トウショキッズ 東書KIDS

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花ちゃん・オー君・モンタ博士のてくてく自然散歩シリーズ
1.身近みぢか自然しぜん観察かんさつ
 (4)生物せいぶつ日本人にほんじんのかかわり
2.植物しょくぶつ世界せかい
 (3)被子植物ひししょくぶつ双子葉類そうしようるい)のなかま
(577)野菊のぎく1(あきをいろどるノギク)
写真1
ユウガギク     カントウヨメナ
写真2
ノコンギク     シロヨメナ
写真3
シラヤマギク     カワラノギク
写真4
リュウノウギク          
花ちゃん
「うわあー,きれいなノギクがいろいろありますね。」

「いいだろう。八王子(はちおうじ)市内(しない)やあちこちの野山(のやま)撮影(さつえい)したものだよ。」
モンタ博士

花ちゃん
全部(ぜんぶ)モンタ博士(はかせ)がとったノギクですか。すごーい,とってもすてきです。」

「まあ,それほどでもないけどね。ほめられるとうれしいね。」
モンタ博士

オーくん
(はな)ちゃん・モンタ博士(はかせ)! ノギク,ノギクって,()っているけど,(なん)なの,その『ノギク』って。」

花ちゃん
「オー(くん),ノギクというのはね,ふつうの野山(のやま)自然(しぜん)()いているキクのことなの。『キク』という言葉(ことば)は,()いたことがあるでしょ。」

オーくん
「もちろんだよ。ぼくのおうちにも()いていたかな。」

花ちゃん
「そうでしょ。それはね,栽培品(さいばいひん)として(むかし)から(そだ)てられていたもので,『イエギク』というものなのよ。」

オーくん
「そうか,(すこ)()かってきたかな。」

花ちゃん
「それからね,栽培(さいばい)品種(ひんしゅ)(はな)(あつ)めて,キクでお人形(にんぎょう)(つく)るのよ。」

オーくん
「え! お人形(にんぎょう)?」

花ちゃん
「そうよ。いろいろな(いろ)のキクの(はな)でかざるの。とてもきれいよ。この(まえ),おうちの(ひと)神代(じんだい)植物公園(しょくぶつこうえん)でキク人形展(にんぎょうてん)をやっていたので,()てきたわ。」

写真5
オーくん
「へえー,そんなのやっていたんだ。」

花ちゃん
「それから,その神代(じんだい)植物公園(しょくぶつこうえん)では,大切(たいせつ)(そだ)ててきたキクの展示会(てんじかい)もあったわ。20センチくらいの(おお)きなキクや,(いと)のように(ほそ)いキクの(はな)とかもあって,それはそれは,とってもきれいだったわ。」

写真6
オーくん
「へえー,そうなんだ。今度(こんど)()てみたいな。」

花ちゃん
「それからね,オー(くん)。キクはお(はか)(まい)りに()くときによく()っていくのよ。仏花(ぶっか)とか()ってね,お仏壇(ぶつだん)(そな)えたりするときにも,キクはよく使(つか)うわね。」

オーくん
「なるほどね,キクと日本人(にほんじん)とは(ふか)(えん)があるということかな。」

「そうだね。(とく)(きく)は,日本(にほん)皇室(こうしつ)(しるし)でもあるし,象徴(しょうちょう)でもあるね。パスポートの表紙(ひょうし)も,キクの()があったね。」
モンタ博士

オーくん
「すごいね。キクって! そんなに有名(ゆうめい)なんだ。」

有名(ゆうめい)というか,(なん)というかな。(むかし)から日本人(にほんじん)生活(せいかつ)にはなくてはならない(ばな)だったんだね。」
モンタ博士

花ちゃん
「ところでさ,オー(くん)! 3(がつ)(みっ)()って(なん)()(おぼ)えている。」

オーくん
「3(がつ)(みっ)()は,(もも)節句(せっく),ひな(まつ)りでしょ。」

花ちゃん
「では,5(がつ)(いつ)()は?」

オーくん
「5(がつ)(いつ)()は,端午(たんご)節句(せっく)でしょ。こどもの()でもあるね。」

花ちゃん
「7(がつ)(なの)()は?」

オーくん
七夕(たなばた)でしょ。」

花ちゃん
「それでは,9(がつ)9日(ここのか)は?」

オーくん
「9(がつ)9日(ここのか)(なん)()だろう。(なに)かある日なの。」

花ちゃん
「9(がつ)9日(ここのか)重陽(ちょうよう)節句(せっく)というのよ。そうですね。モンタ博士(はかせ)!」

重陽(ちょうよう)節句(せっく)について()っているなんて,(はな)ちゃんはすごいね。(たし)かに,(いま)では3(がつ)と5月しかお(いわ)いはしないけど,(むかし)は9月9日(ここのか)特別(とくべつ)()だったのさ。くわしくは自分(じぶん)調(しら)べるといいよ。ともかく,日本人(にほんじん)とキクとは,昔から(ふか)いつながりがあったということなんだ。キクについてのお勉強(べんきょう)はこのくらいにして,先生(せんせい)(おく)さんのキクちゃんという(ひと)(えが)いてくれた,いろいろなノギクのイラストをみんなで()ることにしよう! どれもこれもみんなとても上手(じょうず)で,ものすごくすてきだよ。」
モンタ博士

