふつうの綿わたティーシャツなんかだとベトベトして気持きもわるいね。そこで、このマツボックリとみずとの関係かんけいから、ある繊維せんいつくったそうなんだ。」
モンタ博士

オーくん
「へえー。どんなものなんですか。」

「つまりね、あせをかくと繊維せんいあいだひらいてかぜとおしがよくなり、すずしさをかんじることができ、ティーシャツをぬがなくてもいいというものさ。すごいだろう。」
モンタ博士

花ちゃん
「へえー。すごいですね。」

「さらに、その魔法まほうのような繊維せんいである生地きじが、自然しぜん体温たいおん調整ちょうせいしてくれるというんだ。まったく、人間にんげん英知えいちというか、知恵ちえはたいしたもんだね。感心かんしんしちゃうね。」
モンタ博士

マツボックリの応用まだまだあるから驚きだ!
 マツボックリの鱗片りんぺん、つまり量(かさ)は湿度に反応して自然に動く。湿度が高いと鱗片(一つ一つのかさ・つめ)はまっすぐそのままで、湿度が低くなると鱗片は湾曲する。そこで、チューリッヒ工科大学のチアラ・バイラチィさんは、繊維が縦に入った異なる種類の板を平行に並べて、湿度の変化で板の角度を調整した。湿気が高い朝と夜は、板は真っすぐで垂直になり、太陽が高くなって空気が乾燥する日中は板が湾曲して影を作るそうである。このシンプルなメカニズムを実用化するまでは数年も要したそうだ。あれこれと試行錯誤の連続であったそうだが、今では同大学のキャンパス屋上に設置されたサンシェードの下ではそよ風が気持ちよく吹いているそうである。そのうち、いつの日かキャンパス屋上に訪れてみたいものである。
   てくてく自然散歩シリーズ
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