東書キッズ

１．身近（みぢか）な自然（しぜん）の観察（かんさつ）
　（2）鳥（とり）と植物（しょくぶつ）
３．動物（どうぶつ）の世界（せかい）
　（6）チョウ・ガのなかま

（608）いろいろなチョウの冬（ふゆ）ごし

「モンタ博士（はかせ）。真冬（まふゆ）の今（いま）ごろは、虫（むし）たちもまったくいませんね。」

「それから、お花（はな）もさかなくて、ちょっとさみしい季節（きせつ）ですね。」

「そうかな。そんなことないよ。よく見（み）れば、生（い）き物（もの）も必（かなら）ずいるはずだよ。そうだ、今日（きょう）は、いろいろなチョウに登場（とうじょう）してもらって、『冬（ふゆ）ごし』のようすを聞（き）くことにしよう。それでは、チョウのみなさん！よろしく！」

「はーい！みなさん。こんにちは、右（みぎ）の葉（は）っぱの上（うえ）にいる私（わたし）は、ムラサキシジミと言（い）います。羽（はね）を広（ひろ）げるとあざやかな青紫（あおむらさき）色（いろ）をしているでしょ。暖（あたた）かな日（ひ）には飛（と）んだりしますが、冬（ふゆ）の間（あいだ）は何（なに）も食（た）べずにじっとしているんです。成虫（せいちゅう）のまま冬をこすんだよ。」

「ドングリのできるコナラの木（き）にいるよ。コナラの枝（えだ）をよく見（み）てごらんよ。とても小（ちい）さいけど、丸（まる）いツブが分（わ）かるかな。卵（たまご）で冬（ふゆ）をこしているんだよ。名前（なまえ）はオオミドリシジミといいますよ。成虫（せいちゅう）はとってもきれいだよ。」

「みんなは、ハンノキという木（き）を知（し）っているかな。池（いけ）や沼（ぬま）地（ち）に多（おお）い木なんだ。ぼくはそこにいるよ。オオミドリシジミと名前（なまえ）がよく似（に）ているけど、ミドリシジミといってね、同（おな）じように卵（たまご）で冬（ふゆ）をこすんだよ。

「わたしは、スイバやギシギシの葉（は）が大好（だいす）きなベニシジミだよ。紅（べに）というくらい羽（はね）が赤（あか）いんだよ。ぼくと次（つぎ）に紹（しょう）介（かい）するヤマトシジミは、共（とも）に幼虫（ようちゅう）の姿（すがた）で冬（ふゆ）をこすんだ。」

「私（わたし）は、あちこちに雑草（ざっそう）として生（は）えているカタバミを食（た）べるヤマトシジミです。でも、寒（さむ）い冬（ふゆ）の間（あいだ）は休（やす）んでいることが多（おお）いかな。でも、春（はる）の光（ひかり）がいっぱいで暖（あたた）かい日（ひ）には、葉（は）っぱを少（すこ）しずつ食（た）べながら春を待（ま）っているのよ。葉っぱをかじった跡（あと）が見（み）つけられるはずよ。葉をかき分（わ）けると、緑色（みどりいろ）の小（ちい）さなヤマトシジミの幼虫（ようちゅう）がいるわよ。ぜひ見（み）つけてね。」

「ぼくは、秋（あき）までエノキの葉（は）を食（た）べていたオオムラサキです。でも、冬（ふゆ）になると葉が枯（か）れてしまいます。そこで、エノキの木（き）の下（した）の落（お）ち葉の裏（うら）でじっと春（はる）を待（ま）っているんです。早（はや）起（お）きしてしまうと、エノキの葉が緑（みどり）にならず、おなかをすかして、エネルギー不足（ぶそく）になって困（こま）っちゃうんです。」

「植物（しょくぶつ）だけでなく、花壇（かだん）の横（よこ）のコンクリ―トの壁（かべ）も見（み）てね。茶色（ちゃいろ）いものがいくつもついているでしょ。それが私（わたし）、モンシロチョウよ。ちょっと変（へん）な形（かたち）だけど、『さなぎ』で冬（ふゆ）をこすんだよ。」

「さなぎで冬（ふゆ）ごしするのは、ぼくも同（おな）じだよ。クスノキという木（き）を見（み）つけたら、ぜひぼくを探（さが）してほしいね。でもね、さなぎの色（いろ）がクスノキの葉（は）の色（いろ）ととてもよく似（に）ているから少（すこ）しむずかしいよ。おしりと胸（むね）を糸（いと）のようなもので葉っぱにつけているんだ。」

「寒（さむ）さが少（すこ）しずつゆるんできたようだね。日（ひ）の当（あ）たる建物（たてもの）のわきは手（て）を当てるとほっこり暖（あたた）かく感（かん）じるね。その近（ちか）くに丸（まる）まったチガヤの葉（は）っぱがあったら広（ひろ）げてほしいね。そこにぼく、つまりイチモンジセセリや友達（ともだち）のチャバネセセリがいるよ。口（くち）から吐（は）き出（だ）す糸（いと）で葉っぱを丸（まる）めたりくっつけたりして、巣（す）を作（つく）っているんだよ。そして、巣の周（まわ）りの葉を少（すこ）しずつ食（た）べながら春（はる）を待（ま）っているというわけさ。」

「いろいろなチョウがいたね。ウラギンシジミやムラサキシジミのように成虫（せいちゅう）の姿（すがた）で冬（ふゆ）をこすチョウは４分（ぶん）の１くらいで、あまり多（おお）くないんだね。チョウは冬が来（く）る前（まえ）に死（し）んでしまうけど、どんなチョウも、死ぬ前に卵（たまご）を産（う）んで子供（こども）を残（のこ）すんだ。そして、生（う）まれたチョウの子供は、種類（しゅるい）によっていろいろな姿で冬をこすことが分（わ）かったね。」

「なーるほど、よく分（わ）かりました。ところで、モンタ博士（はかせ）！日本（にほん）にはたくさんいるんですよね。」

「そうだね。チョウは200数十種（すうじゅっしゅ）いると言（い）われているんだよ。」

「それらを全部（ぜんぶ）調（しら）べたら、すごいですね。」

「日本（にほん）のチョウの様子（ようす）がもっとよく分（わ）かりますね。」

「そうだね。それじゃ、日本（にほん）のチョウについて、全部（ぜんぶ）調（しら）べてみよう。」

　ということで、モンタ博士（はかせ）は、『原色（げんしょく）蝶類（ちょうるい）検索（けんさく）図鑑（ずかん）』（北隆館（ほくりゅうかん））の本（ほん）で調（しら）べたとさ！

「それでは発表（はっぴょう）します。日本産（にほんさん）のチョウの冬（ふゆ）ごしスタイルの結果（けっか）発表（はっぴょう）です。」

　230種（しゅ）のチョウの冬越（ふゆご）しスタイルの表（ひょう）です。

	卵（たまご）	幼虫（ようちゅう）	蛹（さなぎ）	成虫（せいちゅう）	その他（た）	合計（ごうけい）
アゲハチョウ科	2	0	12	0	3	17
シロチョウ科	0	4	6	8	4	22
シジミチョウ科	31	14	7	11	6	69
テングチョウ科	0	0	0	1	0	1
マダラチョウ科	0	1	0	2	2	5
タテハチョウ科	0	29	3	19	2	53
ジャノメチョウ科	0	21	2	4	1	28
セセリチョウ科	1	18	6	10	0	35
全日本産蝶類	34	87	36	55	18	230
全日本産蝶類（％）	15％	38％	15％	24％	8％	100％

　次に、そのグラフです。