6.その他
(4)実験・観察・調査から
(625)テイカカズラとキジョランの毛の数は?
「ねえ、花ちゃん。この植物って、フワフワとよく飛ぶね。」
「そうね、タンポポと同じように綿毛がいっぱいついているからね。」
「この植物の名前は、何ていうの。」
「左がテイカカズラで、右はキジョランというのよ。」
「この綿毛がたくさんついているから、それでよく飛ぶんだよね。」
「そのとおりよ。それがどうかしたの。」
「それにしても綿毛がたくさんあるね。」
「たくさんあるし、絹糸のようにとても細くて白くてきれいね。」
「花ちゃん、この白い毛は全部でいくつあるのかな。」
「そうね。わたしも知らないわ。数えたことがないもん。」
「そうか、花ちゃんでも数えたことがないんだ。知りたいな。この毛の数を。」
「えっ! 本気で言っているの。数えるのが大変そうだよ。」
「花ちゃんはいろいろな植物の図鑑を持っているんでしょ。それには毛の数とか書いてないのかな。」
「見たことないなあ。でも、本当に何本くらいあるのかしら。」
「ねえ、図鑑にも書いてないということは、調べた人がいないということかな。そうだ。何事もチャレンジすることが大切だと、いつもモンタ博士も言っているよね。花ちゃん! 挑戦してみようよ。」
「そうね。なんだか楽しそう。やりましょう。でも、どうやって調べようか。」
「そうだな。よく見ると、まとまっている感じだね。それじゃ、バラバラにしてみたらいいかもね。」
「そうね。ごちゃごちゃしてたら数えられないけど、いくつかのまとまりに分けるということね。」
「それから、白い毛なので、黒い紙の上でやると分かりやすいかもね。」
「そうね、そのとおりね。」
「分けると、風やちょっとした息などで飛んでしまうよね。そうだ、まとまりをセロテープではり付けてしまえばいいんだね。」
「さすが、オー君、天才的なひらめきですね。」
「ともかく分けて分けて、まとまりにしていくんだね。なんとかできたけど、とても細い毛なので、肉眼では見えくいね。どうしよう。」
「そうだ。虫メガネで見て、1つ1つ数えていきましょう。」
「花ちゃん、二人でやったから、何とかできたね。記念に写真に撮っておこう。」
「あとは、数えた数字をたし算していけばいいのね。」
「それでは、発表します。テイカカズラは724本、キジョランは1767本。終わったね。花ちゃん、ぼくたち、よくがんばったね。」
「花ちゃん・オー君。何をがんばったの。」
「わたしたちで、テイカカズラとキジョランの綿毛の数を調べたんです。」
「ほほー。ふつうなら数える気なんかしないで終わりにするけど、すごいね。どうやって調べたのか教えてほしいね。」
「これこれ、こうやって、それからそれから、こうやってからまたこうやって!」
「すばらしい! どうやって調べるか。その方法を考えたのだからえらい。」
「それほどでもありませんが⋯⋯。」
「1つ1つのまとまりを作って、いくつかに分けたのがすごい。」
「それほどでもありませんが⋯⋯。」
「それから、どうやれば目立つか考え、黒い紙を使ったのがえらい。」
「本当にえらいですか。うれしいな。」
「さらに、飛ばないように、テープではり付けたのはナイスアイデアだ。」
「本当にナイスアイデアですか。うれしいわ。」
「もっとあるよ。虫メガネを使い、きちんと調べたのが立派だね。」
「立派なんて言われると、てれちゃいます。」
「さらに、最後まで根気よく数えたのも感心だね。」
「感心なんて言われると、うれしくなっちゃいます。」
「でもね、よく考えていくと、いくつかの課題もあるね。」
「課題ですか。問題点ということですね。」
「そうだね。テイカカズラとキジョランの1つずつのデータということだね。統計を取るには、サンプルの数が大切なんだ。個体によって差もあるから、なるべくたくさんやるといいね。それから、数え方だけど、誤りもあるだろうから、何度も数えたりするといいかもね。」
「課題があるということは、失敗ということですか。」
「とんでもない、大成功だよ。すばらしいよ。みんながめんどうだ、大変だということにチャレンジしたこと、そしてこの経験は、とても価値のあることだと思うよ。すばらしい×∞(無限大)だよ。」
「よーし、ほめられたぞ。これからもいろいろなことに興味・関心を持って、観察や実験を楽しんでいくぞ。」
「そうしましょう。そうしましょう。好奇心を大切にしていきまーす!」
テイカカズラのつぶやき
私は、キョウチクトウ科のテイカカズラと言います。私の名前は、式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れられず、ついに定家葛に生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説に基づいているそうですが、諸説あるようです。なお、かずらとは、ツルになる植物という意味です。
私は、茎が明るい所では地上をはい回り、暗い所では木によじ登るようです。それに反してナツヅタ、フジは暗い所では地面を這うようになっています。5~6月頃に白い花を咲かせ、のちに黄色っぽく変身していきます。多くの栽培品種などがあり、今では垣根などにも見られます。香りもとてもいいんですよ。まだ経験の無い方は、ぜひ、私に顔と鼻を近づけて五感を活用して観察してください。
私の特徴は、何といっても花ちゃんやオー君が紹介してくれたように、たくさんの絹のような綿毛です。でも、その数を数えたというからとても感心しています。本当にびっくりしています。誰でも数える気になりませんね。しかし、私より上手のキジョランは倍以上の綿毛を持っているんですね。すごいです。尊敬しちゃいます。これからもいろいろな植物を研究し、楽しく観察実験してください。期待しています。