3.動物の世界
(4)鳥のなかま
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(604)カワセミの魚ダイビングキャッチ
「花ちゃん。上の鳥は何というか、もちろん知っているよね。」
「うわあー。カワセミね。ステキな写真ですね。どうしたの? この写真。」
「あのね、おうちの近くに野鳥観察が好きなおじさんがいてね、この前見せてくれたんだ。すごく感動したらね、プリントアウトして1枚くれたんだ。」
「それはよかったわね。それにしても素晴らしい写真ね。」
「その人は趣味で写真を撮っていてね、大きな望遠カメラを持って、よく行くそうだよ。」
「あのさ、この前のモンタ博士の、『ダイサギの魚ゲット動画』がよかったね。」
「そうだね。僕たちだけで何とか鳥の動画を撮れないかな。」
「そうだ、スマホで動画を撮ろうよ。」
「そうだ、そうだ。そうしよう!」
「せっかくだから、カワセミの動画にチャレンジしましょう。」
「えっ! カワセミ! それはちょっとむずかしいんじゃないかな。無理なんじゃないかな。」
「始める前からそんな弱気でどうするの。まずは何事もチャレンジ精神が大切ですよ。さあ! オー君! 行こう、行こう。」
⋯⋯ということで、二人はカワセミ動画ゲットのために、てくてく出かけたとさ。
「どこにいるのかな。川の近くだと思うけど⋯⋯。」
「ともかく、あちこち歩こう! 動こう! 探そう!」
「あれ? 橋の近くにたくさんの人がいるけど、何しているのかな。」
「ともかく行ってみよう。」
「みなさん! こんにちは! 何をしているのですか。」
「シーっつ! 静かにね。ほら、あそこを見てごらん。」
「よーく、見てごらん。カワセミがいるわよ。きれいな鳥だね。」
「さあ、撮るぞ、スマホをポケットから出して、スイッチオンだ。」
「さあ、いつでもいいよ! カワセミさん! 魚を撮るためにダイビングしてよ。」
「うーん、むずかしいなあ。なかなか飛びこまないよ。こまったな。」
「オー君。あきらめちゃだめ、何事も『ねばり』が大切よ。」
「あっ! 飛んだ。ホバリングだ。すごい、きれいな青がキラキラしてる。あっ! ダイビングしたぞ。あっ! しまった。見とれていて、動画スイッチにしてなかった。ごめん。」
「え! ほんと! こまったなオー君。でも、また、チャレンジね。さあ! 落ちこんでないで、次がんばろうね! 私はしっかり見てるから、オー君はスイッチをよろしくね。」
「あれ、あのカワセミは、よく見ると、くちばしの下が赤いぞ。」
「そうね。カワセミのメスということよ。オー君。」
「ふーん。そうなんだ。よく見ると、魚の動きを目で追っているようだね。」
「そうね、そうやって、ねらいをつけているのね。」
「あっ! あっ! 飛んだ!」
「今度は動画、だいじょうぶ。」
「もちろんOKさ。すごい! 魚をキャッチしたぞ。ヤッター! おめでとう。」
「あ、首をふっているわ。」
「何をしているのかな。」
「そうか、分かったわ。岩場で首を左右にふりながら、岩に打ちつけているわ。」
「どうして打ちつけたりするの。」
「それは、たぶん、元気な魚を気絶させるためなんだわ。」
「そうか。ついに撮ったぞ! カワセミのダイビング。やったね。この動画、すぐにモンタ博士に見せに行こう。」
「そうしましょう、そうしましょう。」
がけの巣穴で子育てをするカワセミ
カワセミは、川の水の流れなどで土がむきだしになった土手などに巣を作ります。巣作りは3月初旬から始まります。冬の間は雄と雌はそれぞれが単独でなわばりをもっていて水辺を移動します。春の繁殖期になると追いかけっこをする姿が見られるようになります。
雄は雌に魚をプレゼントしながら求愛し、その行動を「求愛給餌」といいます。雌がそのプレゼントをもらうとカップルが成立ということです。巣穴を作るといっても、簡単にはできず、かなりの重労働ということです。近くの木の枝に止まり、そこから崖に向かってくちばしの先で体当たりをしていきます。小さなくぼみができると、そこを足場にさらに本格的な巣穴作りを行います。こうして直径7cm、奥行き80cmの巣穴が完成するということです。なお、この仕事はほとんどが雄が行うので、「男はつらいよ!」の世界のようです。