2.植物の世界
(5)裸子植物のなかま
(9)わあ、楽しい! 草花あそびの世界
(615)イヌマキの手裏剣遊び
「この木は何だろうな。花ちゃん知ってる?」
「何だろうね。そうだ。分からない時には、モンタ博士に聞こうか。」
「そうだね。植物や昆虫の名前については、何度聞いてもいいよと言ってるもんね。」
「困ったなと考えるよりも、聞いた方がいいと、いつも言ってるわね。」
「でも、ちょっと待って。今日、モンタ博士は大学の講義の日だよ。今ごろ女子大生を相手に、にこにこ笑顔で楽しく講義をしているころかな。」
「でも、この時間ならもう講義は終わっているかもね。それでは電話するわね。もしもし、モンタ博士ですか。」
「もしもし、あっ! 花ちゃん。どうしたの。」
「モンタ博士、おいそがしいところごめんなさい。今、お電話だいじょうぶですか。」
「OKだよ。今、講義が終わったところだよ。それで、どうしたの。」
「オー君と二人でてくてく散歩していたのですが、分からない名前の木がありまして、困っていたんです。」
「そうか、それでは、ラインのビデオ通話でお話ししよう。」
「ラインのビデオ通話ですね。分かりました。」
「まず、ラインのビデオ通話にして、それから、右上のラインをタッチしてごらん、そして、次にカメラのマークをタッチしてごらん。」
「これをこうやって、これで、モンタ博士が見えるといいんですけど⋯⋯。」
「スマホを木に近づけてね⋯⋯。あっ! 見えたよ。もう少し近づいてごらん。あっ! 分かったよ。その木は『イヌマキ』の木だね。まちがいないよ。」
「そうか。聞いたことがあります。イヌマキですね。おいそがしいところを本当にどうもありがとうございました。さようなら。」
「えっ! もうさよならなの。つまんないなー。あっ! そうだ。大学にも同じイヌマキの木があったよ。あのね、ちょっと待っててね。3分で戻るからね。そうだ。そのイヌマキの葉っぱを、花ちゃんもオー君も4枚ずつゲットしておいて待っててくれるかな。それじゃ、一度スマホを切るね。」
「3分間待つようにと言っていたね。」
「それから、そのイヌマキの葉っぱを4枚ゲットしておくようにと言ってたね。」
「何が始まるのかな。何だかとっても楽しみになってきたわね。」
⋯⋯ということで、それから3分後⋯⋯。
「お待たせ! 今から『イヌマキの手裏剣』づくりを始めよう。」
「えっ! 手裏剣! 楽しそうですね。」
「ヤッター! おもしろそうだ。でも、どうやって作るのですか。」
「スマホは、そのままビデオ通話にしておいてね。まず、イヌマキの葉を3分の1くらいに折ってね、それを4つ作るんだ。」
「はい分かりました。次にどうするんですか。」
「次にそれぞれを90度に合わせてね、はさむんだよ。それをくり返せばいいんだ。最後がちょっとむずかしいけど、葉っぱの間にはさみこむんだ。分かりやすいように、色画用紙にしてみるね。これなら分かりやすいと思うよ。順番通りにやればいいんだよ。」
「ビデオ通話なので、とてもよく分かります。うわあー! できた。完成だ!」
「完成、おめでとう。でも、この手裏剣は人に向けて投げてはいけないよ。」
「はい。分かりました。約束を守って楽しく遊びます。」
「あれあれ? こいつは何だ。」
「どうしたんだい。オー君。」
「モンタ博士、このイヌマキという木をよく見たら、緑白っぽいのと同じくらいの赤いものが、お団子みたいについているんですが⋯⋯。」
「そう、あったか。それはよかった。運がいいね。」
「そのお団子がどうかしたんですか?」
「そのイヌマキという植物はね、オスとメスの木があるんだ。二人の目の前にあるのは、イヌマキのメスの木なんだ。それで実がついているんだよ。」
「赤いのは少しやわらかくて、おいしそうですよ。」
「ここからとても大切なお話だよ。上の白・黒っぽい緑のところが実だけど、それは毒があるので、絶対に食べてはいけないよ。赤いところは昔の子供たちはおやつにも食べたそうだから大丈夫だよ。ちょっと甘くていい味だよ。」
「えっ! 食べられるのですね。それでは、赤いところだけですね。注意して食べよう。う、うまいぞ。モンタ博士。最高です。おいしいです。」
「それはよかったね。オー君のうれしそうな顔をビデオ通話で見せてくれよ。」
「バッチリ、にっこりです。花ちゃんもおいしいと言って喜んでいます。」
「今日は手裏剣を作ったり、おやつを食べたり、ありがとうございました。」
「よかったね。それでは、スマホを切るよ。バイバイ!」
他の葉っぱでも手裏剣作りにチャレンジしよう
イヌマキと
同じような
形状をもった
植物体であれば、
上記のような手裏剣を
作成できると
考えられる。そこで、まず
思い
浮かぶのはタケ、ササの
仲間である。そこで、
実際にあれこれといろいろと作成してみた。葉っぱ1
枚の
長さと
幅から
考えてみると、スズタケやヤダケが
都合がよいことが
分かった。しかし、タケ・ササ
類では、葉が
薄く手裏剣としてはやや
迫力が
欠ける
部分がある。そこで、
次に
試したのは、やや幅が
狭いコウヤマキである。しかし、このコウヤマキは
樹脂成分が
多く、作成
途中で
油まみれになる
状況であった。キャラボクはやや
長さが
短く、作成したところ、
折った部分がすぐに
切れてしまうという
結果になった。カヤ、イヌガヤはいまだ作成のチャンスがない。もっとも
作りやすいものとしては、キョウチクトウはどうかと
考えた。
長さと幅は
申し
分ないであろうし、葉は
の
強度もあるので、作ってみたものが
下の
写真左である。なお、キョウチクトウは
毒成分が
多いので
取扱注意である。