4.自然界のつりあい・環境保全・地質と地形の世界
(5)地質や地形の世界
(507)国立市タイムトラベル その1
「ねえ! 花ちゃん。サイクリングは楽しいね。」
「そうね。風がちょっと冷たいけど,気持ちいいわね。」
「それはよかったね。でも,交通ルールをしっかり守って,安全運転するんですよ。それにしても,国立は地面が平らでよかったね。」
「そうですね。国立駅まではまっすぐだし,平らだし,運転しやすいわ。」
「モンタ博士のおうちの近くは平らではないの。」
「モンタ博士のおうちの近くはね,山や丘があって,坂道もいっぱいあるよ。」
「ふーん,そうなんですか。ところで,なぜ『坂道』ってあるの。」
「そんなのきまってるわ。坂の上と坂の下があるでしょ。だから坂道なのよ。」
「つまり,地面では高い所と低い所があるということだな。でも,どうして?」
「でも,どうして? っていわれてもこまっちゃうわ。」
「おいら,地面の高い所と低い所を作ったやつがだれだか知りたいんだ。」
「うーん,むずかしい。モンタ博士! 助けてくださーい。」
「二人ともこまってしまったようだね。結論からいうとね,国立市の場合は『多摩川』という川がつくったのさ。」
「え! 多摩川? どういうことですか。」
「まずね,国立には,東から西にかけて,多摩川にそって武蔵野段丘,立川段丘,青柳段丘の3つの段丘があるんだ。」
「だんきゅう? 段丘? 何ですか。それ?」
「丘や大地のはしが,平らな面と急ながけで,いくつかの階段のようになっている地形のことだよ。」
「あ! そうか,多摩川があっちこっちに流れて,それでできた段丘なんですね。」
「そのとおり。だから,河岸段丘というんだよ。ついでに,段丘と段丘とのさかいのがけのことを『ハケ』ともよんでいるんだ。」
「つまり,今の国立は,長い年月をかけて多摩川がつくったということなのさ。」
「長い年月って,どのくらいですか。」
「武蔵野段丘面の武蔵野ローム層は,約6万年前に堆積した火山灰なので,6万年前は多摩川の河床であり,立川段丘面のローム層は,約3万年前の火山灰の堆積ですから,立川段丘面は3万年前には多摩川の河床であり,さらに,立川段丘面の形成された後,1万5000年ぐらい前にできたのが,青柳段丘であるといわれているんだよ。」
「うわあー! ずいぶんと大昔にできたんですね。」
「そのもっともっと前は,国立市は,どうなっていたのですか。」
「150~200万年前は,国立市は,まだ海の中だったのさ。その後,地面が盛り上がって,海岸線が今と同じようになったのは10万年くらい前さ。」