1.身近な自然の観察
(5)自然観察・実験のてびき
2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
(3)被子植物(双子葉類)のなかま
6.その他
(1)動画で楽しむ世界
(4)実験・観察・調査から
(553)さし木・さし芽で増える植物
「夏の間に,にぎやかにたくさんの花を咲かせてくれたアサガオも,もうすっかり,実となり種もたくさん取れましたね。」
「そうだね。植物の一生のパターンだね。こういうのを1年草というのですね。」
「オー君,よく知っているね。最近は,植物にもとてもくわしくなったわね。」
「それから,地上の茎や葉は枯れてしまうけど,地中では根が生きていて,次の年に芽が出て,葉がつき,花を咲かせる植物を多年草というんだ。」
「すごーい。よくお勉強していますね。植物って,そうやって,花が咲き,実ができ,次から次へと子孫を繁栄させていくのね。ところで,そういう植物のことを『有性生殖』というんだけど,知ってた。」
「え! 何て言ったの。『有性生殖』? 何だそりゃ?」
「植物の研究については,私のほうが先輩だから,教えてあげるね。花にはおしべとめしべがあるでしょ。おしべの花粉がめしべの柱頭というところに付き,受粉して成長し,実がなり種子ができるでしょ。そういうのを有性生殖というのよ。」
「なーるほどね。そうやって,植物は次の世代へとバトンタッチしていくんだね。」
「次の世代へのバトンタッチか。いい言葉だね。」
「小さな種の中には,すごい生命の力があるんですね。それだけでもおどろきです。」
「ちがう遺伝子を持つものと交雑して,新しく遺伝子が生まれ,そうやって,生物は進化してきたんだね。植物の世界,動物の世界は興味がつきないね。ところで,二人とも,有性生殖のお話をしていたみたいだけど,それ以外に増えていく植物があるのを知っているかな。」
「むずかしい言葉では知りませんが,自分の分身でどんどん増えていく植物もあると,何かの本に書いてありました。」
「そういうのを『無性生殖』というんだよ。」
「『無性生殖?』初めて聞く言葉です。」
「まあまあ,言葉なんか覚えなくてもいいよ。そういう植物もあると知っておいてほしいね。」
「どんな植物なのですか。」
「そうだね。答えを言ってしまう前に,この前,ある実験をしたから,その写真を見せてあげるね。」
「どんな実験なのですか。」
「とってもかんたんだよ。草や木の枝を取ってきて,水に差しておくだけさ。変化していくようすを写真にとったので,見てごらん。何か気がつくことあるかな。」
「10日ごとに写真をとったのですね。」
「矢印のように変化し,成長していったのですね。すごい生命力ですね。」
「(1)のツユクサでは,根がどんどん増えているようすが分かります。」
「それから,(2)のヤナギでは,根も増えていますが,葉も出てきていますね。」
「すごいのは(3)のタンポポです。切った根っこから新しい葉が出てきています。」
「そうだね。他の植物はどうなのかな。自分でいろいろな植物で調べるといいね。植物の世界には,まだまだ不思議やおどろきがほんとうにいっぱいだあるんだよ。」
無性生殖の活用
有性生殖は種子で増えるので,種子繁殖ともいう。また,無性生殖はその分身で増えるので,栄養繁殖ともいう場合もある。栽培植物について考えてみると,枝や茎などの分身で増える栄養繁殖という方法を用いた場合には,元の個体と同じものを増やすことができるので,いろいろと好都合である。そのために,サツマイモやジャガイモ,イチゴやキクなど栄養繁殖で増やすことができる作物は,なるべく栄養繁殖で増やしているようである。元の個体を分身させて増やすことをクローンと呼ぶが,人間の世界ではSF映画のようであるが,植物の世界では,かなり一般的で簡単にクローンを作り出すことができるようである。