写真7
ユウガギク        カントウヨメナ
写真8
ノコンギク        シロヨメナ
写真9
シラヤマギク
写真10
カワラノギク        リュウノウギク
 
いろいろなノギクについて
植物名しょくぶつめい
特徴とくちょう
ユウガギク
(はな)はやや(おお)きめ,(あか)るく湿(しめ)ったところ()く。(えだ)はよく(ひろ)がり,花は枝先(えださき)(あつ)まる。(なつ)ごろから咲き(はじ)め,もっともよく()かけるノギクである。
カントウヨメナ
花の(いろ)(あわ)(あお)むらさきが(おお)く,明るく湿った所に咲く。花は枝先に1~3()つける。()んぼなどで見かけるのはこの(しゅ)である。関西(かんさい)地方(ちほう)はヨメナが咲く。
ノコンギク
やや(おそ)めに咲くノギク。湿った所や(かわ)いた尾根道(おねみち)など,いろいろな場所(ばしょ)で咲く。花は枝先に(あつ)まるように咲く。()(あつ)くざらざらしている特徴(とくちょう)がある。また,(かん)(もう)がとてもよく見える。
シロヨメナ
(はやし)(なか)のやや()かげの場所(ばしょ)に咲く。花の色は(しろ)舌状(ぜつじょう)()先端(せんたん)はやや(まる)みがかった(かん)じである。葉は(なが)(おお)きく,(さき)(するど)くとがり,(みっ)つの(みゃく)がよく()()つ。
シラヤマギク
林の(なか)やまわりで咲く。花びらが5~7(まい)(すく)ないのが特徴的(とくちょうてき)である。花は枝先に(あつ)まる。(した)の葉は(うえ)の葉とちがいハート(がた)なのが特徴(とくちょう)である。
※ここまでの5(しゅ)がとてもよく()ていて,分類(ぶんるい)同定(どうてい)苦労(くろう)をする。ノギクが()かればかなり専門家(せんもんか)
カワラノギク
(むかし)日野市(ひのし)あたりでも見かけたが,年々(ねんねん)その(かず)(すく)なくなっている貴重(きちょう)な種。多摩(たま)(がわ)羽村市(はむらし)河川(かせん)保護(ほご)している場所(ばしょ)がある。葉が(ほか)のノギクと(ちが)い,線形(せんけい)であるのが特徴的(とくちょうてき)である。
リュウノウギク
(かわ)いた尾根沿(おねぞ)いなどでよく見かける。(もっと)もキクらしいキクであり,(りゅう)(のう)というお(こう)のよい(かお)りがする。花の色は(じゅん)(ぱく)。葉は(みっ)つに(あさ)()()む。晩秋(ばんしゅう)()き,ノギクの(さい)()(かざ)る種である。
伊藤佐千夫(いとうさちお)の「野菊(のぎく)(はか)」に登場(とうじょう)するノギクについて
 純真(じゅんしん)可憐(かれん)(こい)物語(ものがたり)として,(おお)くの読者(どくしゃ)共感(きょうかん)をさそった名作(めいさく)野菊(のぎく)(はか)」。ここに登場(とうじょう)するノギクは(なに)かを(さぐ)ってみることにした。文中(ぶんちゅう)に「(みち)真中(まんなか)(かわ)いてる・・・ タウコギが末枯(うらが)れて,(みず)蕎麦(そば)(たで)など一番(いちばん)(おお)(しげ)っている。(みやこ)(くさ)()(いろ)(はな)()える。野菊がよろよろと()いている」(原文(げんぶん)のまま抜粋(ばっすい))とあることから,周辺(しゅうへん)植物(しょくぶつ)環境(かんきょう)と野菊の生育(せいいく)状況(じょうきょう)()()れる。つまり,結論(けつろん)としては,この物語に()てくる野菊とは,カントウヨメナであると(かんが)えられるが,いかがなものであろう。賛否(さんぴ)両論(りょうろん)()けしたいと(おも)う。
   てくてく自然散歩シリーズ
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