1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(594)樹皮・木肌(木の幹ウオッチング)
「きのう,モンタ博士は雑木林をてくてくしてきたんだ。」
「え! 雑木林てくてく? ずるいですよ。ぼくたちも行きたかったな。」
「そうだね。でも,きのうは寒かったし,どうかなと思ってね。」
「どこの雑木林を歩いたのですか。」
「モンタ博士のおうちの近くだよ。コナラやヤマザクラ,それからエゴノキやアカシデなど,落葉広葉樹が多くてとても気持ちよかったよ。」
「寒くなかったんですか。」
「歩いていれば,温かくなるのさ。それに,冬の雑木林は最高だね。」
「何がそんなに,楽しいんですか。花も咲いていないし,虫もいないでしょ。」
「山全体が静かでね,落ち葉を踏みしめながら歩くのはいいものだよ。」
「それだけですか。」
「まだまだあるぞ。空気が冷たく澄んでいるんだね。それに,遠くのお山がすぐ近くに見えるのもすてきだね。」
「いいな,いいな,私たちも行きたかったです。」
「そうだね。また今度行く予定だから。その時はみんなで行こう。冬の森は,まだまだ楽しみがたくさんあるよ。ほら,下の写真を見てごらん。何だか分かるかな。」
「ただの木みたいだけど。」
「よーく見てごらん。何か気がつかないかな。冬になるとね,葉っぱが落ちるだろう。だから,木の幹のようす,木の肌がよく目につくんだね。木の種類によって,いろいろな幹や肌があるんだ。左がコナラで右がアカシデの幹だよ。」
コナラ アカシデ
「モンタ博士,木の幹って,電信柱みたいですね。」
「なるほど,電信柱か,おもしろいことを言うね。ともかく,木の幹,木の肌とも言うけど,これがよく見ると,いろいろな模様や色などがあっておもしろいんだよ。」
「冬は葉っぱや花がないから,木の幹・木の肌がよく分かり,その木が何という木か分かるというわけですね。」
「そうだよ。冬芽と同じようにみんないろいろな顔というか,さまざまなようすを見せてくれるから,よく見てごらん。それぞれの木々が個性を主張しているよ。」
「本当にそうですね,いろいろなちがいがあって,見ていてとても興味深いですね。ところで,上の写真で教えてもらったコナラやアカシデの木は,縦に線が入っている感じですね。木の顔というのは,だいたいが縦模様になっているようですね。」
「どうしてなんだろう。考えると不思議といえば不思議だね。多分,水分や養分を下から上に,上から下に通すためにそうなっているからかな。」
「おもしろいことに気づいたね。でもね,下の写真を見てごらん。これは,ヤマザクラの木肌だけど,横に線が入っている感じだね。他にシラカバなども横に筋がはっきりあるよ。」
ヤマザクラ
「なーるほど。そういえばそうですね。気がつきませんでした。」
「木の幹の模様は,縦筋のものが多いみたいだね。でも,横筋のものもあるんだ。それに,もっと変なやつがいるんだよ。それはね,下の写真のようにねじれている木で,『ネジキ』という木なんだ。ななめになっていておもしろい木だよ。」
ネジキ
「本当だ。ねじれていますね。ネジキという名前はぴったりですね。ところで,モンタ博士,よく見ると,コナラやアカシデも同じように縦方向に筋があるけど,ちょっとちがいますね。」
「何がちがうのかな。」
「だって,アカシデの木はコナラやサクラのようにゴツゴツはしていないよ。手でさわるとよく分かるよ。」
「本当ね,アカシデはすべすべとした木の幹ですね。ゴツゴツはしていませんね。手の感触で観察することも大切なことなんですね。」
「そうだね。ところで,下の幹はコナラと同じようにドングリができるクヌギの木だけど,コナラによく似ているね。ちがいが分かるかな。」
クヌギ
「同じようにゴツゴツしていますね。」
「両方とも雑木林を代表する木だね。コナラは彫りが浅い感じで,クヌギは少し深いみたいだね。彫刻刀でたとえると,平刀で削る感じがコナラ,三角刀で削る感じがクヌギみたいだね。」
「なるほど。おもしろいたとえですね。ねえモンタ博士,他に木肌でおもしろいというか,特徴的なものはないのですか。」
「そうだな。それじゃ,パッチワークの木なんてどうかな。」
「え! パッチワークの木? なんですか,それは?」
「木の幹の皮がはがれ落ちてね,まるでパッチワークのように見える木だよ。ちょっとハゲっちゃってるようにも見えるね。代表的なものでは,リョウブ。ナツツバキ,サルスベリや学校の校庭にあるプラタナスなども,パッチワークの木だね。」
リョウブ
「なるほど,木の肌っていろいろあるんですね。まったく気がつきませんでした。よーし! いろいろな木の幹・木の肌を見ることにしよう。」
「ねえねえ,オー君。木の幹って,茶色っぽいものが多いけど,白っぽいものや,黒っぽいものもあるかもしれないわね。幹のいろいろな色について調べるのも楽しそうね。」
「そうだね。寒いなんて言ってられないね。子供は風の子,元気に冬の雑木林をてくてくしに行こう。レッツゴー!」
木の幹の模様を利用した積木ジグゾー
木の
幹にはいろいろな
模様があり,それを
利用したジグゾーパズルである。
作り
方はとても
簡単で,
絵のように,
長さ30センチ
程で
直径5~10センチ
程度の木の幹を
使う。木の幹を
3つでも
4つでもいいので,
等間隔で
切れば,できあがりである。簡単そうに
見えても
結構難しいのでおもしろい。木の幹の
木目などを
見ながら,トーテムポールのように
積み
重ねていく
遊びである。遊びながら,木の
特徴や木の
感触を
楽しむことができる『木の幹
積木ジグゾーパズル』である。
木肌図鑑・・・その他のいろいろな木の幹の,色や模様などをくらべてみよう!
アオハダ ホオノキ
ウリカエデ エゴノキ
ヒノキ スギ