トウショキッズ 東書KIDS

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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (3)季節きせつ生物せいぶつ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (1)はなのつくりとはたらき
 (3)被子植物ひししょくぶつ双子葉類そうしようるい)のなかま
(621)ウメとサクラの開花かいかについて
写真1・2
花ちゃん
一日いちにちはるいのちがみなぎりはじめてきましたね。さあ! いよいよたのしいせつの始まりね。オーくん! あちこち、てくてく散歩さんぽしよう!」

オーくん
「そうだね。おっ! はないているね。これは、ウメだね。このくらいはオーくんでもかるんだぞ。」

花ちゃん
「そうね。ウメのはなは、はるのさきがけとしてくね。とてもいいかおりね。」

オーくん
「さっきから、はるいのちがみなぎるとか、春のさきがけとか、いろいろな言葉ことばっているんだね。感心かんしんしちゃうな。」

花ちゃん
「ほめてくれてうれしいわ。あっ! 早咲はやざきのサクラもあっちにあるわ。」

オーくん
「うす紅色べにいろっていうんでしょ。あわいピンク色で、とてもいいね。」

花ちゃん
「うす紅色べにいろとか、あわいとか、オーくんのおはな表現ひょうげんもとてもすてきよ。」

オーくん
「ぼくもほめられちゃって、うれしいな。あっ! あっちにはカワヅザクラがあるね。このサクラはピンクいろでとてもはやくサクラなんだよね。」

花ちゃん
「オーくん。よくっているわね。すごいわ。ところで、オー君。ウメとサクラって、おなじようにはるになったらくけど、そのちがいって知ってる?」

オーくん
「えっ! まあ、そうわれると、こまっちゃうな。ウメのほうはやくよね。」

花ちゃん
「そうね。はやくサクラもあるわ。さあ、もうすこちかくではなかんさつしようか。」

写真3・4
写真5・6
                           
オーくん
「そうだね。あれっ? ウメとサクラでは、はなのつきかたがちがうね。それに、花びらをよーくると、これまたちがいがあるね。」

花ちゃん
「オーくんがついたのね。どんなちがいがあるか、ってみてよ。」

オーくん
「まず、ウメははなえだからすぐにているかんじだけど、サクラは、花にがあるようだよ。それから、ウメの花びらはさきまるいけど、サクラの花びらは先がすこしわれている感じだよ。」

「ほほー。今日きょう二人ふたりでウメとサクラの観察かんさつかね。えらいね。これからはてくてく散歩さんぽ季節きせつだね。モンタ博士はかせ仲間なかまれておくれよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「うわー、うれしいな。いま、ウメとサクラをてちがいをさがしていたんですが、オーくんとしっかりと観察かんさつして、いろいろなことがかったんです。」

「それはすごいね。いまはなちゃんは『しっかり』とったね。大切たいせつなことはそこなんだね。いつもはづかずにとおりすぎてしまうものも、『ていねい』にること、『くらべて』見ることがだいなんだね。」
モンタ博士

オーくん
「またまた、ほめられちゃったな。」

「ところでさ、ウメのほうさきいて、サクラはそのあとに咲くというけど、それって、本当ほんとうかな。そして、それはなぜかな。」
モンタ博士

オーくん
「そうですね。当然とうぜんすぎるとおもっていて、あまり疑問ぎもんかんじなかったな。これじゃ、ダメですね。もっと好奇心こうきしんつようにします。」

花ちゃん
「ウメがさきでサクラはあと⋯⋯、でも、ウメでも遅咲おそざきがあるだろうし、サクラでもはやいものがあるとうし、わたし、からなくなってしまいました。」

植物しょくぶつには、栽培さいばい品種ひんしゅとして改良かいりょうしたものとかあって、いまはなちゃんがったように、くのがおそいウメも、はやいサクラもあるけど、それは例外れいがいとして、一般的いっぱんてきにウメがさきだね。でも、どうしてかな。」
モンタ博士

オーくん
なに意味いみがあるんですよね。何か原因げんいんがあるんでしょうね。」

「そうなんだ。まず、ウメもサクラも、ふゆ休眠きゅうみんするときには、来年らいねんはるはなのつぼみのもとが、冬芽とうがなかにもうできているんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
きゅうみんするために、ふゆさむさはたいせつなことなんですね。」

「そうだね。休眠中きゅうみんちゅうとうひく温度おんどにさらされると、成長せいちょうをおさえるホルモンというものがはじめてね、だんだんとねむりがあさくなり、1~2か月後げつごには、いつでもせるようになるんだよ。」
モンタ博士

オーくん
「ホルモンとかむずかしいおはなしになってきたな。」

「まあ、もうちょっとがまんしていてよ。つまりね、ウメとサクラのはな時期じきがちがうのは、ウメの花芽はなめ成長せいちょうてきしたおんが10前後ぜんごひくいためなんだ。」
モンタ博士

花ちゃん
「それにたいして、サクラはどうなんですか。」

「サクラはウメよりも温度おんどたかくて16~17くらいだからなんだよ。つまりね、ウメのつぼみのねむりが、サクラよりもあさいとえばかるかな。または、ウメのつぼみがひらおんは、サクラよりもひくいということなんだよ。それから、モモ・アンズ・スモモなどは、またちがうみたいだけど、それは、またそのうちおはなししてあげるね。」
モンタ博士

♪ウメは咲いたか、サクラはまだかいな♪
 ウメやサクラ、さらにモモ・アンズ・スモモなどのバラ科の植物が開花するためには、冬の寒さの中で低温を受けることで、開花を阻害する物質が分解され、眠りから覚めることが必要である。その後、暖かくなると、開花を促す物質が作られ開花するのである。
 ところで、それぞれのルーツであるが、これがなかなか難しいようである。まず、ウメは九州地方の北部に自生していたという説もあるが、奈良時代に遣唐使が中国文化と共に日本に持ち帰ったという説もあり、広く普及したのは平安時代である。以前にも説明したが、『万葉集』では花と言えばウメを指し、サクラよりも取り上げた数は多い。それに対し、サクラが世に認められたのは、ずっと後のようである。当時、サクラと言えばヤマザクラが主流であった。なぜなら現在、最も一般化されているサクラは、江戸時代末期にそめ井村いむら(現在の東京都豊島区駒込)の植木職人によって交配開発されたソメイヨシノであるからだ。
 ともかく、春のさきがけとして咲き誇るウメもサクラも、楽しみな花であることに間違いはない。
   てくてく自然散歩シリーズ
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