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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (4)生物せいぶつ日本人にほんじんのかかわり
(605)コウヤボウキでほうきづくりにチャレンジ!
「できた! できたぞ! 完成かんせいだ! 完成だ! 完成だーーーーーーー!!!」
モンタ博士

花ちゃん
「どうしたんですか。モンタ博士はかせ。」

オーくん
「おねがいですから、あまりこうふんしないでください。」

「ついに完成かんせい! モンタ博士はかせ特製とくせいの『本物ほんもののコウヤボウキ』です。」
モンタ博士

オーくん
「コウヤボウキ? なんですか?」

花ちゃん
「コウヤボウキ⋯⋯あっ! そんな名前なまえ植物しょくぶつがありましたね。」

オーくん
「ホウキというから、にわやおうちで使つかうホウキですか。」

「よくいてくれたね。コウヤボウキというのはね、ホウキだよ。」
モンタ博士

オーくん
「ホウキって、あまり使つかいませんね。電気でんき掃除機そうじきなら、たまに使うこともありますが⋯⋯。」

花ちゃん
「ホウキというのは、がっこうのおそうとき使つかうけど、ふだんはあまり使いませんね。おにわをそうじするのは、普通ふつうたけぼうきですね。」

オーくん
「コウヤボウキって、なんなんですか。」

すこながいおはなしになるけど、いてほしいね。あのね、やまけんくうかいというおぼうさんがつくった、高野山こうやさんというおてらがあってね。」
モンタ博士

花ちゃん
名前なまえだけはいたことがあるような、いようながします。」

「このときに、にんげんこころをまどわすようなものを、すべておてらえることを禁止きんししたんだよ。たけはタケノコができるし、竹を加工かこうしてカゴやザルをつくることができ、これらのもので利益りえきをえることができることからきんじられ、このこうさんというおてらには竹がありませんでした。」
モンタ博士

オーくん
「それでどうしたんですか。」

「それでね、たけぼうきがつくれないから、このコウヤボウキという植物しょくぶつえだをたばねてホウキを作ったことから、コウヤボウキとして、ひろまったそうだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「つまり、利用りよう価値かちたかたけなどがしゅぎょうのじゃまになるとかんがえられ、栽培さいばい禁止きんしされていたんですね。そこで、竹ボウキのわりになりそうな植物しょくぶつ、コウヤボウキのえだあつめてつくったわけですね。」

オーくん
「なるほど。そういうわけですか。それで、モンタ博士はかせつくったコウヤボウキのホウキをせてください。」

ってました。モンタ博士はかせ特製とくせい本物ほんもののコウヤボウキをせてあげよう。」
モンタ博士

写真1・2
花ちゃん
「すごいですね、モンタ博士はかせ。すぐに使つかえそうですね。」

使つかってみたけど、けっこういろいろとはけるよ。つくえうえやかんたんな掃除そうじときなどに使っているよ。」
モンタ博士

オーくん
「よくると、定規じょうぎもあるのでおおきさがかりますね。」

「だいたい30センチくらいあるかな。つくるのがたのしいので2つも作ったよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「でも、なに見本みほんのようなものがあったんですか。」

「そうなんだ。そのむかし、カイコのおをきれいにそうするのに使つかったというものがあってね、正倉院しょうそういんという日本にほん宝物たからものれてある建物たてものなか本物ほんものがあるそうだよ。」
モンタ博士

オーくん
「へえー、そんなむかしからあったんですね。」

花ちゃん
「わたしは、そのむかしのコウヤボウキでつくったという本物ほんものてみたいです。」

正倉院しょうそういんにはかんたんにははいれないけど、レプリカ、つまり複製品ふくせいひん奈良なら国立こくりつ博物館はくぶつかんにあるそうだよ。」
モンタ博士

オーくん
「ところで、コウヤボウキという植物しょくぶつって、どんなものなんですか。てみたいな。」

「そううかとおもってね、しゃしんっておいたからてごらん。」
モンタ博士

写真3・4
花ちゃん
「きれいなおはなですね。」

オーくん
今度こんど、ぼくにもそのコウヤボウキという植物しょくぶつおしえてね。」

「ところで、このコウヤボウキ、そう大好だいすきなぼくのともだちにあげたんだ。そしたらね、その使つか心地ごこち感想かんそうとどいたんだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
「へえー、そうなんですか。わたしたいです。」

オーくん
「そのお友達ともだちというのは、だれなんですか。」

「そのは、『御掃除好子おそうじすきこ』さんというひとだよ。」
モンタ博士


御掃除好子おそうじすきこさんから

感想かんそうぶん
 モンタ博士はかせ、このたびは素敵すてきおくものをどうもありがとうございます。わたし昭和しょうわまれですから、もちろん、おのおそうにはいまだにほうきちりりを使つかっています。コウヤボウキは観察会かんさつかいの時にやまはいるとよくかけますよね。ほそながえだがいっぱいにひろがって、そこにちょこんちょこんとついているちいさなおはながかわいらしいとおもっていましたが、こんな立派りっぱなほうきになるなんて。枝がほそいのにしなるので、たたみうえくのにしっくりぴったりです。お掃除がきになりそうです。えっ、お掃除好きだと思っていらしたの、じつはあまり好きではなかったんですよ。でも、このかるくて掃きやすいコウヤボウキのおかげで一日いちにち一回いっかいはお掃除をするようになりました。つところは枝のでこぼこで怪我けがをしないようにあさひも丁寧ていねいつつんであるのも素敵。このコウヤボウキの箒、じつふゆのコートについたほこりをさっさとはらとすのにもちょうほうしそうです、もし、よろしかったらつくかたおしえてくださいな。
コウヤボウキ集めは、昔の子供のアルバイトだった!
 コウヤボウキ集めは、昔の子供のアルバイトだった!
 ある本によると、その昔には、まだコウヤボウキが使用されていたことが分かりました。山のやや乾いた尾根沿いに多く繁茂する低木です。子供たちは『ホウキ草』といって、その枝を集めては、冬場のアルバイトとしていたそうです。一握りが5円程度で(今のお金にすれば50円ほど)、毎年、買いに来る箒屋ほうきやさんがいて、その人に売っていたそうです。なお、モンタ博士がホウキを2本作製するために、5束くらい採集したので、250円くらいの価値になるかもしれません。
 なお、正倉院しょうそういん御物ぎょぶつの「子日目利箒ねのひのめどきのほうき」とは、コウヤボウキの枝を束ねて、真珠やガラス玉などをつけたたまばはきのことです。正月初子はつねの日の儀式で使われ、蚕室さんしつたまばはきで掃き、清めて蚕神かいこがみまつっていました。
 ※大伴家持おおとものやかもち(巻20-4493) 『初春の 初子はつねの今日の 玉ばはき 手に取るからに ゆらく玉の緒』
   てくてく自然散歩シリーズ
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