4.自然界のつりあい・環境保全・地質と地形の世界
(5)地質や地形の世界
(509)国立市タイムトラベル その3
「上の絵はどこかの段丘のようですね。」
「これはね,ママ下湧水の地形・地質断面図だよ。」
「ふーん,なるほど。いろいろな層からできているんですね。」
「そうなんだ。よく気がついたね。国立市の大地をつくる地層は,上から黒土層・赤土層(ローム層)段丘砂礫層からできているんだよ。さらにその下には,上総層群というものからできているんだ。」
「
絵のやじるし
の
所から
水が
湧き
出しているんですね。」
「そうなんだ。
地面にしみこんだ
雨水は,やじるし
のように
黒土層と
赤土層(ローム層)や
砂礫層を
通り,その
後,やじるし
のように
流れて
湧き
水として
出てくるんだよ。」
「え! ちょっと待って。水は砂礫層を通った後に,その下の上総層群にしみこんでいかないの。」
「さすが,オー君。よく気がついたね。上総層群というのは,ねん土でできた層なんだ。だから,水がしみこんでいかず,湧き水として出るんだ。」
「モンタ博士! 湧き水があるのはママ下湧水だけなのですか。」
「これまたいい質問だね。国立市やその周辺の湧き水には,矢川緑地,常盤の清水(谷保天満宮内にあり),西府町湧水などがあるんだよ。ところで,ここでモンタ博士のお友達で,縄文時代生まれの『縄文モンタ君』を紹介しよう。いろいろと昔のお話にはくわしいからね。たくさんお話ししてもらおうね。」
「え! 『縄文モンタ?』変わった名前だな。」
「私は,遠い遠い大昔のそのまた大昔から,国立第七小学校の子供たちのためにタイムスリップしてきたんだよ。」
「え! 私たちのために!」
「タイムスリップ! かっこいいなあ。」
「よろしくお願いします。いろいろと教えてください。」
「縄文モンタさん! 大昔の国立はとてもよかったんでしょうね。」
「もちろんさ。上の絵のような段丘の下からは,こんこんときれいな清水がわき出ていたんだよ。ところどころに小さな谷(湿地)もあり,小川も流れていたんだ。」
「そうか! 水は人がくらして生活するのに,とても大切なものでしょ。そこで,人々は段丘の下の谷を大事にし,谷を守りながらくらしていたんですね。」
「そのとおりさ。関東地方では,谷のことを『ヤツ』とよんでいてね。この『ヤツ』を守るという意味で,『ヤツを保つ』で,『ヤッホ』になり,『ヤホ』=『谷保』になったと考えられているんだ。」
「なーるほど。なぜ『谷保』という地名になったか,とてもよく分かりました。」
「とても勉強になりました。縄文モンタさん,どうもありがとうございました。」
谷保の意味(「物類称呼【ぶつるいしょうこ】」という書物から引用)
江戸時代の言語学研究者である越谷吾山著。全国各地の方言語彙4000を,天地・人倫・動物・植物・道具・衣食・言語の7部門に分け列挙したもの。日本最初の方言辞典であり貴重な文献である。