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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (3)被子植物ひししょくぶつ双子葉類そうしようるい)のなかま
(614)カツラの木(綿菓子わたがしのようなかおり)
オーくん
「あっ! また、とりたね。こんどはスズメのようだよ。」

花ちゃん
「そうだね。それにしても、モンタ博士はかせったとおりだね。ナンキンハゼにはいろいろなとりるんだね。あっ! ウンチおしっこをしたよ。」

オーくん
「ごちゃまぜウンチおしっこだね。やっぱりしろいね。それに、ちょっとだけど、くろてんてんられるよ。」

花ちゃん
「ナンキンハゼの番人ばんにんをやってよかったね。あのしろいマークはやっぱりとりだったね。いろいろよくかったし、本当ほんとうおどろきでおもしろいね。」

オーくん
「いろいろと不思議ふしぎなことでも、よくかんがえることが必要ひつようだね。そして、たりまえでも疑問ぎもんって実験じっけんしてみると、とてもよくかるね。」

花ちゃん
「ナンキンハゼととりとのあいだには、関係性かんけいせいというか、規則性きそくせいのようなものがあるのね。それが、科学的かがくてき証明しょうめいできたというわけね。」

オーくん
科学的かがくてき証明しょうめいか。なんかぼくたちは、科学しゃみたいだね。かっこいいかんじだね。なんだかうれしくなっちゃったな。ところでさ、さっきから、はなちゃん、おくちなかなにかキャンディーとかをなめていない。」

花ちゃん
「いえ、べつなにもなめていないよ。どうして?」

オーくん
「そうだよね。まだおやつの時間じかんではないしね、いや、まあいいや。」

花ちゃん
「えっ! へんだよ。オーくん。どうしたの。はなちゃんにもおしえてよ。」

オーくん
「あのさ、さっきからちょっとになっているんだけど、なんかあまい、いいにおいがしない。綿菓子わたがしのようなかおりだよ。」

花ちゃん
「そのこと。わたし本当ほんとううと、さっきからいいかおりがするなあ。ひょっとして、オーくんのポケットのなかに、キャラメルでもはいっているのかな、とおもっていたところなの。」

オーくん
「えっ! はなちゃんもかんじていたんだ。ぼくが感じていたのは、偶然ぐうぜんじゃないということなんだね。」

花ちゃん
「そういうことね。」

オーくん
「あっ! そうか、偶然ぐうぜんと偶然、それがいっぱいになると、それは必然ひつぜんということになるわけだ。そして、その必然という関係性かんけいせいには、なにか規則性きそくせいがあるということだね。」

花ちゃん
「つまり、不思議ふしぎなこのかおりは、科学的かがくてきにどうしてかがかるということだね。」

「ふーむ。規則性きそくせいとか科学的かがくてきとか、二人ふたりともずいぶんとむずかしそうなおはなし夢中むちゅうのようだけど、どうしたの。」
モンタ博士

花ちゃん
「あっ! モンタ博士はかせ。いまナンキンハゼの観察かんさつ実験じっけんをしていたんですが、ところが⋯⋯。」

オーくん
「どこかからか、とってもいいかおりがしてきたんです。」

花ちゃん
「モンタ博士はかせかんじませんか。このなんともいえないあまい、いいかおり。」

「そうだね。いいかおりだね。モンタ博士はかせかんじるよ。」
モンタ博士

オーくん
「そうでしょ。それはなぜか。そういうときはまわりをよくればいいんでしょ。」

花ちゃん
「まわりには、あまりおうちはないわね。」

オーくん
「どこかでおやつに綿菓子わたがしつくっているかもしれないけど、そういういえはなさそうだしな。どうすればいいんだろう。」

「そういうときには、したてごらん。なにかないかな。がかりをさがそうよl」
モンタ博士

花ちゃん
「きれいなナンキンハゼのがあります。それにすこまるい葉もあります。」

写真1
               
「そのっぱをりにおいをかいでごらん。」
モンタ博士

花ちゃん
「うわあー。いいかおりです。これでなぞけました。においのもとはこのっぱなんですね。この葉っぱがついていた⋯⋯、この木だ。この木からあまいいい香りがしてきます。」

「そうだろう。そうだろう。このカツラというはね、ふつうはかわちかくなどにおおい木だけど、樹形じゅけいっぱのかたちがいいので、公園こうえんなどにもえられているんだよ。」
モンタ博士

写真2
オーくん
「それで、それで⋯⋯。」

「このカツラというはね、とてもあまいいいかおりがするんだよ。乾燥かんそうさせ、粉末ふんまつにしたものを、香りのもとにも使つかっているんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「そのかおりのもとは、はっきりとかっているのですか。」

かおりのもとはね、『マルトール』というぶっしつなんだよ。」
モンタ博士

オーくん
いままでは、このちかくをとおってもあまりかんじなかったのはなぜですか。」

「このカツラのは、葉がいろづくにつれて、そのマルトールという物質ぶっしつおおくなるんだよ。つまり、あきになるとよくかおるということだよ。」
モンタ博士

オーくん
「なるほど、そういうことですか。よくかりました。つまり、ものごとのいろいろな現象げんしょうには、かならなに原因げんいんがあり、そして、それが結果けっかとしてあらわれるということなんですね。」

花ちゃん
「オーくん、いろいろなことがかってよかったね。それにしても、オー君のおはなしのしかたが、まるで科学者かがくしゃのようで、かっこいいよ。オー君!」

オーくん
「まあ、そんなにほめられちゃうと、はずかしいなあー。」

「これからも、いろいろなことに興味きょうみ関心かんしんち、好奇心こうきしんいっぱいにいろいろなものをていこうね。」
モンタ博士

綿菓子そっくりな香りを放つ、カツラという木について
 カツラの葉の香りは、葉が老化段階や乾燥が起因しているようである。なお、カツラの材や茎には上記のマルトールの含有量は少ない傾向があるようだ。マルトールが代謝過程で生合成されるかは現在では明確な結論は出ていない。細胞が弱ったり死んだりして細胞内の成分局在の区切りが壊れた後に起こる成分間の化学反応により生成される可能性が指摘されている。また、マルトールが植物にとってどのような働きを有しているかについては、いまだ研究途上のようである。ただし、マルトールの薬効や抗酸化作用については、様々な研究者が研究を進めている。
 また、カツラは、カツラ科カツラ属で古い時代から生き残ってきた植物であり、日本固有で花には花弁もガクもない。山地の谷沿いの渓畔林を形成する重要な樹種であり、個体数はそれほど多くはない。日本の中北部、東北地方に多く、葉から抹香まっこうを作っており、青森ではマッコノキ、秋田ではマッコ、宮城ではコーノキ、岩手ではオコーノキと呼ばれるそうである。なお、同属のヒロハカツラは、中部地方以北の亜高山帯に分布し、葉は丸く種子の翼が両側に発達する。カツラに比べ樹皮に割れ目は生じない特徴があり、また樹高もそれほど高くはならない。
   てくてく自然散歩シリーズ
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